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なぜ防げなかったか合成写真 チェック機能働かず 記者の説明うのみ(産経新聞)
http://www.asyura2.com/0510/hihyo2/msg/186.html
投稿者 熊野孤道 日時 2005 年 11 月 09 日 23:17:01: Lif1sDmyA6Ww.
 

(回答先: 合成虚偽写真 産経新聞が報道経過の検証記事を掲載(毎日新聞) 投稿者 熊野孤道 日時 2005 年 11 月 09 日 23:11:58)

産経新聞からhttp://www.sankei.co.jp/news/051109/sha009.htmより引用

なぜ防げなかったか合成写真 チェック機能働かず 記者の説明うのみ

 産経新聞大阪本社発行の10月25日夕刊グラフ面で、月とコウノトリの合成写真「月とランデブー」が掲載された虚偽報道では、カメラマンがパソコンで作成した合成写真が、デスクや部長のチェックをすり抜けそのまま紙面化されました。なぜ見抜けなかったのか。他にはないのか。そして今後、どのように再発を防ぐのか。先月末の発覚以降の内部調査をもとに検証しました。


≪これまでの経緯≫  コウノトリの放鳥1カ月を取り上げた今回のグラフ「CATCH2005」で、出稿のためのチェックが行われたのは23日午後。記者(31)は計13枚のプリントを提出し、問題のカットも含まれていました。

 チェックにあたったのは「CATCH」の担当デスクと担当部長の2人。まず、部長が選んだのが問題のカットでした。

 記者は「コウノトリにシャッターを切り、3枚が写っていたが、月にからんでいるのはこれだけ」と説明。部長はデスクに「メーンはこれしかないな」と意見を求めデスクも賛成。作業は約30分で終了しました。

 部長は「構図と色彩に目を奪われ、『この写真しかない』と判断してしまった」と説明しています。

 一方、デスクは、出張前に、記者から「月とコウノトリがからんだ写真を狙いたい」と聞いていました。このため、問題のカットを見て「狙い通りの写真を撮影してきた」と信じ込んでしまいました。

 発覚は、掲載後、同僚のうち数人が、写真のピントの状態や、明け方の月は空の低い位置にあるのに、鳥を見上げるアングルになっていることに疑念を抱いたことがきっかけでした。

 同僚や担当デスクの指摘を受け、記者が最終的に合成の事実を部長とデスクに告白したのは29日夜。裏付けなどの結果、30日夜にほぼ全容を把握しました。

 事実を打ち明けなかった理由について記者は、「自分から志願して5日間も出張に出かけたが、よい写真が撮れなかった。帰社後、写真報道局で画像の処理をしていたとき、写真を見た後輩に『よい写真ですね』とほめられ、合成と言い出せなくなってしまった」などと説明しています。


≪他の類似事案は≫  問題の発覚を受け、局は過去の同記者の仕事に同様の事例がなかったかどうか、できる限りの確認を行いました。

 同記者が大阪本社で担当した企画写真については、データベースで検索した掲載データと、記者がCDに所有していた元データを複数の局員が精査。ニュース写真は、デスク全員から聞き取りを実施しました。

 この結果、企画写真には、同記者が担当した企画計10件のうち、存在するはずのものを消去したり、新たに付け加えるなどの不正が行われた形跡はありませんでした。

 日々のニュース写真についても、局内のヒアリングで不審点をあげたデスクはいませんでした。

 確認の過程では東京本社の写真報道局に勤務していた2年間の仕事もチェック。この結果、平成14年8月に撮影し、紙面に掲載した落雷の写真で、画面中央の閃光(せんこう)を印象付けるため過度の補正を行ったと判断されていたことがわかりました。

 同局は当時、「合成ではないが決して好ましいとはいえない」として、同記者に厳重に注意。同記者は「デスクから『補正のしすぎだ』と注意された。雷の取材では、補正はほとんどしなくともいいという基本を学んだ」と述べていますが、改めて厳しく指導しました。


≪今後の対策≫

 今回の問題の原因は、出稿のチェックを記者が自分で提出してきたプリントだけで行った点です。フィルムカメラを使用していた当時は、取材者とデスクが現像したフィルムを一緒に見て撮影時の状況などを話し合いながら使用するカットを選択。さらにプリントした写真をデスクが確認する−という形で2重のチェック機能が働いていました。

 しかし、フィルムに比べ圧倒的な量の撮影が可能で撮影後のプリントも容易なデジタルカメラの普及とともに、写真報道局では取材者がカットを選んでプリント。デスクはプリントだけをチェックする−という方式が半ば慣行となっていました。

 また、デジタルカメラはパソコンで画像を処理するため、色や明るさの補正作業や構図の修正などが画面上で容易にできるようになりました。しかし、その便利さは、今回のような合成や行き過ぎた補正につながりかねない面もはらんでいます。

 検証を踏まえ、今後、企画取材では、デスクと取材者が補正を加えていない元データを見てカットを選択。デスクがレンズや機種、天候などの撮影状況を確認するよう改めました。また、元データはコンピューターやDVDを利用し、局内に保存するようにしました。

 さらに、局員の一人ひとりが読者に真実を伝える重要性と報道の使命を再認識し、再発防止に努めていきます。


 西野徳男・大阪本社写真報道局長の話「検証の結果、今回の虚偽報道をめぐっては、単に記者個人の問題にとどまらず、合成を見抜くことができなかった出稿やチェック体制に問題があったことが明らかになりました。これを反省し、今回の記事に取り上げたことを、まず実行します。それが信頼回復への第一歩だと考えます」


≪懲戒休職など記者ら5人処分≫

 産経新聞は8日、10月25日夕刊の合成写真掲載問題で関係者の処分を決めた。内容は以下の通り。

 渡辺大輔・大阪本社写真報道局記者=懲戒休職2カ月▽堀川晶伸・同局部長、奥清博・同局部次長=出勤停止1週間▽西野徳男・同局長=減給▽柳原正志・取締役(編集・写真報道担当)=減俸


【2005/11/09東京朝刊から】

(11/09 08:12)

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