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産科アンケート 大野病院医師逮捕 8割「影響ある」
福島県立大野病院(大熊町)の医療事故に伴う産婦人科医逮捕をめぐり、河北新報社の産科医療アンケートで8割の病院が「影響が出ている」と答え、医療現場に波紋を広げていることが明らかになった。小規模病院が難しい症例の患者受け入れをためらったり、医師派遣を中止したりする動きが出ているほか、産科医志望者の減少傾向の拡大を懸念する声も上がっている。
医療事故は帝王切開手術で癒着胎盤を取り除く際、大量出血で患者が死亡。産婦人科は常勤医1人体制で、癒着胎盤は数千人に1人とされる症例だった点や、国が明確な基準を示していない「異状死」の届け出義務違反も逮捕容疑となったことから、日本産科婦人科学会などは「逮捕は不当」とする声明を出した。
アンケートには東北6県の病院91カ所が回答。医師の逮捕に発展した医療事故の影響について、63カ所が「出ている」と答え、産婦人科・産科が休診中の12カ所を除くと8割に上った。「出ていない」は12カ所、「分からない・無回答」は4カ所だった。
具体的な影響は、診療面が23カ所と最も多い。「大量出血が予想される症例は扱わない方向」(秋田・公立病院)、「訴訟を起こされるようなリスクを伴う患者の診察が怖い」(福島・公立病院)など、地域医療の現場に微妙な影を落としている。
「大学による医師派遣中止・引き揚げ」は13カ所で、派遣を受ける側は「1人体制の病院には大学が派遣しない」(秋田・民間病院)、「中規模の病院からも引き揚げるといううわさがある。妊婦が通院に時間がかかるようになると、社会問題化する」(岩手・公立病院)などと指摘。一方の大学病院は「1人体制は医療事故のリスクが高く、撤退するしかない」との意見を寄せた。
産科医を志す若手の減少を危惧(きぐ)する声も強く、「産婦人科を選ぶ研修医は激減する」(宮城・公立病院)、「産科を辞める医師がいる」(大学病院)などが10カ所に上った。
「影響は出ていない」と答えた病院も、「同様のこと(逮捕)が続けば、医療の委縮につながる」(山形・公立病院)と将来的なマイナス面を不安視する。
逮捕については「不当」とする声が圧倒的に多く、9割を超えたが、「医師の準備不足など複合的な要因があり、何とも言えない」(青森・公立病院)と慎重な見方を示す回答もあった。
[福島県立大野病院の医療事故]2004年12月17日、産婦人科医による帝王切開手術中に女性が死亡。病院の医療事故調査委員会は05年3月、死因を「癒着胎盤の剥離(はくり)による出血性ショック」と認定、事故の要因に(1)癒着胎盤の無理な剥離(2)医師の不足(3)輸血対応の遅れ―を指摘した。福島県は医療ミスを認めて遺族に謝罪、産婦人科医を減給1カ月の処分にした。福島県警は今年2月、産婦人科医を業務上過失致死と医師法違反の疑いで逮捕した。
◇大野病院医療事故の主な影響
【診療面】
○ハイリスク症例のたらい回し(岩手・公立病院)
○医師の診療意欲が喪失(宮城・公立病院ほか)
○医師がリスクの高い手術を拒否(秋田・民間病院)
○医療過誤防止のため帝王切開手術が増加(秋田・公立病院)
○帝王切開の手術説明に「死亡もあり得る」などと追加(秋田・公立病院)
○危険が予想される患者はあらかじめ大病院へ搬送(福島・公立病院)
【医師派遣】
○大学による1人体制病院からの医師引き揚げ・応援打ち切り(宮城・公立病院、福島・公立病院ほか)
○医療事故のリスクが大きい1人体制病院から撤退(複数の大学病院)
【産科医志望者の減少】
○産婦人科の研修医が激減(山形・公立病院ほか)
○医師が産科を辞めた(大学病院、宮城・民間病院)
【その他】
○大野病院と同じ体制のため患者が過剰・過敏に反応(福島・公立病院)
○警察への「異状死」の報告件数が増加(秋田・公立病院)
(河北新報) - 5月5日7時4分更新
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060505-00000006-khk-toh
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http://www.asyura2.com/0510/health11/msg/382.html
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