★阿修羅♪ > 国家破産43 > 816.html ★阿修羅♪ |
Tweet |
株大量誤発注 本当の火事場泥棒は? 強制決済くすぶる疑問
みずほ証券によるジェイコム株の誤発注は、大量に取得した証券各社が日本証券業協会の呼びかけに応じて利益の返上を検討するなど、異例の事態が続いている。だが、市場関係者の間では「混乱に乗じて架空株を高値で売り抜いたところこそ、本当の“火事場泥棒”ではないか」との指摘が絶えない。現金による強制決済という功罪相半ばする決着を疑問視する声もくすぶる。市場に混乱をもたらした架空株の売買と、決済の問題点を改めて検証する。(菅野光章)
≪異常な値動き≫
ジェイコム株は今月八日午前九時二十七分、みずほ証券の誤発注によって直前の気配値を切り下げ、六七万二〇〇〇円の初値をつけた。このとき成立した売買株数は千七百七十六株。この後、株価と売買高は異常な動きを示した。
初値以降、売買は三秒から四秒ごとに成立。初値からわずか三分後にストップ安まで下落しながらなおも約定が続いた。これは売りがみずほ証券の出した一本だけだったことを意味する。九時三十七分、みずほ証券が買い戻せたのは四十六万七千株余り。残りはすでに別の投資家が手にしており、この時点で市場にあった誤発注の売り注文はすべてなくなった。
だが、現実には買い戻しを機に株価は急騰。ストップ高まで駆け上がった。九時四十六分にかけて株価が下落したのは、「みずほ証券が高値での買い戻しをためらったためではないか」(市場関係者)とみられる。
≪20社以上売買?≫
当日の売買を分析すると、みずほ証券が買い戻しに動いて以降、約十万株が成立。ストップ高以後だけをみても、約七万株が約定している。
これまで架空株の保有が明らかになったのは、UBS証券グループなど六社が保有していた計五万三千株と、一部の個人投資家らの保有分。ただ、市場では「このほかにも五万株以上が安値で買い付け、高値で売り抜けられている」との指摘が少なくない。
個人投資家だけでは取引できない量の架空株が飛び交った中、業界では「少なくとも二十社以上の証券会社が売買を行った」とされるが、実態は不明だ。ある経済界幹部は「火事場泥棒は、ほかにもいるのでは」と疑問を呈す。「関係した証券会社は、すべて利益を返上すべきだ」(大和総研の吉川満・資本市場調査本部長)との声は証券界からも出ている。
≪功罪半ばの決着≫
株式売買を保証する日本証券クリアリング機構が一株あたり九一万二〇〇〇円で現金決済に踏み切ったことについては「功罪相半ばする決着」との指摘もある。
“功”は株券の受け渡しができない状態を回避し、売買停止が続いていたジェイコム株の取引が正常化されたことだ。みずほ証券の損失額は四百七億円で確定した。
一方の“罪”は、誤発注がなければ市場原理に基づいて正常に取引されていたはずの現物株まで架空株の後処理にのみ込まれてしまったことだ。異常な株価の動きに狼狽(ろうばい)売りした投資家や、その後の値上がりに伴う含み益を得られたはずの投資家は、市場正常化のための「政治的判断」の陰で置き去りにされた。
機構は「どのような事情があれ、(個人の売買は)自己責任だ」と断じた。誤発注が原因とはいえ市場で売買されている以上、違法とはいえないが、そもそも「存在しないものの売買に現金決済はあり得ない」との声もある。誤発注とその決着の仕方には、まだ根深い問題が残っている。
http://www.sankei.co.jp/news/morning/24kei001.htm