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2005.12.25(その1)
2005年森田実政治日誌[537]
東京新聞が今まで大マスコミが隠しつづけてきた“真実”を報道した!「郵政民営化は、単なる国内問題ではなく、ブッシュ大統領と小泉首相との間の中心的政治問題だった」ことをやっと報道した東京新聞。真実の情報を隠しつづけてきた大新聞の一角が崩れた。他の大新聞は、まだ報道せず、この問題の本質を隠しつづけている。
「新聞は世界の鏡である」(エリス、1859-1939、英国の心理学者・医者・著述家)
東京新聞が、「郵政民営化がじつは米国政府の要求にもとづくものだった」ことを報道したことは、遅すぎたとはいえ、大いに評価すべきことである。他の大新聞は、いまだにこの問題について知らぬ顔をつづけている。「世界の鏡」としての新聞の役割を放棄している。この問題を取り上げた東京新聞政治部の豊田洋一記者に敬意を表する。
12月18日の「ブッシュと小泉――構造改革の底流」(上)では、11月16日に京都で行われた日米首脳会談で、ブッシュ大統領が「郵政改革の下での保険事業に関し、外国企業が同等の扱いを受けるのか、米国の関連部門が懸念を持っている」と発言したこと、これに対し小泉首相が「郵政民営化を進める中で、外国の企業にも同等の条件を与える」と答えた、と書いている(このことはいままで新聞は書かなかった。これは関岡英之氏の『文藝春秋』1月号論文で明らかにされている)。
さらに、ブッシュ大統領が2004年9月のニューヨークでの日米首脳会談で「郵政民営化の進展ぶりはどうか」と郵政民営化問題に言及したことも書いている。このことも、その当時、新聞は報道しなかった。日本の大新聞は、日米関係とくに日本の国民の生活に関わる問題についてはほとんど報道しなかった。
12月19日の「ブッシュと小泉――構造改革の底流」(下)では、米国政府が、毎年、日本政府に提出している「年次改革要望書」に、1995年から簡易保険廃止が盛り込まれていることを明らかにした。
このことはすでに2004年4月に刊行された関岡英之著『拒否できない日本』(文春新書)で明らかにされていた。だが、大新聞はこの問題を避けてきた。関岡氏や私の発言を朝日新聞が掲載したことはあったが、他のすべての大新聞は「年次改革要望書」の報道を避けてきた。明らかに「年次改革要望書」を隠したのだった。大新聞は小泉内閣と一体になって「年次改革要望書」の存在が国民に知られないようにしてきた。
東京新聞(12月19日)はこう書いている――「大型店の出店を規制する大規模小売店舗法の廃止など、米側の年次改革要望書に盛り込まれた内容がこれまで次々と実現している。要望書が日本の構造改革を進める『指南書』となってきたことは否めない」。
以上のことは、すでに関岡英之氏や私が何回も指摘してきたことである。私はこの1年半の間、「年次改革要望書」という日本政府の構造改革に対する米国政府の「指南書」の存在を明らかにすべきだと訴えつづけてきた。しかし、こうした主張をしたためにマスコミから干された。9.11総選挙が終わるまではとくに徹底的にマスコミから嫌われ排除された。もちろんその後もマスコミの姿勢は変わっていない。「言論の自由」を守らないマスコミは有害である。
遅きに失したとはいえ、東京新聞が、重要情報隠しを行ってきた他のマスコミに先立って、「年次改革要望書」の存在を報道したこと自体はよいことである。
12月19日付け東京新聞の同欄は次の言葉で結ばれている――「小さな政府、競争重視、自己責任…。小泉改革のキーワードはほぼ例外なく、ブッシュが目指す国家像と一致する。ブッシュと小泉の蜜月関係の陰で、日本の米国型への国家改造は着々と進んでいる」。
やっと「小泉改革」の本質を大新聞が取り上げるようになった。ここからさらに小泉政権のマスコミ支配を崩していかなければならない。同時に、米国政府に過度に依存する「従米政治」を打破しなければならない。