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日本のメディアは「追いかけて殺到、追いかけて自粛」の繰り返し(綿井健陽のチクチクPRESS)
http://www.asyura2.com/0510/hihyo2/msg/418.html
投稿者 gataro 日時 2005 年 12 月 26 日 00:02:29: KbIx4LOvH6Ccw
 

http://blog.so-net.ne.jp/watai/2005-12-16 から転載。

▼「ドキュメンタリーの力」(東京・シネマアートン下北沢)
12月10日(土)〜23日(金・祝)午後8時30分〜
http://www.tvc-net.com/shas/ibent.html
場所→http://www.cinekita.co.jp/kannai_ac.html
期間中のトークイベントの詳細は→http://www.cinekita.co.jp/lineup/documentary.html

※上映されているABCの3作品の中でこれまでに僕が見た番組が一つある。Bの「そして僕は日本で生まれ育った〜在日コリアン・家族の100年〜」だ。これは絶対に見逃してはいけない!一人の在日コリアンの家族の歴史をたどりながら、日本と朝鮮半島の間で切り裂かれ、ときにつながり、あるいは消されてきた在日コリアン100年の歴史がそのままこの番組に凝縮されている。

 この番組の製作にはアジアプレス大阪事務所の石丸次郎も関わっているが、主人公でもある玄真行ディレクターは、これまで何度か書いた「●●を撮る」(来年1月OA予定。詳細はもうしばらくお待ち下さい)の番組ディレクターでもあり、この番組を製作した「東京ビデオセンター」の皆さんとその撮影ロケを行っておりました。そしてそのときの撮影カメラマンは、もう一つの上映作品Aの 「無頼の遺言〜棋士・藤沢秀行と妻モト」の手島透・杉山徹さんのお二人でした。この機会にぜひご覧下さい。

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13日(火)に帰国した。アンマンは暖かかったが、日本はなぜにこんなに寒い。

まったくアンマンの空港の出国審査でさえ、係官から「何だこのビザの取り消しは?」と聞かれて、「知らんわい。こっちが聞きたいぐらいじゃい!」と叫びたかったが、おとなしく素直にアホな苦笑いをして切り抜けた。ビザどころか、あのパスポート自体怪しまれてもう使えんな。

帰国して久しぶりに日本のテレビを見ると、相変わらずみんなで走って「追いかけて」ますねえ。あの建築士の証人喚問が終わると、バイク20台ぐらいを連ねて彼の乗った車を各社「追いかけて」ますねえ。よくテレビは年末に暴走族の「集団暴走行為」一斉取締りの企画をやるが、これこそ「集団暴走行為」で道路交通法に違反していると思うので、「一斉検挙」してみたらどうだろう。

さらには自宅に戻ってきた彼の息子にまで話を聞いたりしていたが、それって「必要な取材」なのかなあ。ラーメン屋の行列から、タマちゃんやらカモちゃんやら、杉村議員も、いつもみんなで「追いかけて」、テレビは人や動物を追いかけるのは得意だが、問題の本質や背景を追いかけることがあまり得意でない。

さて、明日は誰をみんなで「追いかける」んだろうか?
集団取材というよりも、「集団追尾」と言った方がいいかもしれぬ。

日本のメディアは、「殺到か、自粛か」の両極端をいつも繰り返す。一度にみんなで殺到するので、メディアスクラム状態になる。で、殺人事件の遺族・家族の取材はその反動で、今度は「自粛」せざるを得なくなる。最近、連続して起こった子どもの殺害事件では、遺族・家族からメディアに対して「報道各社へのメッセージやお願い」が警察を通じて出され、それを受けて各社が「節度ある取材・報道の申し合わせ」を行うというパターンだが、これが最近定着しつつある。

このままだと、どんな事件でもこのパターンになって、家族から警察を通じて提供される「公式」写真・映像や、警察からの「お貸し下げ」写真・映像ばかりになり、やがて北朝鮮による拉致被害事件のときのように、だれも単独取材ができなくなって、やがてはテレビ番組の「皇室アルバム」みたいになるぞ。殺人事件だけではない。サマワの自衛隊報道だって同じだ。派遣当初は100人以上が「殺到」、その後はゼロの「自粛」状態がずっと続いている。総選挙の候補者の取材も、芸能人の取材もだんだん区別がつかなくなってきた。

この「殺到と自粛」を繰り返す限り、メディアは絶対に誰も味方につけることができない。市民からは敵視され、政治の側からは法律でもって様々な「メディア規制」の網が仕掛けられる。「報道・言論の自由」という言葉が、これほどまでにむなしく「無意味に聞こえる」時代はない。

また同じ本からの引用で恐縮だが、結局「最後には読者、視聴者も権力と足並みを揃える。権力はそれを狙っている」(「新聞記者の処世術」原寿雄著 晩聲社)←この本は87年に出版されたが、当時の中曽根政権といまの時代状況が非常によく似ていることがわかる。

これがメディア規制の「完成型」だろう。規制も圧力も弾圧もいらない。自然にメディアの側が自分たちで自分たちの首を締めて、自分たちで自粛して、検閲をして、そしてみんな「同じような」映像と写真と活字が並べば、支配する側は楽チンだ。黙って見ていてもいいし、あるいはせっせと自分からPR・広報をすれば、それをそのまま流してくれるから。

それで行き着き先は、僕らの「無条件服従」と「沈黙の共謀」か。「民意」や「国民の総意」はこうしてつくられる。

「殺到」と「自粛」の間に、ほんとうに追いかけるべき「取材対象」や「現場」はないか?
「みんなで走って追いかけ、誰かを追いつめる」んじゃなくて、「一人で歩いて取材して、問題を追い詰める」ことはできないだろうか?

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