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今後、産科医療はどうなってしまうのだろうか? 《 ある産婦人科医のひとりごと 》
http://www.asyura2.com/0510/health11/msg/321.html
投稿者 どっちだ 日時 2006 年 3 月 13 日 00:27:31: Neh0eMBXBwlZk
 

(回答先: [産婦人科医]大学から派遣の病院、14%が医師1人/毎日新聞 投稿者 white 日時 2006 年 3 月 12 日 09:13:14)

http://tyama7.blog.ocn.ne.jp/obgyn/
ある産婦人科医のひとりごと

産婦人科医療全般、産婦人科医不足の問題、地域周産期医療の現状と未来、当医療圏の産科問題に対する取り組み。

http://tyama7.blog.ocn.ne.jp/obgyn/2006/03/post_1a3f.html
今後、産科医療はどうなってしまうのだろうか?

Yahoo!ニュース:毎日新聞、社会ニュース
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060311-00000098-mai-soci

<福島県立病院>産科医逮捕・起訴 死亡事故が思わぬ波紋

 福島県立大野病院(同県大熊町)で起きた帝王切開手術中の死亡事故が思わぬ波紋を広げている。手術を執刀した産婦人科医が業務上過失致死と医師法違反の罪で逮捕・起訴されたことに、全国の医療関係者が「通常の医療をして逮捕されるのか」などと反発、福島地検は「口裏合わせを防ぐため」と反論する。両者の間には、医療の安全対策や異状死をめぐる見解の相違が横たわり、医師不足が対立をエスカレートさせている。【玉木達也、山本建、坂本昌信】
 □逮捕の衝撃
 起訴状によると、県立大野病院の産婦人科医、加藤克彦被告(38)は04年12月、帝王切開の手術中、女性(当時29歳)が胎盤をはがせば大量出血の恐れがある「癒着胎盤」と知りながら、子宮摘出手術などに移行せず、手術用はさみで胎盤をはがし、失血死させた。
 福島県は事故後、院外の医師で事故調査委員会を設置。昨年3月にまとめた最終報告書では(1)癒着胎盤の無理なはく離(2)対応する医師の不足(3)輸血対応の遅れ――のミスと結論付け、遺族に謝罪し、同月30日に調査結果を公表した。
 県警は結果が公表されて初めて事故を知った。当初、病院側が医療過誤と認識せず、異状死の届け出をしていなかったためだ。県警はその直後に病院を家宅捜索して手術の進行表などを押収。専門家に鑑定を依頼するとともに病院関係者や加藤医師から任意で事情聴取を進め、先月18日、逮捕した。
 警察庁によると、97年以降、医療事故で医師を業務上過失致死容疑で逮捕したケースは今回を含め3件だけ。逮捕の理由について、福島地検の片岡康夫次席検事は「手術ビデオや心電図記録、遺体がなく、関係者の証言が最も重要な証拠だったため、身柄を拘束して正直に話してもらう必要があった。口裏合わせの恐れもあった」と証拠隠滅の可能性を指摘する。
 □医師法21条
 医師法21条は死体に異状がある場合、医師に24時間内に警察への届け出義務を課している。加藤医師はこの違反も問われているが、異状死の解釈は団体によって異なる。日本外科学会など外科関連学会は01年、「明らかな医療過誤のみ」との声明を発表。一方、日本法医学会は事件や事故に限らず、すべての診療行為に関連した予期しない死亡やその疑い例まで含める。
 県立大野病院の作山洋三院長は「当初は(届け出が必要な)医療過誤と考えなかった」と説明するが、福島地検の片岡次席は「医療過誤でないから届け出ないのは誤った法律の解釈」と批判する。患者団体「陣痛促進剤による被害を考える会」(愛媛県今治市)の出元明美代表も「医療ミスの有無を第三者が確認するためにも広く解釈すべきだ」と訴える。
 一方、医療問題弁護団の鈴木利廣代表は「今回の逮捕には、異状死の疑いがある事案をすべて警察に届けさせるという国策的な意図を感じる。刑事罰を科すのは誰もがひどいと思う事故に限定すべきで、警察権力を中心とした医療安全づくりは間違っている」と指摘している。
 □1人医長
 逮捕された加藤医師は、県立大野病院でただ一人の産婦人科医だった。こうした体制は「1人医長」と呼ばれ、産婦人科では珍しくない。成り手が少なく、確保が難しいからだ。特に産科は、昼夜を問わない過酷な勤務で出産トラブルに伴う訴訟も多い。厚労省によると、04年の産婦人科医数は約1万人で10年前より約1000人減った。
 「今回の事件で志望者は確実に減る。最善を尽くしたのに犯罪者になるのではやってられない」と愛育病院の中林正雄院長は言い切る。また吉川裕之・筑波大教授(婦人科腫瘍(しゅよう)学)は「新人医師は臨床研修で産婦人科のしんどさを知り、敬遠するようになっている」とも言う。
 加藤医師がいた県立大野病院は11日から産婦人科を休診した。県立医大が代わりの常勤医を派遣できなかったからだ。「この状況では日本の医療は崩壊する」などとして、加藤医師の逮捕に抗議する声明に賛同した医師は10日現在で800人を超えた。
 厚生労働省の妊産婦死亡研究班で班長を務めた長屋憲・吉祥寺南町診療所長は「大量出血はどんな出産でもおこり得る」と話し、本来は常に十分な医療スタッフと、輸血用血液を30分以内に入手できる態勢を整えて出産に臨むべきで、今回は不十分だったと批判する。
 一方で「日本の出産は大野病院も含め、ほとんどが不十分な態勢だ」と指摘。「県の報告書は輸血用血液の準備不足や人手不足を指摘するが、血液は400ミリリットル1万円もして事前に数リットルも購入するのは無理。他の病院から応援医師を雇うのも産婦人科医個人の権限を超える」と話し、今回の事故は態勢の問題で、医師個人の起訴は不当と訴える。
(毎日新聞) - 3月11日23時54分更新

