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どっちが目くそで鼻くそか分からないが、「サンデー毎日」がこんなことを―。
朝日新聞の変=@「メールチェック」で記者たちが大ブーイング
http://www.mainichi.co.jp/syuppan/sunday/tokusyuu/news/20060310-120401.html から転載。
2006年3月19日号 サンデー毎日
「取材資料流出」で頭を下げる秋山耿太郎社長(左から2人目)ら(05年9月)
社員のメールを保存して、後でチェックできるようにする。「訂正しない」と宣言したはずのNHK特番改変問題の記事を書いた記者を読者サービス部門に異動。高らかに「ジャーナリスト宣言」しているわりには、やることが何だか変だぞ、朝日新聞―。
朝日新聞社によると、3月1日に「ネットワーク記録・分析システム」が導入された。全社員を対象に、会社のサーバーを経由したメール送受信、ウェブサイトの閲覧記録を3年間保存、その記録をチェックできる。
「個人情報や企業に関する情報が社外に漏洩するなどネットワークが不正に使われたり、当社のシステムやサーバーが外部から攻撃を受けたりした際に、危機管理上、通信内容を調査し、対応措置を整えるのが目的です」(広報部)
しかし、社員、特に記者たちの中から大ブーイングが起きているのだ。
「情報源と微妙なやり取りもある。会社に見られる可能性があれば使えなくなりますよ。自由な言論を掲げる報道機関が検閲まがいのことをするのかと、みんな呆れてます」(中堅記者)
こうした声に会社側は、
「社員の行動を日常的に監視するシステムではない」
と主張する。
「非常時に、守秘義務を課せられたごく少数の調査メンバーが、蓄積データの一部を調べるだけで、情報源の秘匿の原則を脅かすものではありません」(広報部)
だが、このようなシステムの目的の一つが、社内情報を外部に漏らす「犯人」捜しにあることは間違いなさそうだ。朝日広報部も、システム導入のきっかけになった出来事の一つとして「月刊誌への社内資料の流出問題」を挙げる。
「流出問題」とは、昨年8月に月刊誌『現代』(講談社)に共同通信出身のジャーナリスト、魚住昭氏の「NHKvs.朝日新聞『番組改変』論争『政治介入』の決定的証拠」と題する記事が載ったことだ。
記事では、魚住氏が入手した「証言記録」に基づき、NHKとの対立のきっかけになった朝日新聞記事の取材場面が詳細に再現されている。これに対して、朝日新聞は『現代』が発売される前日にわざわざ記者会見を開き、「社内の取材資料が流出した疑いがあるので調査する」と表明したのだ。
長野総局記者の虚偽メモ問題を機に社内に設置された「編集改革委員会」委員長の内海紀雄専務は、今年1月の社内報で、取材資料の流出を「十字架として背負っていかなければならない」とまで述べている。
だが、前述の魚住氏は「朝日の幹部は全く分かっていない」と断言する。
「報道機関の役割は事実を伝えることです。しかし、朝日は自ら出すべき録音記録を隠ぺいした。だから私が事実を示したのです。それを『流出』ととらえた時点で、もう報道機関じゃないと思った。だから、メールやネットの情報管理をすると聞いても驚きません。『何をしでかすか分からないヤツがいるから監視しよう』という発想は既に捜査機関や国家と同じですよ」
そもそも、企業が社員のメールを見ても法に触れないのか。田島泰彦・上智大教授(メディア法)は話す。
「是非は別として、米国でも日本でも、従業員が仕事をしているかを使用者側がチェックするのは、合法とする判例が定着しつつある」
実際、朝日新聞も企業としての危機管理を強調する。
「企業の情報管理に対する社会の目は厳しさを増しており、説明責任を求められることも少なくない。各企業ともセキュリティー対策に細心の注意を払っており、そうした時代の趨勢に適う体制整備は必須と考えています」(広報部)
だが、田島教授は言う。
「他企業がやっているから、というのは理由にならない。問題は、報道機関がそれをやっていいのか、ということです。いくら条件をつけても、経営側が必要と判断すれば見られるわけで、社内の自由に最大限配慮しなければならない新聞社が、それを公然と始めるのは間違っている」
朝日新聞にはもう一つ、こんな出来事もある。
NHK特番改変問題を最初に報じた社会部の本田雅和記者が4月1日付で「アスパラクラブ運営センター員」に異動になる。「アスパラクラブ」とは健康や子育て、資産運用などの生活情報やイベントを提供する会員制読者サービス部門だ。
本田記者は55年生まれで、79年に入社したベテラン。主に社会部畑を歩み、アフガニスタンやイラクの戦場を取材した経験も持つ。
外から見ると、読者サービス部門とはなにやら場違いに映る。
NHKの特番が「政治家の圧力で改変された」と本田記者は書いたが、この記事について、朝日新聞は、
「記事には不確実な情報が含まれていたが、訂正する必要はない」(昨年9月)
と結論を下している。
「もともと、上層部や他部から異動させろという圧力は強く、ついに社会部が抗しきれなくなった。一つの部に長い『ロートル』は他部署に出すという社の方針に絡めて巧妙に追い出された形と聞きます」(元同僚)
本田記者は、02年に専修大学で行った講演でこう自己紹介している。
「朝日新聞がよく左寄りだとか言われてますけど、その中でもさらにマイノリティーの反体制派です」
■異動する本田記者を直撃
社内では「記者というより運動家」という声がある一方、「事件が起きれば真っ先に受話器を取り、現場に飛び出す根っからの記者」(前出・元同僚)との評価もある。前述の講演では、横浜支局でデスクをしていた時に「県版をほとんど署名記事にして上司とぶつかった」などというエピソードも明かしている。
その本田記者自身、今回の異動に何を思うのか。本誌が電話で直撃すると、
「くだらないことを聞くなよ。ジャーナリストなら、もうちょっとまともなことを取材したらどう?」
と切られた。
いずれにせよ、型にはまらない記者が一人、紙面から消えることになる。
魚住氏は警告する。
「朝日の幹部の根本的な勘違いは、取材の行儀が悪いからマスコミ不信が起きていると解釈しているところです。だから無断録音を禁止したりする。ところが、NHK問題ではそれがネックで録音記録を出せなくなった。ミスした記者は次々に切っていく。負のスパイラルです。危ない橋を渡らずに調査報道などできるわけがない。このままでは、現場は誰も思い切ったことをしなくなりますよ」
朝日新聞の秋山耿太郎社長は、今年の年頭あいさつでこう述べている。
「管理の側面が強すぎると、現場に自由の風が吹かず、朝日新聞の紙面の特徴であるリベラルな言論までが色あせてくる懸念もある」
他社のことではありますが、言うこととやっていることが違うのではないでしょうか、社長!
本誌・日下部聡