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Y氏のメイルから医療ミスを考える
Weblog / 2006-03-14 00:38:18
「申し訳ないです。私が失敗しました。もう一度手術をやらせてください」
T医師は私にそう言って頭を下げた。それも、その場所が大部屋の私のベッドの前であったから、他の患者達が見ている、いわば公衆の面前だ。
私はその数日前、肛門の手術を受けていた。長期の従軍生活から来る無理がたたって痔を患い、その上過度なストレッチと運動で海外取材もままならない状態になり、思い切って痔の手術を受けたのだ。
一回目の手術は短時間で終了し、担当医師のT氏から手術は成功であったと報告を受けていた。だが、数日後、患部は大量の出血を伴なう激痛に見舞われ、再度の手術が必要になった。
その時、主治医であるT氏が私に言ったのが冒頭の発言だ。
読者の中には、そんな場合、私がそんな失敗を許すはずもなく、T氏の胸ぐらをつかみ…てなことを想像される方もいるかも知れないが、そういうことはない。私は大人しく「了解しました。よろしくお願いします。でもそれにしてもあなたも大したものだね。あなたのような立場(大病院の外科長)の人間がこれだけ多くの患者の前で謝れるなんて」と言って再手術をお願いした。
そう言った後、「ただし、一つお願いがあります。私はどうも脊椎に打つ麻酔が苦手なので麻酔なしで手術してもらえませんか」と、お願いした。私は、部分麻酔をされると後頭部から背中にかけて重度の痛みが走り、そちらの方が手術よりも辛い気がしたのでお願いしたのだ。何と言っても手術はせいぜい1時間だ。後遺症に比べたらどうということはないように思えた。
「肛門は様々な神経が集中しているところですから耐えられるものではありません」
T氏は笑みを浮かべながらそう言った。
「布か割り箸を銜えれば耐えられると思いますから」と、私はT氏にアピールしたがとうとう受け容れてもらえなかった。結局、部分麻酔を打たれた後、再手術は行なわれた。案の定、術後1週間、私はかつて苦しめられたむち打ち症のような痛みに悩まされた。
そのT氏とは今、友人関係を結ばせていただいている。彼は後に勤めていた病院を辞めて開業医になった。そんな彼が時折り言うことがある。
「医療ミスがマスコミで散々叩かれますが、我々も人間です。どんなに努力しても医療にミスは付き物ですよ。避けることはできません」
大病院の責任ある立場で彼がそのようなことをマスコミに言おうものなら恐らく袋叩きに遭うだろう。だが、それが今の日本の医療現場の現実だろうし、多くの医者の本音であるに違いない。T氏が語る現実は、患者の私たちが希望的観測を含めて勝手に描いている「医療の実態」とは大きな違いがある。今回の福島の医療ミスがT氏の言う範疇に入るかいなかは別にして、どうやら私たち患者の側にも医療の現場への理解と知識を見直す時期に来ているかもしれない。
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