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ウェブニュース「JANJAN」より記事を紹介します。
(典拠:http://www.janjan.jp/media/0512/0512210614/1.php)
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鹿砦社事件の本質は言論大弾圧への予行演習
2005/12/22
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鹿砦社・松岡利康社長が、名誉毀損容疑で逮捕されてから、もう5ヶ月を越えている。先日も、第2回公判が行われ、その後3度目の保釈請求がなされたものの、即刻却下された。
この件では、一部のメディアを除いて、「どうせ暴露本出版社だから…」という態度だ。松岡氏本人の言葉を借りると「見棄て感」がある。
しかし、この事件は、権力が、言論を“合法的”に弾圧するための、言わば予行演習に過ぎないと、松岡氏は考えている。第2回公判に先立ち、松岡氏から支援者にメッセージが託された。その一部を紹介すると、「鹿砦社に対する弾圧が既成事実となって、今後常態化していくことの危険性、そのことに無自覚なメディアの態度」を憂慮している。現に、その後も、言論弾圧事件が続いているではないか。
この、松岡氏の憂慮は、筆者も同じである。第1回公判の記録は、筆者が鹿砦社の「紙の爆弾」12・1月号に書いたので、ぜひ読んで欲しいが、ここでは、事件のあらましを振り返ろう。
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月刊「紙の爆弾」12・1月合併号(鹿砦社発行)
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(1)裁判所も説明できない逮捕理由
2005年7月12日、鹿砦社はガサ入れを受け、松岡氏は逮捕された。容疑は、パチスロメーカー、アルゼの役員の私生活を暴いたこと、さらに、阪神タイガースの元スカウトの転落死が、あたかも現役の阪神球団の職員による犯行との記述を行ったこと、以上の告発を、著書およびホームページで行ったことである。
逮捕の1週間後、松岡氏の拘置理由開示法廷が開かれた。だが、逮捕理由について、裁判官は、「証拠隠滅の恐れがあるから」と言った。しかし、証拠の書籍などは書店などに流通しており、隠せるはずがない。この点を松岡氏の弁護士が追及すると、裁判官はついに「(逮捕の)理由を言う必要はない」とまで開き直った。
こんなことがまかり通るなら、どんな人でも、屁理屈を付けて逮捕できる、治安維持法の再来ではないかと筆者は感じた。逮捕するのに理由は要らない、権力側が「気に入らない」と思ったら逮捕できる、そんな世の中である。この逮捕は、接見禁止付きという、公安事件並みの扱いであった。接見禁止は第1回公判後解除されたものの、未だ松岡氏は保釈されていない。
(2)法廷でこじつける検察
第1回公判は、松岡氏の罪状を検察が読み上げたものの、「こじつけ」としか思えない代物であった。アルゼに対する批判としては、“公人”の問題が俎上に上がっているわけで、政治家によるメディア弾圧と同じく、名誉毀損の濫用である。さらに、検察は、問題の本をどこどこの取次ぎ、書店を通して、インターネットの表現をどこどこのサーバーを通して、と、流通経路も糾弾する始末である。こんなことが規制されるなら、表現など出来ない。
(3)松岡氏のメッセージ
大阪・門真の市会議員が、違法献金をでっち上げられ、逮捕された。立川の反戦ビラ問題は、高裁で逆転有罪となった。松岡氏はこれらを見て、「もはや「表現の自由」ということを軽々しく口に出来る時代ではなくなった」と語っている。
しかし、松岡氏は、メディアの“見棄て感”にも関わらず、「私の闘いは、決して私だけのものではない、わが身を捨てて闘うべきものだという確信に近いところに至った」と獄中からメッセージを発している。支援者の声もあり、「何とか自らに鞭打ち、気持ちを取り直して、独房で過ごしてきたのが実情である」と語る。
この言葉を、表現に関わるものは、皆肝に銘じて欲しい。松岡氏の立場は、表現に関わるもの全ての、明日である。左も、右もない、言論を展開するものは、弾圧と闘うことでしか、生き残れないのだ。
(4)自由は、勝ち取るもの
松岡氏のメッセージは、「『表現の自由』とは、坐して守ることができるものではなく、叩きのめされても“闘い取る”ものだといえるでしょう」と結論付けられている。まさに、その通りである。
今の日本は、政治・経済システムが破綻し、機能不全に陥っている。いつ、崩壊してもおかしくない。その上、権力者は、戦争への志向を見せている。こんな状態を維持するには、事実を隠さないとダメだ。旧ソ連しかり、である。
にも関わらず、メディアを取り巻く人々の、この事件に関する関心の薄さは、絶望的に近い。特に、“市民派”と言われるメディアの無視は、彼らの「偽善」を証明するものとすら、私は考える。不当逮捕された人間一人を支援できないで、何が“市民派”か!
言論・表現の自由を守り、戦争に反対するなら、弾圧された松岡氏に支援をするのが、その第一歩であると、強く主張したい。
(新島學)
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