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http://www.asahi.com/national/update/1117/TKY200511170360.html
自分が入っている生命保険を東京都内の生保買い取り業者に売却しようとした埼玉県の肝がん患者の男性(51)が、AIGスター生命を相手に、保険金の受取人と契約者の名義変更に同意するよう求めた訴訟で、東京地裁は17日、請求を棄却する判決を言い渡した。宇田川基(もとき)裁判長は「米国では不当に安く買い取られる危険性も指摘され、保険会社の同意拒否は不当とは言えない」と述べた。一方で「多くのがん患者が生活の困窮から救済される方法を切望している」とし、「生保の売買が患者にとって有効な方法となり得ることもうかがわれ、今後、是非について議論を尽くすべきだ」と提言した。
男性は控訴する方針。
男性が売却を望んだのは闘病で働けなくなり、長男の大学進学費用を工面する必要があるため。
重病で生活費に困り、生前にまとまった資金を必要としている人から契約済みの生命保険を買い取るビジネスは米国で広まった。日本では原告の男性と契約を結んだ「リスク・マネジメント研究所」(東京都江東区)が先駆けとされる。男性は顧客第1号で、判決はこのビジネスをめぐる「初の司法判断」(原告側)として注目された。
判決はほかに(1)名義変更に同意するかどうかは保険会社の自由(2)保険金の支払いを請求する権利を担保に融資を受けることも可能だ――などと棄却の理由を述べた。
その一方、「患者救済のため、生保売買を認めるべきだとの意見が世間の注目を浴びつつある」と述べ、買い取りビジネスへの期待が高まっているとの認識も示した。
判決によると、男性は02年にがんを宣告された。長引く治療で働くことができず、04年12月、リ社と契約した。
売却を希望したのは死亡時に長男に2830万円がおりる保険。リ社との契約は(1)男性が代金として849万円を受け取る(2)リ社は代わりに保険料を払う(3)男性の死亡時に保険金全額を受け取り、遺族に弔慰金を支払う――との内容だった。
しかし、AIG側は「内規に反する」として名義変更に同意せず、男性が2月に提訴した。
判決後に記者会見した原告側代理人の高橋孝志弁護士は「残念だ。判決は『融資を受けられる』と言うが、男性には返済能力がなく、担保を設定しても実際には受けられない。国会が困窮する重病患者に目を向け、立法で買い取りのルールをつくるべきだ」と話した。
■患者団体「ニーズに応える仕組みを」
原告となった男性と生命保険の買い取り契約を結んだ「リスク・マネジメント研究所」には2月の提訴以降、買い取り依頼が約10件あった。多くはがんなどの重症患者や家族からで、治療費や生活費が必要との内容だったという。濱崎研治社長は「3人は依頼後、亡くなった。買い取りの要望に応えられず悔しい」と話した。
肝炎、肝がんなどの患者団体が作る日本肝臓病患者団体協議会の天野秀雄幹事は「治療費が払えなくて保険の買い取りを希望する人もいると思う。今後、他の患者団体との間でもこの問題は議論になるだろう。指摘されている問題点を防ぐ手だてを講じた上で、ニーズに応える仕組みを作ってほしい」と要望する。
一方、保険評論家の山野井良民さんは「健康保険や民間医療保険が充実している日本は米国と違って、保険買い取りの社会的ニーズはない。買い取りを認めれば逆に保険の転売が繰り返され、保険金殺人などの犯罪が起きる危険性が増すだけだ」と判決を評価した。
ある大手生保は今夏の総代会での質疑で、買い取り会社への保険売却を認めない方針を示した。理由は「買い取り会社に行政の監督が及ばないこと」だった。
石田重森・福岡大教授(保険学)は「今後、ニーズが顕在化し、第三者への売却を認める外資系保険会社の参入の可能性はある。売却に対してどのような規制が必要なのか、国は考えておかなければならない」と指摘した。
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