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□【SUNDAYウォッチ】またもや「ライブドア報道」 一歩引いた報道も [JANJAN]
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【SUNDAYウォッチ】またもや「ライブドア報道」 一歩引いた報道も 2006/01/30
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堀江前社長逮捕後初めての日曜日、各局とも昨週に引き続き「ライブドア報道」に花を咲かせた。今後の捜査を予想する一方で社会に与えた影響も考える一歩引いた報道も目についた。
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■報道2001(フジ)
●第1部:ライブドア事件
〜宗像紀夫・東京地検特捜部元部長に聞く〜
宗像氏はリクルート事件の捜査を指揮したかつての辣腕検事。
宗像氏
「リクルート事件と違うのは(ライブドアが)本格的な経済事犯ということだ」
リクルート事件は未公開株を政界中心に各界にばら撒いた。多くの政治家、経済人、文化人などが挫折した。それでも手口はライブドアの錬金術と比べれば単純で、逆に言えばライブドアは悪質だということか。
「いきなり強制捜査で(一週間後に堀江容疑者はじめ幹部)いきなり逮捕だが、(地検は)何ヶ月も前から内偵していたはずです」
女性司会者:政界への波及は?
宗像氏
「『風説の流布などによる経済事犯』特捜がやる時は経済事犯にとどまらない」「(取調べのなかで、次に捜査に進む)材料を手に入れるだろう。投資事業組合は重要なスキーム。政界が絡む場合が多い。特捜は(材料が)あればいくだろう」「第1ラウンドが終ったばかり。別な経済事犯が出てくるだろう」
司会者:どれ位までいくだろう?
宗像氏
「(ニッポン放送買収の際の)市場外取引は、違法取引と(私は)考えていた。30分で1000万株が取引された。市場外で合意がなされないことには取引が成立するはずはない。ニッポン放送買収は違法だと当初から(私は)考えていた」
司会者の「どれ位まで行きますか」という問いに元特捜部長は上記のように答えた。ということはニッポン放送、フジテレビ買収事件の資金源とされているMファンドまで行くということだろうか。元部長は「新たな経済事犯が出る」とまで言及している。
元特捜部長の最後の言葉は、マスコミには耳が痛かったはずだ―「マスコミが『否認している』といっても、本人は認めていることもある。その逆もある」
●第2部:永田町ライブドア3兄弟
昨年の総選挙でホリエモンを応援した小泉首相、武部幹事長、竹中総務相は、先週になってやっと責任を認めた。第2部は、自民党の責任を問うた。自民側からは片山虎之助・参院幹事長と佐藤ゆかり幹事長代理、野党は民主党の枝野幸男衆院議員が出演した。
自民は当然幕引きをはかるコメントが目立った。民主・枝野氏の追及は言い古された情報のみで、鋭さのかけらもなかった。
【番組総評】
第1部「宗像・東京地検特捜部元部長に聞く」は、それなりに
(特にMファンドを匂わしたあたり)聞き応えがあった。
第2部「永田町3兄弟」は何一つ目新しい情報はなかった。自民党幹事長代理・佐藤ゆかり氏の弁解のうまさと民主・枝野氏の情報のなさが印象に残った。
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■徳光のザ・サンデー(日本テレビ)
トップ項目は―
●ライブドア事件
ホリエを生み出した社会背景として「バブル崩壊→市場原理主義→IT悪名→堀江登場」を【映像】で先ず振り返った。
・若者討論〜ホリエモンが与えたもの〜
20代前半で起業した若者、学生投資家、ホリエモンのかばん持ちを経験した東大生など4人をスタジオに呼びディスカッション。
肯定的意見:「若者に活力と夢を与えた」「投資を身近に感じさせた」「金儲けがダメだということになると日本は沈滞してしまう」「勝ち組になりたい」など。
否定的意見:「『お金で何でも買える』は間違いだった」「グレーゾーンのツメが甘かった」「ホリエに期待していた若者を裏切った」など。
※ディスカッションでは堀江容疑者を肯定、擁護する意見が圧倒的に多かった。
●一夫多妻男〜生活の実態〜