*************** 私見

人間が妊娠すれば、一定の確率で、母体死亡、子宮内胎児死亡、死産などが起こる可能性があります。どの病院でも、『妊娠管理した妊婦さん全員がすべて正常分娩で、すべての患者さんの満足度が100%』なんてことは絶対にあり得ません。医学が進歩し、昔と比べれば分娩もはるかに安全になりましたが、予測不能で、発症すれば、誰が主治医で、どの病院で管理していても、母体死亡となる可能性の高い産科疾患(羊水塞栓症、血栓性肺塞栓症、癒着胎盤の大出血、など)は未だに多く存在します。

人間誰しも、結婚して、妊娠して元気な子供を産んで、幸せに暮らしたいと願っています。母体死亡の危険を承知で妊娠する人なんていません。ですから、妊娠すれば「おめでとうございます」とみんなに祝福され、本人も家族もまさかそれが不幸のどん底の始まりになるかもしれないなんてことは全く考えていません。不幸にも分娩時に母体死亡となった時には、思い描いていた将来の幸福な家庭生活の夢が一瞬のうちに崩れ去り、不幸のどん底に突き落とされてしまいます。その現実を受け入れるのに時間がかかるのも止むを得ないことだと理解できます。怒りの感情の持って行き場が、一時的にでも、担当医に向いてしまうのも、人間の感情としては、止むを得ないことなのかもしれません。

どんな病院でもどうしても救えない命があります。必死で救命しようとして頑張りぬいた医師が、結果が悪ければ、通常の殺人事件と同様に殺人者として裁かれるということであれば、誰もそんな危険なギャンブルのような仕事に従事しようとは思いません。裁判ということになれば、無益な法廷闘争のために、莫大なエネルギーと時間を費やさねばなりません。弁護士や裁判官は、それがお仕事なので、いくらエネルギーや時間を費やしても全然惜しくはないと思いますが、医師にとってはそれは本来の仕事ではありません。そんなことのために無駄なエネルギーや時間を費やしたくありません。最終的に無罪を勝ち取ったとしても、最終的な判決がでるまでに10年以上かかってしまうようでは、それこそ人生台無しです。定年退職の年齢になってから無罪放免なんて言われても、人生やり直しはできませんから、もう手遅れでうれしくも何ともありません。

地域医療のために一生懸命に努力して、地域には多大な貢献をしてきたのに、たまたま極めてまれで治療困難な症例に遭遇して結果を出せなくて厳罰に処せられるとすれば、それは悲劇としか言いようがありません。

逮捕されるのも覚悟をして不十分な態勢で産科診療をやるなんてことはもはやこの国では到底考えられません。だとすれば、今後、どの程度、医師を集約化すればいいのでしょうか?理想を言えば、夜間でも最低2人は産科当直医がいて、当直回数も1週間に1回以下というような勤務体制ということになりますが、そこまで徹底的に産科医を集約化することになれば、地方によっては県内に1〜2施設でしか分娩できないというような異常事態も十分にあり得ると思います。

***************

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コメント
1. 2021年3月26日 16:05:13 : h0BKPmQCC2 : dE12Z3FBZW9MeU0=[12] 報告
無痛分娩施術ミス、3億円賠償命令 妻と長女に重い障害 京都地裁判決、医院側に
https://news.yahoo.co.jp/articles/e83f9c390027f8b8bb90174cdda332695b3cd750

麻酔で出産の痛みを和らげる無痛分娩(ぶんべん)の施術ミスで、妻(44)と長女(享年6歳)が重い障害を負ったとして、大学教授の男性(58)らが京都府京田辺市の産婦人科医院「ふるき産婦人科」を相手取り計約6億4千万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が26日、京都地裁であった。増森珠美裁判長は医院側に約3億円の賠償を命じた。
 訴状によると2012年、妻は同医院で無痛分娩を希望し、脊髄を保護する硬膜の外側に細い管(カテーテル)を差し込み麻酔薬を注入する硬膜外麻酔を受けた。その後に容体が急変し、救急搬送された病院で帝王切開して出産したが、長女は低酸素性虚血性脳症となり、妻は心肺停止後脳症になったとしている。

 原告側は、麻酔の際にカテーテルが硬膜を破って全脊椎麻酔になった可能性があり、麻酔薬も通常の2・5〜4倍の量を投与された過失があると主張。医院側は当初、請求棄却を求めて争う姿勢をみせたが、原告側によると、訴訟の途中から過失を認めたという。

 ふるき産婦人科での無痛分娩を巡っては、同様の硬膜外麻酔のミスなどによって母子が重度の後遺症を負ったとして、ほかに2件の損害賠償訴訟が起こされ、1件は18年に大阪高裁で、1件は19年に京都地裁で和解が成立している。

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