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2006.1.8(その2)
2006年森田実政治日誌[19]
2006年元旦の社説にみる大新聞の堕落【4】――日本経済新聞の反省なき「人口減」論
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1月1日の日本経済新聞の社説のタイトルは「人口減に克つ/成長力を高め魅力ある日本を創ろう」。
日経社説はまず、人口減少について「これを座視すれば、日本は衰退への道に足を踏み入れる」「人口減の影は将来世代だけでなく回復する日本経済をもおおう。人口減が進行すれば、消費はなえ企業経営を圧迫する。税収は上がらず、財政危機を深める」「縮み経済の悪循環はやがて日本を衰亡させる」と強い危機感を示す。この上で経済成長の必要性を訴えている。
だが、日経社説には決定的なものが欠落している。日本における人口減少の原因に関する分析がない。なぜこういう事態になったのかを論じていない。人口減少社会になったら大変だから、経済成長で人口減少を食い止め、人口増へ転ずるようにしようというだけである。
対策としては「まず少子化にあらゆる対策を結集」し、「そのうえで、国をあげて成長戦略を強化する」。具体策としては「雇用創造」「技術創造」「市場創造」の三つをあげて、こう結論づけている――「人口減に克つために、日本は創造的改革をてこに新たな成長をめざさなければならない」。
日経社説は「人口減に克つためには経済成長が必要だ」と説く。だが、今日まで日経新聞は経済成長に否定的な小泉内閣を支持し、経済を縮小させる小泉内閣が進める構造改革政策を応援してきた。
小泉内閣は日本経済を成長させない政策をとってきた。失業増を放置し、地方経済を荒廃させ、中小零細企業を切り捨て、高度成長ででき上がった総中流社会を崩壊させ、米国の意に従って不況政策をとり、日本経済の成長能力を抑制する政策をとってきた。繰り返すが、日経はこの小泉内閣を支持し、応援してきたのだ。 いまさら経済成長が大事だと大声で叫んでも、それは狼少年の叫びに似ている。
日経は、まず、自らやってきたことについての反省から出発すべきである。自分自身が日本を人口減少社会にした張本人であることをまず反省し、謝罪すべきである。己の愚かさ、過ちについての反省、原因究明を行ってはじめて次の課題に挑戦する資格ができる。狼少年のようにいままで嘘ばかりついてきた新聞が、「人口減だ、大変だ、経済成長が必要だ」といくら叫んでも、信用されないだろう。真剣な自己反省なくして、信頼回復なし、である。
経済成長は必要である。たとえ人口減少社会が到来しなくても、経済成長がなければ資本主義経済は成り立たない。これはわかり切ったことである。日本の経済成長を潰してきた張本人が、日経が褒めそやしている小泉構造改革であり米国政府と巨大資本が推進するグローバリズムである。
繰り返す。いままで日本の富は米国政府と米国のハゲタカファンドに吸い尽くされてきた。この米国による「日本の富吸い尽くし」を、米国政府の手先になり先頭に立ってやってきたのが小泉内閣である。これを熱烈に支持してきたのが日経を含む大マスコミである。このことを反省しなければ、何を言っても信用されないことを日経は知るべきである。