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「しんぶん赤旗・日曜版」12月11日 1〜2面より引用。
2月に建て替えられたばかりの青いガラス張りの本社ビル。本社工場。テクニカルセンター。テストコース――愛知県豊田市トヨタ町1番地は、「3年連続純利益1兆円(連結
決算)」といわれるトヨタ自動車(会長=奥田碩日本経団連会長)の本社などが集中しています。
そのトヨタの「企業城下町」として知られる豊田市の法人市民税の税収が、ピーク時にくらべ120億円も減っている――こんな耳を疑うような事実がわかりました。
来年は米国のGM(ゼネラル・モーターズ)を抜いて世界一の自動車メーカーになるともいわれるトヨタ。足元の豊田市に入る税金も世界一かと思えば、1990年度に334億円あった法人市民税は、04年度には214億円へと大幅に落ち込んでいるのです。
「えっ、そんなに減っているんですか!」。豊田市に住む鈴木泰江さん(41)=学童指導員=は、市の法人市民税減収に目をまるくします。
「長女は今春、私立高校へ入学したのですが、市からの補助金は1カ月でわずか千円。市民病院もありません。道路だ、豊田スタジアムだなどといって税金を使うのはトヨタがたくさん税金を納めているから仕方がない、と思っている人も多いけれど。税金は市民のために使ってほしい」
9月の総選挙で自民党が、トヨタ関連の業者らを集め、小泉首相を迎えて決起集会を開いたのが豊田スタジアム。豊田の張富士夫副会長も参加しました。447億円をかけてつくったものの赤字つづきで、市は年間4億円もの税金を投入しています。
箱モノ行政の破たんに加え税収減。トヨタの労働者、山下仁さん(52)は語ります。
「市民病院の建設や巡回バスなど生活に密着した要求は強い。120億円あればこうしたことも可能です」
トヨタがこんなにもうけているのに、法人市民税がなぜこんなことに?
国の法人税減税が連動 豊田市の減収
豊田市の法人市民税の減収を突きとめたのは、日本共産党の大村義則市議です。
法人市民税は、国税である「法人税」に連動します。つまり、法人税率が下がれば、法人市民税額も下がることになります。
1990年度、法人税率は37.5%でした。ところが、財界の圧力で自民党政府が税率を34.5%(98年度)に下げ、さらに30%(99年度)へ引き下げる大減税をおこないました。(表)
その結果、豊田市の法人市民税はどうなったか。大村市議が、ことし3月の決算特別委員会で04年度の納税状況をただしました。法人市民税が214億円に大きく減ったその原因が、大企業の税負担が軽くなったためであること、その一方で零細企業の7割が法人市民税を納められないことが明らかになりました。
税務当局に守秘義務があるために、どの企業がどれだけ払ったかは明らかになりません。しかし、「法人市民税の支払いの圧倒的部分はトヨタ」であると市関係者も認めます。
実際、豊田市役所発行の市政ガイドも、トヨタという存在の巨大さをこう書いています。
「豊田市の製造品出荷額等は、9兆6千億円(02年度)で全国でも第1位である。自動車関運は全体の95.5%を占める」
トヨタのある下請けの社長(59)はいいます。
「部品一個の仕事がたったの27円。法人市民税を納めたいが、赤字だ。末端はピーピーいっている。政府は、われわれのこの苦しさを分かっているのか。トヨタさんにもっ
と支払わせるべきだよ」
岡 清彦記者
今田真人記者
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税理士 関本秀治さん。
大企業寄りのゆがみ正せ
法人税率引き下げは、法人市民税の減収に直結し、豊田市だけでなく全国の自治体財政を圧迫しています。
99年度の法人税率の引き下げは、高額所得者優遇の所得税の最高税率引き下げや定率減税導入とセットでおこなわれ、小泉内閣はこのうち、定率減税だけを廃止し、法人税率は下げたままにするつもりです。
過去最高益をあげている大企業の民税の減収大企業寄りのゆがみ正せ法人税率を元に戻さず、増税といえば庶民ばかりを狙い撃ちするのは、税制のゆがみをいっそう大企業・財界寄りに拡大するものです。