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2006年3月23日(木)「しんぶん赤旗」
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik4/2006-03-23/2006032301_02_0.html
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NHK・ETV番組(二〇〇一年放送)が自民党の圧力で改ざんされた問題で、NHKが政治家に事前に番組内容を説明する「マニュアル」を作成していたことが二十二日、東京高裁で行われたNHK裁判で明らかになりました。番組の現場責任者だった永田浩三チーフプロデューサーが、マニュアルの原案を作成したことを証言したものです。
このマニュアルについては、十七日の衆院総務委員会で、日本共産党の吉井英勝議員が取り上げ、NHKを追及しました。NHKは、マニュアルの作成や政治家の圧力はいっさい否定していました。
裁判で、永田氏はマニュアルにふれ、「いろんな対応のための資料づくりは日常的にあるが、(異例の局内試写に)国会対策の人(野島直樹総合企画室担当局長)が見えているわけだから、政治家に向けているものと思っていた」と語りました。
永田氏は、放送当日に大幅な改変の指示が出されたとき、伊東律子番組制作局長が「自民党は甘くなかった」と語ったことも明らかにしました。また、編集責任者だった吉岡民夫教養番組部長から聞いたこととして、昨年一月、長井暁チーフプロデューサーが内部告発した直後、松尾武放送総局長が吉岡氏らを集め、そこで放送前日に野島氏らが安倍晋三官房副長官(当時)に説明に行ったのは「呼びつけられたのではなく、こちらから出向いたことにしよう」と話していたと、明言しました。
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番組に抗議は“この人たち”/ NHK裁判 政治家名を指さし / 制作局長“自民は甘くなかった”
永田氏証言
「無念です」。二十二日、東京高裁でNHK裁判の証言に立った永田浩三チーフプロデューサーは時折、言葉をつまらせながら語りました。焦点は、昨年十二月、長井暁チーフプロデューサーが証言したように、NHKは政治家向けに番組の説明マニュアルを作成していたのかどうかです。この日の永田証言で、番組改変への自民党幹部の関与を示す新事実も浮かび上がりました。
「(マニュアルの原案を書いたのは)私です」
永田氏は原告・バウネット側の尋問にそう答えました。
永田氏は、放送前の一月二十六日ごろ、伊東律子番組制作局長が、「(番組について抗議を)言ってきているのは、この人たちよ」と、自民党議員らでつくる「日本の前途と歴史教育を考える若手議員の会」の本にある中川昭一衆院議員の名前を指さしたことを証言し、中川議員の番組改変への関与を示唆しました。放送直前、加害兵士、慰安婦の証言を削ろうと言いだしたのは伊東氏でした。
永田氏は放送当日、伊東氏が吉岡民夫教養番組部長に「自民党は甘くなかったわよ」と語っていたことにもふれました。
永田氏は最後まで番組編集責任者として制作にかかわってきました。NHKはこれまで、番組改変は自主的に判断した結果であり政治圧力はなかった、としていますが、永田氏の証言は、それをひっくり返すものとして注目されます。
番組の核心をなす慰安婦の証言まで最終的に削除されたことについて、永田氏は「人間としてやっていいことと、悪いことがある。弱い立場に立つ仕事を棄損する判断だった」と語りました。
裁判の原告・バウネットジャパンは、控訴審終了後に「報告集会」を開き、ジャーナリストの原寿雄氏が講演しました。
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NHK裁判
NHKのETV2001「戦争をどう裁くか(2)戦時性暴力」(二〇〇一年一月放送)をめぐって、番組を改ざんしたとして市民団体のバウネットジャパンがNHKなどを訴えました。番組は、戦時中の慰安婦問題を裁いた二〇〇〇年の女性国際戦犯法廷(バウネット主催)を取り上げたものです。慰安婦への日本政府・軍の責任、昭和天皇の戦争責任についてふれた部分はすべてカットされました。