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日経新聞5月29日の夕刊からの記事です。おそらくWEB版にはないと
思われますので、全文コピペいたします。
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病院などの医療機関で治療を受けても治療代を払わない。常識的
には考えにくいが、そんな患者が増えている。未払いの治療代は病
院の経営を揺るがしかねない規模になっているという。今のところ
有効な解決策は見当たらず、病院側は焦りを強めつつある。
一般の患者は公的医療で治療を受けると、費用の七割は保険から
払われるが、三割は患者が払う。未払いとなるのはこの患者負担分
のほか、出産、差額ベッドなど保険が利かない部分の費用など。
全日本病院協会など四つの病院団体でつくる四病院団体協議会は
このほど、未払い金についての初の調査結果をまとめた。全国約三
千三百病院からの回答を集計すると、全体の九割以上の病院で未払いが
発生しており、二〇〇四年度一年間の金額は一病院当たり平均七百
十六万だった。二〇〇二−二〇〇四年度の三年間の累計では一病院
当たり千六百二十万円に達する。
病院の収入となる診療報酬は政府の医療費抑制政策で抑えられており
ぎりぎりの経営をしている病院が多い。そんな状況の中での未払い
金は想像以上の重荷になっている。今後の展望が開けずに閉鎖や身売
りする病院も出ている。
未払いが増える直接の原因は患者の経済状態の悪化だ。病院関係者
によると、生活保護とまではいかないが、治療代を払うと生活が苦しい
というレベルの人が目立つ。患者の意識が変化していることも原因と
される。「治療に納得できなければ代金を払う必要がない」などと
考える患者もいる。
一方、病院は患者を選べない。医師法で「治療の求めがあったときは、
正当な理由がなければ拒むことはできない」と定められているためだ。
治療費の不払いは「正当な理由」には当たらないと解釈される。医療界
からは「治療を義務づけておいて、不払いが出たときは知らん顔という
のはひどい」と怒りの声があがっている。
多くの医療機関はこれまで費用の内容を患者に丁寧に説明することは
なかった。治療費をめぐるトラブルの責任を患者にばかり押し付けるの
も問題だ。ただそうはいっても、病院が次々経営難で診療ができない事態
になれば患者が困る。行政も交えて本格的な対策の検討が必要になって
いる。(編集委員 山口聡)
日本経済新聞2006年(平成18年)5月29日(月曜日)夕刊 夕&Eye
社会保障ミステリー より転載
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