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□【SUNDAYウォッチ】「ライブドア狂想曲」終焉 [JANJAN]
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【SUNDAYウォッチ】「ライブドア狂想曲」終焉 2006/02/06
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先週、テレビニュースにおいてはトップ項目からライブドア(事件)が消えた。各局日曜ニュース特集もこれを反映したラインアップとなった。平時においては専門家のゲストを奪い合うこともない。「ライブドア狂想曲」も終わり、番組ごとの特色が出た格好だ。
■報道2001(フジ)
第1部・防衛施設庁官製談合
自衛隊イラク撤収
ゲスト:額賀福志郎・防衛庁長官/森本敏・拓殖大学海外事情研究所長
●トップ項目は防衛施設庁の官製談合事件
額賀長官は8年前にも防衛庁の背任事件で引責辞任した経緯があり、今回の談合事件を腹にすえかねている、と連日報道されている。
先ず女性司会者が、施設庁発注の米軍施設工事54件(02年度〜04年度)のうち平均落札率(予定価格を落札価格で割った)は96.4%、という驚くべき数字をボードで紹介した。談合の悪質さを示したい番組制作者の意図だろう。
司会者が談合の背景、再発防止策を長官に聞いた。施設庁がもともと占領軍の調達庁だった経緯があり特権意識が強い、などと長官は説明した。「施設庁を解体する」と意気込むが、解体の具体策は何ひとつ聞けなかった。
安全保障の右派論客・森本敏氏は額賀長官以上に厳しかった。自衛隊幹部だった同氏は防衛庁、施設庁の内部事情に詳しい。談合罪より公務員法(機密漏示罪)を適用せよ、というのだ。森本氏は返す刀で「米軍再編に影響を与えないようにきちっと対処してほしい」と長官に注文をつけた。
●テーマは自衛隊のイラク撤収に移った。
イラクの自衛隊をめぐっては――
治安が悪化する夏(6月)以前に撤退か、撤収には2ヶ月を要することから早ければ来月(3月)にも撤収着手か、といわれている。
額賀長官は、治安維持にあたっている現地人の仕事ぶりを見ながら自衛隊は一部離れる、という見解を示した。
【電視解剖】(電視=TV)
森本氏は、PRT(Provincial Reconstruction Team=地域復興チーム)として「自衛隊がいたという痕跡を残さなければならない」と自衛隊が形を変えて一部はイラクに残る(残したい)ことを強調した。それも「PRT」と大きく書いたボードを持ちながら。森本氏のコメントが終わると間髪を入れずにコマーシャルへ。第1部の「しめ」だった。自衛隊のイラク派遣をもろ手をあげて歓迎した、この番組らしい演出である。
●このほか
第2部は中川昭一・農水大臣をゲストに招き「BSE米牛肉輸入問題」。第3部は、町村信孝・前外務大臣と田中均・外務省前審議官をゲストに「日朝協議」を論じた。
◇◇◇
番組評価(★は3つが標準点・5つが最高点)
ゲスト :★★★
MC回し :★★
映像と演出:★★
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■関口宏のサンデーモーニング(TBS)
この一週間を集約した「4点セット」の大ボードをスタジオに掲げて、ひとつひとつ映像とコメントで振り返った。
1、BSE米牛肉輸入問題
2、防衛施設庁の官製談合事件
3、耐震偽装
4、ライブドア
【電視解剖】
どのテーマも先ず一週間の動きを映像で紹介し、次にスタジオでレギュラーの評論家陣がコメントをつける。いつもの決まりきったパターンだ。映像は資料映像で、評論家諸氏のコメントには何も新しいものはない。ただし、これがテレビ業界の世界でいう「心地よいマンネリ」だ。仕事で疲れたお父さんがヒジ枕で横になりながら、一週間の動きを見ることができる。さすがだ。
◇◇◇
番組評価(★は3つが標準点)
ゲスト :★★★(この番組の場合レギュラー陣)
MC回し :★★★
映像と演出:★★★
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■徳光のザ・サンデー(日本テレビ)
●トップ項目は東横インの不正改造問題
映像で西田社長の高校時代からのセルフヒストリーを振り返った。続いて東横インの事業実態を元従業員が証言した。「改造部隊がいた」という。同局他番組の再利用映像だが、東横イン西田社長の悪どさ、「犯行」の計画性は十分伺えた。
●第2部の「耐震偽装」は相当に力が入っていた。
ヒューザーの自治体を相手取っての損害賠償請求訴訟、住民側の破産申し立てという先週一週間の動きを映像で振り返った。ここまではテレビ番組としては当たり前なのだが、次の映像は評価に値する。「ザ・サンデーの取材」として住民による破壊検査、施行業者との交渉に動向し、一部始終をカメラに収めているのだ。
「グランドステージ川崎大師」の施工業者は太平工業(一部上場)。太平工業が施工不良を認めたのを実音で録っていた。「施工図を紛失した」という言い訳付きで。番組はすかさず専門家の「(施工図紛失は)ありえない」とする見解を入れる。
破壊検査では、コンクリート床、壁が基準以下であることを、メジャーをあてて示した。
【電視解剖】