ハーレム男と女性たちの共同生活はどんなものだったのか。密かに期待したがご近所のインタビューが中心で「のぞき」にもならなっていない。レベルの低いテレビ企画、というか企画にもなっていない映像コーナーだった。
●エゾシカ捕獲〜北海道〜
人間界に降りてきて畑を荒らしているエゾシカの捕獲を映像リポート。
●野生孔雀捕獲〜沖縄〜
リソートホテル観賞用から台風で逃げ出し野生化した孔雀の捕獲。
これも映像リポート。
【番組総評】
ライブドア事件の「若者ディスカッション」が少し気が利いていた程度。「エゾシカと孔雀捕獲」は明らかに系列地方局が地元で一度オンエアしたものの再利用。長島に憧れて日テレに入っただけの徳光キャスターにジャーナリスティックなものを期待する方が所詮ムリというものだろう。
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■関口宏のサンデーモーニング(TBS)
●ライブドア事件
堀江前社長は容疑を否認していると伝えられているが、番組では
元ライブドア幹部社員インタビューを先ず紹介した。
「エグゼキュティブ・メールというのがあった。ライブドアの業務システムからして堀江(容疑者)が知らないはずはない」
〜自民党の責任〜
番組スタッフは過去の資料映像(膨大にある)を洗い出したのだろう。昨年の総選挙で堀江前社長が出馬の際、小泉首相は「エールを送りたい」とまで言っている。
田中秀征氏(政治評論家)
「こういう人をバカにした話はない」
浅井愼平氏(写真家)
「大人がいなくなった」
佐高信氏(評論家)
「MHKが出てくるキナ臭さが小泉内閣にはある」
※MHKとは、村上ファンド、堀江貴文氏、木村剛氏の頭文字(編集部)
岸井成格氏(毎日新聞特別編集委員)
「政治は結果責任」「東証、金融庁は何をしてたんだ」
田中秀征
「『国民はバカだ』で堀江を見抜いた岡田(民主党党首・当時)は大したもんだ」
〜ライブドア新体制〜
元女性社員インタビュー
「社員が次々とライブドア離れをしている」「インフルエンザで長期休暇と理由をつけて」
ライブドア事件の他には―
●東横イン偽装事件
●ヒューザーの引越し
住民だけではなくあのヒューザーも丸の内から大田区に移った。大田区は小嶋社長が不動産業を始めた懐かしの地らしい。
●BSE問題
【番組総評】
1週間を映像でザッと振り返って評論家諸氏がコメントをつけるのが、この番組の性格だ。ライブドア事件があろうが何があろうが番組のキャラは変えない。今週何があったのかをダイジェスト風に知りたいサラリーマンには有難い番組かもしれない。
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■日曜討論(NHK)
国会はライブドア事件、耐震偽装、BSE問題をめぐって論戦が繰り広げられている。各党幹事長(代理・代行)、書記局長が討論した。
●NHKといえども、自民党が堀江前社長を総選挙で応援したことを、冒頭のテーマに取り上げた。
司会者:(自民)党の責任が問われませんでしょうか?
逢沢一郎・自民党幹事長代理
「(広島6区の)戦況がおもわしくない、ということで武部さんが入った」
鳩山一郎・民主党幹事長
「影の部分、行過ぎた中(構造改革)で今回の事件(は起きた)。自民党とホリエモンは持ちつ持たれつ。政府保証が(ライブドアに)与えられた。武部幹事長が出てこられないのは問題だ」
太田昭宏・公明党幹事長代行
「ライブドア事件と選挙は切り離して(考えなくてはならない)別問題だ。ただ金で何でも買えるといのはよくない。株には政府保障を与えた」
市田忠義・共産党書記局長
「堀江容疑者は『小泉改革で商売がやりやすくなった』と言っていた。小泉構造改革が今度の事件を生んだ」
又市征治・社民党幹事長「(武部幹事長は)息子だ弟だと囃したてた。政府保証を与えた。投資家22万人が損した」
●ライブドア事件の他にも耐震偽装、BSEについても各党代表は討論した。
【番組総評】
どのテーマについても党の公式見解をそのまま述べるだけで、全く素っ気なかった。出演した各党の政治家にとって血圧を上げずにすむ“健康的な”番組だった。良くも悪しくも公共放送の性格がそのまま出た。
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■サンデープロジェクト(テレビ朝日)
●第1部:ライブドア事件
田原総一郎氏:(堀江容疑者は)閉塞の時代に風穴を開けるものとして、特に若い人たちの間で期待された。ところが新聞、テレビは犯罪者だと言いたてている。(堀江前社長とは)何だったのか?
