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□「全部やる」NHK・BSの「コンバット!」 [ゲンダイ]
http://news.livedoor.com/webapp/journal/cid__1790702/detail
たかがテレビじゃないか 「全部やる」NHK・BSの「コンバット!」
「郵政の次は放送・通信改革」という竹中総務相の号令の下、NHKに対する“改革案”が練られている。国際放送にCMを入れるとか、チャンネル数を減らすとか、「へえ〜」ってな意見が出ているようだが、まあ、NHKもこれまでのままではいけないのは当然。だが、急に極端な改悪、いや改革を言われると多少気の毒にもなる。
何しろ先週からNHK・BSが「コンバット!」と「ローハイド」の“一挙放映”を開始したのだ。五輪だろうが「寅さん」だろうが「全部やる!」のがNHK・BSのいいところ。でも、よもや40年前の両作品をオンエアで見られるとは思ってもいなかった。竹中さんにはしかられるけど、電波に余裕がなけりゃできない“快挙”だもん。
改めて見ると「コンバット!」は不思議な戦争ドラマだ。第2次世界大戦のヨーロッパ戦線。アメリカ軍の戦いぶりを描くのだが、いわゆるヒーロー物ではない。敵(ドイツ軍)の兵士と鼻を突き合わすような最前線を汗まみれ・泥まみれで前進や後退を繰り返す歩兵部隊。勇壮な戦闘シーンはあまりなく、サンダース軍曹をはじめ兵士たちの人間臭さが印象的だ。
たとえば、14日放送分「爆発1秒前」。ヘンリー少尉が不発弾が落ちた教会で、がれきの下敷きになってしまう。爆弾の時限装置を解体しようとするのは英国軍のデヴィッド少尉だ。緊迫した状況の中、デヴィッドの戦争に対する屈折した思いが明かされ、ヘンリーがその傷んだ心を解きほぐす。戦争ドラマなのに、結局一発の銃弾も撃たずに終わるのだ。
この舞台劇のような内容に驚いたが、クレジットを見て二度びっくり。演出がロバート・アルトマン監督だった。「M★A★S★H マッシュ」でカンヌ映画祭グランプリ。「ショート・カッツ」はベネチアの金獅子賞。若き日の巨匠はテレビの戦場でひたすら腕を磨いていたわけだ。
「コンバット!」は全部で152話ある。改革がどう進展しようが、「ローハイド」共々、本当に全部やって欲しい。ついでに「名犬ラッシー」も希望しよう。
BS受信料は素直に払うから。
◆一本木 剛(いっぽんぎ・つよし) 業界を横断する“放浪のフリーライター”にして、テレビ6台を所有する“伝説のテレビウオッチャー”。
【2006年3月18日掲載】
2006年03月21日10時00分