音が同時に入るビデオ映像は「物的証拠」である。破壊検査に同行し一部始終をビデオカメラに収めたことは、何よりテレビ的だ。活字媒体で名文家が何万言費やしても表現できるものではない。これがテレビの特性で、番組はそれを存分に活かした。
◇◇◇
番組評価(★3つが標準点)
ゲスト :★★
MC回し :★★
映像と演出:★★★★
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■日曜討論(NHK)
●第1部はBSE問題
ゲスト:中川昭一農水大臣
司会者は、「(脊髄混入は)誰がみてなかったか?」「流通してしまっている危険性はないか?」「アメリカの要請に合わせたということはないか?」など質問した。中川氏は淀みなく答えた。数字をスラスラと挙げる余裕さえあった――よくもまあこんなにも流れるように答えるもんだ。視ていた筆者の感心はたちまち疑問に変わった。
そう。質問項目をできるだけ詳しく箇条書きにして中川大臣宛に送っているのだ。NHKに限らずテレビ局が閣僚にインタビューする時には、質問の事前提出を要請されることが多い。国民の健康問題に関わる問題で、それもここまで打ち合わせができていると、もうインタビューではない。中川大臣「弁解ワンマンショー」のようなコーナーだった。
●第2部は「格差社会を問う」
各党の若手論客が登場し、持論を繰り広げた。
石原伸晃(自民)、原口一博(民主)、高木陽介(公明)、塩川鉄也(共産)、辻元清美(社民)の各氏。石原氏以外は40歳代だ。
野党側はフリーター、貧富の格差の増大などを挙げ、小泉改革による新自由主義の悪弊だ、と攻めた。与党側はこれまでの施し政治、悪平等からの脱却を説いた。NHKらしく出演者全員に満べんなく、ほぼ同じ持ち時間で語らせた。
【電視解剖】
紅白歌合戦の演出にみられるように「予定調和」を最善のポリシーとするNHKの体質がそのまま出た番組だった。中川大臣への米牛肉輸入問題インタビューは、それを象徴していた。問答には何一つ新しいものはなく、中川氏の表情はひとつも変わらない。こうなると、もはやテレビで伝える意味はない。
◇◇◇
番組評価(★3つが標準点)
ゲスト :★★★
MC回し :★
映像と演出:★
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■サンデープロジェクト(テレビ朝日)
●トップ項目はBSE米牛肉輸入問題。
「中川農水大臣緊急生出演」のふれこみで中川昭一氏がゲスト。
「国会は空転し、衆院では予算審議が止まっています」と司会者(男性タレント)が前振り。問題の大きさを強調し視聴者の関心をひく。のっけからこの番組ならではの手法でコーナーは始まった。
田原氏は、中川大臣の答弁が二転三転した理由を追及した。
田原「松野議員(民主)への回答はどこが書いたのか?」「厚労(厚生労働省)と思って読んだら、実は農水(省)だった」「中川さんは直前までダボスに行ってた。答弁書を読んだのはいつ?」と畳み掛けた。田原氏の意図は中川大臣本人への追及ではなく、明らかに背後の霞ヶ関(官僚)から中川氏が踊らされたことを炙り出すことにあった。
案の定、農水省の事務次官が現地調査は「事後」でもよいと言っていたことが、番組の中で明らかになった。
【電視解剖】
眉間に深いシワを寄せて返答に窮する中川大臣を、カメラはアップで追い続けた。つい1時間ほど前、NHK「日曜討論」でスラスラと答えていたのとは、まるで別人のような姿があった。
レギュラーコメンテーターの松原聡・東洋大教授が「政府は食の安全よりも日米関係を大事にしたのかと思われてもしようがない?」と発言した。問題の本質を突いたコメントがタイミングよく飛び出すのもこの番組の特徴だ。
●第2部は「ライブドア事件」と「皇室典範改正」
ゲスト:片山虎之助・自民党参院幹事長、仙石由人・民主党前政調会長
自民党がホリエモンを総選挙で応援した責任や投資事業組合の問題点を論客の2人が討論した。攻める仙石氏(民主)。のらりくらりとかわす片山氏(自民)。ライブドア事件でおなじみになりつつある自民と民主の構図があった。
「皇室典範改正」は持ち時間の都合で短かったが、田原氏が深く斬り込んだ。「今国会では(成立は)無理か」との田原氏が問うと、片山氏は即答を避けた。田原「(皇室典範改正法案が)通らなかったら解散は?」「決まらなかったら、その段階から小泉さんはレイムダック(死に体)ですよ」と得意の挑発を繰り出した。
【電視解剖】
皇室典範改正を政局にしてはいけない、とする仙石氏の見解に片山氏が同調した。田原氏の意図に反して自民、民主の論客2人は冷静だった。皇室典範改正は郵政法案ほど燃えないのでは、と暗示する場面だった。生放送は制作者の意図とは違うものが突如として飛び出し、そこに事の本質が見えることがある。名手・田原総一郎がハグラカサレタ一瞬だった。
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番組評価(★3つが標準点)
ゲスト :★★★★
MC回し :★★★★
映像と演出:★★★
(竹谷昇)
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※SUNDAYウォッチは、毎日曜日朝のNHK、民放キー局のニュース報道番組をウォッチする企画です。時事刻々と移ろう様々な時事ネタ、事象をテレビはどのように選択し、どう編集し、報道したのか。隠し味としてのテレビ報道批判の視点がテレビの現在を鋭く抉ります。ご期待ください(編集部)