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テレビ業界は儲かりません
http://meinesache.seesaa.net/article/3901731.html
以前一緒に働いていたディレクターから、職場を変えたいという相談を受けました。某公共放送局に派遣されている男です。
環境が悪い、給料が悪い、自分のやりたいことと違う・・・どんな仕事にも不満はあります。ぼくは普段そういう悩みには同情しないのですが、話しを聞いていて、テレビ業界の現実に改めて暗澹とした気持ちになりました。
彼の一番の不満は、今の仕事の内容が自分の求めているものと違うということにあるのですが、別の職場を紹介してやるにはお金の話しをしないわけにはいきません。で、今いくらもらってるんだと聞くと、年に400万くらいだと言います。
番組制作会社に入社して10年以上たつ34歳の男が、ボーナスを含めて額面で400万、手取りにするとたった320万程度です。
彼はとびきり優秀なディレクターではないかもしれませんが、決してダメディレクターではありません。それなのに、カミさんがパートで働いて、2人合わせてやっと年収400万では、子供を作って健全で幸せな家庭など築けるはずもありません。
テレビ業界というのはこういう所なのです。
どのテレビ局でも社員はいい給料をもらっています。34歳だったら額面で800万から1000万にはなり、会社から経費も出て、それを遊興費にあてることもできます。しかし下請けは、そうした景気のいい話しとは無縁です。
テレビ局というのは、社員だけですべてをまかなえないので、番組そのものを外注したり、外部の制作会社から人員の派遣を受けて番組を制作します。あるニュース番組に30人スタッフがいるとすれば、そのうち20人は派遣と見ていいでしょう。
そういう「派遣社員」に対して、実はおおもとのテレビ局が計上するギャラは決して悪くありません。ひと月あたりADなら4、50万、ディレクターなら安くても70万程度は支払います。しかし、本人の手元に渡るのはその半分になってしまうのです。
なぜそうなるかというと、今回ぼくに相談した彼の場合でいうと、こういうことです。
NHKの場合、番組制作のかなりの部分を、NHK情報ネットワーク、NHKエンタープライズといった系列企業に委託しています。委託を受けた系列企業は、外部の制作会社から兵隊を集めて業務をこなします。ですから、NHKが彼の働きに毎月70万円払っていたとしても、まず系列企業が中間マージンをとり、さらに彼が所属している制作会社が上前をはねるので、彼の手元には雀の涙しか落ちてこないのです。
そうした孫請け構造に加えて、天下りの存在もあります。彼の所属している制作会社は、NHKとその系列企業に100人以上を送り込むなかなかの規模を誇る会社なのですが、それだけの発注を受けるには、その見返りとしてNHKから天下りを受け入れなければなりません。そして、天下りした役員たちに高額な報酬を支払うために、一兵卒のギャラは極限まで搾り取られるのです。
そもそも、NHKと派遣会社の間に入るNHKの系列企業からして、NHKを退職した元職員と、出向という形でNHKから送り込まれる職員で運営されているのですから、こうした派遣構造自体、巨大な搾取装置といえます。
これは何もNHKだけではなく、民放各局でも同じ状況です。そして恐らく他の業界でも、大企業というのはそういう風に運営されているのでしょう。しかしそれにしても、天下り構造によって維持されているテレビ局が、公務員の天下りを得意になって叩くのは、一体どういう神経をしているのだろうかと、人間の醜さに目がくらみます。
もし、テレビ業界で働きたいと思っている若者がこれを読んでいたらぜひ言いたい。テレビ業界で働きたいのだったら、安定した高収入が保証される局員か、一攫千金が見込めるタレントを目指して、それがダメならあきらめなさい。制作会社でもいいから働きたいというのであれば、テレビ局から番組の外注を受けているような、企画制作能力がある会社を選びなさいと。
テレビ局への人員派遣を主な業務とする制作会社に入ることは、テレビ局員の懐を潤わすために、奴隷契約を交わすのと同じことです。
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