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(回答先: 危険病原体研究のP4施設、早期稼働へ条件整備【読売新聞】 投稿者 姫子音 日時 2005 年 12 月 28 日 22:25:26)
以下は、国立感染症研究所名誉所員の本庄重男氏が代表幹事を勤めるバイオハザード予防市民センター の資料より抜粋引用
〜バイオハザード対策の立法化を含む社会システムの構築を求め、バイオテロ対策を名目とした感染症法改正に反対する〜
2005年10月20日
【経緯等】
1. HIV、エボラウイルス、病原性大腸菌O-157、BSE(牛海綿状脳症)プリオン、鳥インフルエンザウイルス、SARSウイルス等、今、私たちはその由来や出現の理由が不明であり治療法も確立していない未知の病原体が次々と出現する時代に生きている。
2. SARS問題は、未知の病原体出現に関わる様々な問題を投げかけた。SARSウイルスが組換え操作による産物である可能性さえも指摘され、またWHOの制圧宣言後に各地で実験室感染が相次いだ。病原体やバイオテクノロジー関係の実験・検査をしている施設が新たな感染源となる可能性とともに、科学的根拠の欠如とリスク情報の非開示の中で、社会的パニックの発生、感染者等に対する差別や排除、患者の人権を無視した強制的隔離政策、などの問題の発生が案じられる。
BSE問題では、全頭検査見直しを巡って、米国政府や産業界からの圧力の下、いわゆる「リスク評価」の非科学的な側面や予防原則の軽視が、食の安全を求める消費者より強い批判を浴びている。
一方、この20年あまりの間、病原体を扱ったり遺伝子組換えを行う施設(以下、バイオ施設という)からのバイオハザード(生物災害)を危惧しバイオ施設の立地規制や実験差し止め、安全情報の開示を求める市民運動が全国各地で活発に行われてきた。
3. しかし、日本には未だこうしたバイオハザードに対する市民の不安を解消するシステムは整備されてはいない。「突発出現病原体の時代」と言われる今日、これらシステムの整備は緊急の課題である。
未整備の要因として、例えば、
@) バイオハザードに対する認識が、未だ研究者の感染防止という次元に留まり、バイオハザードが周辺住民のみならず国民の生命と健康など人権に関わる問題であるという認識が薄いこと、
A) 欧米諸国と異なり、わが国には病原体の取扱とバイオ施設に関する法的規制がなく無法状態に等しいこと、
B) 「政府・行政」と「産業界(研究機関)」の2元的世界の中で「市民(消費者)」の要望や批判が無視・軽視されること、
などが指摘される。
4. 厚生労働省は、「テロの未然防止に関する行動計画」(2004年12月10日国際組織犯罪等・国際テロ対策本部決定)に基づき、生物テロの未然防止対策として病原体の取扱いの強化のために、「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」(以下、「感染症法」という)の改正案を2006年の通常国会に提出することとし、現在、厚生科学審議会感染症分科会で検討作業を進めている。
5. 2004年12月に厚生労働省が自治体及び関係部局を通じて実施した12種類についての病原体保有状況・管理状況の調査結果によると、調査対象となった11624施設の内、12種類のいずれかの病原体を保有する施設は587施設、その内、管理マニュアルのない施設がほぼ半分の277施設、保管場所を把握していない施設は6施設などであることが公表された。テロ対策以前に、こうした病原体を保有する施設が感染源となるバイオハザード(生物災害)の発生が現実的なものとして危惧される。
6. この調査結果を踏まえて、厚生労働省は病原体を保有している者に対し、届出の義務付け、譲渡の規則、報告徴収、調査及び立入調査などに関する規定の設置、違反等に関する行政処分又は罰則規定などを内容とする感染症法の改正を検討するとし、その一方、病原体等の保有状況の詳細については、犯罪の予防その他の公共の安全と秩序の維持に支障を来たすおそれがあるほか、国家の安全を害するおそれがあるとして公表しないこととした。さらに今日まで国民の健康の保障として重要な役割を果たしてきた結核予防法を廃止し、感染症法に統合する方針も示されている。
以上の経緯等を踏まえ、私たちバイオハザード予防市民センターは、設立以来の諸研究活動及び2004年度の「法的な基盤整備を含めたバイオハザード対策の社会システム構築のための提言活動」報告書(2005年8月、バイオハザード予防市民センター刊行)を踏まえ、政府、厚生労働省をはじめとする関係機関に対し以下のことを要求する。
1.バイオハザード対策の立法化を含む社会システムの構築を求める
厚生労働省が実施した調査でもバイオ施設における病原体の杜撰な管理実態が明らかになった。バイオ施設等を感染源とするバイオハザードは非意図的に発生するものであり、それゆえいつどこで起きてもおかしくはない。したがって、緊急の課題として、徹底した情報公開と開かれた対話(リスク・コミュニケーション)、国民の人権の尊重を基本としたバイオハザード対策の立法化を含む施策の実行を求める。
2.バイオテロ対策に名を借りた情報の国家秘密化、監視社会化、基本的人権の侵害に反対する
特定の目的をもって意図的に行われるバイオテロへの対策は、市民的見地からすれば、病原体の取扱い管理と監視システムが柱である。したがって、非意図的な病原体等の排出・漏出の防止を目的とするとともにバイオ施設の適地性をも問題とする上記1のバイオハザード対策とは異なる。
また、秘密主義、強権主義という点で、その基本理念も上記1と相容れない。
よって、バイオハザード対策とバイオテロ対策を明確に区別することを求めるとともに、バイオテロ対策に名を借りた情報の国家秘密化と監視社会化、それらによる基本的人権の侵害に反対する。
3.バイオテロ対策を名目とした感染症法改正に反対する
感染症法は、患者等の人権に充分配慮しつつ新興感染症や再興感染症に迅速かつ適確に対応することにより、感染症の発生とまん延を防止し、公衆衛生の向上を図ることを目的としており、あわせて積極的な情報の公表も規定(第16条)している。この目的、情報の公表、人権への配慮という点において、感染症法を改正してバイオテロ対策につなげることは、その立法の理念と相反し相応しくない。バイオテロ対策を名目とした感染症法改正には反対する。
以上
引用終わり
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