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闘論:禁煙指導への保険適用 佐藤誠記氏/富永祐民氏 (毎日新聞)
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投稿者 彗星 日時 2006 年 2 月 20 日 10:52:16: HZN1pv7x5vK0M
 

闘論:禁煙指導への保険適用 佐藤誠記氏/富永祐民氏

 厚生労働省は06年度の診療報酬改定で、禁煙希望者の治療に保険を適用し「ニコチン依存症管理料」を新設することを決めた。4月から実施する。一方、JT(日本たばこ産業)をはじめ反発も根強い。喫煙への依存を病気と見なし、禁煙指導に国民の保険料を使うことへの疑問は消えていない。その是非論を聞いた。(題字は書家・貞政少登氏)

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 ◇医療費削減できない 喫煙者迫害するだけ−−JT執行役員・佐藤誠記氏

 禁煙したい人が禁煙治療を受けることに反対ではないが、禁煙治療が将来の医療費削減につながるとは思えない。日本人男性の喫煙率はこの30年で3割以上も下がったが、肺がんによる死亡者は3倍以上に膨らんだ。喫煙者を減らすことで肺がんが減り、医療費を削減できるかというと実態は違う。

 厚生労働省は喫煙による健康被害で1兆3000億円も余計に医療費がかかると言う。だが、これは疫学に基づきさまざまな仮定で計算した数字だ。喫煙者と非喫煙者が実際に払った医療費を比べると、喫煙者の方が少ないという研究結果もある。米カリフォルニア州で実施された禁煙治療の事後調査によれば、治療から250日経過した時点で禁煙が続いている割合は治療を受けず自分の意思で禁煙した場合とほぼ同じで、禁煙治療の効果もはっきりしていない。

 厚労省の調査では、ニコチン依存症は1800万人に上るという。現在、日本の喫煙者は約3000万人で、たばこを吸う人の6割が依存症という計算だ。アルコールの場合、朝から酒を飲んで仕事に行けなかったり、暴力をふるう人を依存症として治療する。つまり、依存症で通常の社会生活が送れないので治療をする。ニコチンにも依存性はあるが、程度が弱いことは科学的に証明されており、社会生活が送れなくなることもない。

 アルコールであれ、ニコチンであれ、依存症と認定する基準は統一されなければならない。国内の1800万人が本当にニコチン依存症といえるなら、その判断基準をアルコールに置き換えたらどうなるか。膨大な数の人がアルコール依存症になるはずで、とんでもない治療代がかかる。「通常の社会生活を送れないから治療する」という依存症の概念も変わる。

 投資を行う場合、最もうまくいくケース、普通のケース、失敗した場合のリスク−−と、すべてを総合的に見て判断するのがビジネスの基本。国民の大事なお金を使うわけだから、禁煙治療が将来のコスト削減に本当につながるかどうか、さまざまな角度から試算が必要だ。今回の決定は単に喫煙者に対する迫害にすぎず、国民経済の観点からしても非常に大きな問題だ。【構成・三沢耕平】

 ◇依存症の治療は当然 半減へ数値目標必要−−あいち健康の森・健康科学総合センター長、富永祐民氏

 たばこは昔から嗜好(しこう)品と考えられており、その意味では喫煙は病気ではない。しかし、大ざっぱに言って、喫煙者の半分くらいはできることなら禁煙したいと思っているが簡単にはやめられない。その中でもごく一部ではあるが、何度も挑戦しても禁煙できない人たちがいる。この人たちがニコチン依存症だ。

 WHO(世界保健機関)も依存症の一つに、ニコチン依存症をあげている。また、日本循環器学会など関係9学会の合同委員会は、喫煙をニコチン依存症と関連疾患からなる「喫煙病」と位置づけ、禁煙ガイドラインを発表している。

 今回、診療報酬の改定で認められた「ニコチン依存症管理料」は、依存症と診断された患者のうち、禁煙を希望している人を対象に、一定の禁煙指導をした場合に適用される。ニコチン依存症という病気を治療するのだから、診療報酬を出すことには何ら問題はなく、むしろ積極的に取り組むべきだ。

 たばこは肺がんだけでなく、煙が通る口腔(こうくう)や喉頭(こうとう)のほか、食道、肝臓、膵臓(すいぞう)などのがんの原因になる。慢性気管支炎や肺気腫なども喫煙が影響している。

 さらに、喫煙者の場合は白内障、難聴、脳の萎縮(いしゅく)や皮膚の老化などの現象も非喫煙者より早く進行し、アルツハイマー病にもかかりやすいという研究がある。はっきりいえば、たばこを吸って健康に良いことは何一つない。

 喫煙によって必要以上にかかる超過医療費も、約1兆3000億円に達しているとの研究がある。人口が日本の約2倍の米国では、喫煙の超過医療費は4兆〜5兆円との報告もある。喫煙病による労働損失なども考慮すると、たばこのコストはたばこの税収をはるかに上回るとみられる。

 喫煙者をゼロにすることは無理だろう。しかし、少しでも減らすことは重要で、国は喫煙率を現状から半減させるぐらいの数値目標を掲げるべきだ。

 また、未成年者の多くは自動販売機からたばこを購入している。人目につく所にしか置かないなど、設置の規制を強化して将来的には撤去した方がいい。たばこの価格が他の物価と比べて安すぎるのも問題だ。1箱を500〜800円程度に引き上げるべきだ。【構成・玉木達也】

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 ■人物略歴

 ◇さとう・せいき

 早大卒。JTドイツ事業所長を経て04年から執行役員たばこ事業本部渉外企画部長。54歳。

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 ■人物略歴

 ◇とみなが・すけたみ

 大阪大医卒。03年の日本癌(がん)学会学術会長。愛知県がんセンター名誉総長。68歳。

毎日新聞 2006年2月20日 東京朝刊

http://www.mainichi-msn.co.jp/seiji/gyousei/news/20060220ddm003070056000c.html

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