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□ホリエモン本 宴終わって…… [読売新聞]
http://job.yomiuri.co.jp/news/jo_ne_06020313.cfm
【コラム】ホリエモン本 宴終わって……
ライブドア事件で逮捕された堀江貴文容疑者の著書は、20冊余りに上る。
『100億稼ぐ仕事術』、『儲け方入門』といった起業家向けのビジネス書から、メールの活用法指南、本人の東大受験体験をもとにした英単語学習帳まで「ホリタン」との愛称で売られた。
大半が大阪近鉄バファローズの買収問題でマスコミに注目された2004年以降の出版で、〈人の心はお金で買える〉との発言が物議を呼んだ『稼ぐが勝ち』は、文庫版も出て、総部数は21万部を超える。
その過熱ぶりは、「今までの経済の常識が破綻(はたん)した中で、手本となるヒーローは彼しかいなかった」(編集者)ためとも、「柳の下には何匹もドジョウがいる」と言われる出版界の便乗体質が現れたともいえるだろう。
突然の転落劇は波紋を呼んだ。扶桑社が1月末に予定していた本の出版を延期、12月発売の宮内亮治容疑者(ライブドア元取締役)との共著『ライブドアの世界一になるキャッシュフロー経営』(サイビズ)は、「儲ける会社の肝」から「失敗の本質」へと帯を掛け替えた。
最も大きな影響を受けたのは、ライブドアと幻冬舎グループの合弁会社、ライブドアパブリッシングだ。
書き手の確保が難しくなって2月以降の新刊刊行を見合わせ、堀江容疑者の著書などライブドア関連の既刊6冊は出荷をストップした。
同社は昨年2月、ブログの書籍化などを目的に設立。これまで38冊を刊行し、小規模ながら、ネット時代に対応した新時代の出版社として期待は大きかった。
1周年を前に事業拡張を予定していた親会社の幻冬舎経営企画部は、「書き手や読み手の心を戻すのは難しい。今後、ライブドア自体の責任が問われれば、提携の解消もありうる」と困惑を隠さない。
『稼ぐが勝ち』文庫版の中には、〈建前で成り立っていた旧システム〉出版界の未来についてこんな予測がある。成長したオンライン書店が作家に直接原稿を依頼し、〈出版社がいらなくなるかもしれない〉と。
<日本にはグレーゾーンがたくさんあります>などという自らの運命を予期するような記述同様、“革命児”の予測は、あるいは的を射ているのかもしれない。
だが、異常なまでのホリエモンブームと、宴の後の落差は、本の世界にも後味の悪さを残した。(佐藤憲一)
(2006年2月3日読売新聞)