永沢徹氏(M&Aに詳しい弁護士)
「ライブドアは悪徳商法、自分たちでは信用がないから、信用を得ようとしてニッポン放送、近鉄の買収に乗り出し、選挙にも出た」
吉田望氏(ノゾムネット代表)
「グレーゾーンに足を踏み込んだ人は居続けることはない。足を洗うか、塀のあっち側に落ちるかどちらかだ。堀江さんの場合あっちに落ちてしまった」
佐々木俊尚氏(ライブドアの取材を続けるジャーナリスト)
「ライブドアのホワイトの部分までを批判しあうのはおかしい。功績はいけている。2004年の夏から道を踏み外してしまった」
田原氏
「(野口取締役の自殺は)週刊文春のように他殺説もあるが……」
宮崎学氏(作家、暴力団の世界に詳しい)
「自殺ですね。わかり安い自殺事件です」
須田慎一郎氏(事件取材に長けた経済ジャーナリスト)
「他殺だと思いますね。沖縄県警は再捜査するようだし、警察庁が再捜査を指示した」
宮崎氏
「警察庁の指示は聞いていない」
宮崎、須田両氏の見解は真っ向から対立した。ちなみに警察ほど政治に弱い組織はない。御上(政治家)からの電話ひとつで捜査方針なんて180度変わる。
田原氏「暴力団との関係は?」
宮崎氏
「ライブドアの買収先の企業で、スネに傷持つ会社がある。前社長が逮捕されている企業もある。アングラマネーは、年間5兆円が動いていると言われる。ホリエがアングラマネーを扱っていなくても企業買収のなかで(暴力団と)ぶつかる」
田原氏「なぜ特捜が出てきたのか?」
この質問に明解に答えたゲストはいなかった。
〜ライブドア本体の粉飾決算〜
宮崎氏
「特捜の問題意識はインサイダー取引にあると思う。自民党まで行くというのは付属的なものだ」
田原氏
「政治家(へは捜査の手が伸びるか)?」
宮崎氏
「投資組合からどこへ(金が流れたか)、ホリエモンに誰がくっついていたかだ」「ただし地検は底が抜ける捜査はしない。(それで)自民党は救われる」
確かに検察の捜査は、政治的状況を考えて進める(政治に弱いということではなく)。宮崎学氏は裏社会に精通しているだけあって、捜査当局の実情にもさすがに詳しい。
●この後、与謝野馨・財政金融政策担当相、財界の御意見番である諸井虔(太平洋セメント相談役)に、田原氏がホリエモンの功罪を聞いた。
●次は各党の政治家がライブドア事件、耐震偽装、BSE問題を語った。
【番組総評】
ライブドアの企業買収に絡んで暴力団との関わりがある部分を指摘したのはさすがだ。裏社会に通じた作家、ライブドアを追い続けているジャーナリスト、M&Aに詳しい弁護士など多士済々のゲスト陣。日曜朝の同種番組と比べると情報の質、量共に他の追随を許さない感がある。
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1月29日、ライブドア報道に見る各局比較
田原氏の強引な手法に批判は多いが、【サンデープロジェクト〜テレビ朝日〜】は、やはり大事件になればなるほど強かった。ライブドア取締役の怪死、政治家まで捜査は行くのかなど(視聴者の)関心事に答えている。【関口宏のサンデーモーニング〜TBS〜】はライブドア事件に評論家が良識的なコメントをつけるに留まった。「高級ワイドショー」だ。それも番組のポリシーである。【報道2001〜フジ〜】は教科書問題や構造改革になると元気が出るが、ライブドア事件のように得意ではないテーマになると大人しい。【日曜討論〜NHK】は局の性格がそのまま出た。【ザ・サンデー〜日本テレビ〜】はただ1週間を映像で振り返っただけ。
(竹谷昇)
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