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細野豪志の両忘記(りょうぼうき)#43
『特別会計の闇』(2005/4/17)
■郵政国会の弊害
国会の報道は連日繰り広げられる小泉総理vs.郵政族議員の
戦いに集中しています。竹中大臣の総務委員会欠席も、年金
協議に与党案が出てこないのも、政府・与党の郵政シフトが
あります。国民生活に深く関わる介護保険法の改正、私の関
わってきた安全保障基本法案、北朝鮮人権法案、海洋権益関
連法案など、郵政以外に注目が集まらず、国会審議は盛り上
がりを欠いています。
そんな中、このところ特別会計が静かな盛り上がりを見せて
います。野田佳彦座長のもとに組織された民主党プロジェク
ト・チームのもと、我々若手議員が各特会を担当(私の担当
は電源開発促進対策特別会計と特許特別会計)し、予算書や
決算書と格闘中です。与党対野党の対決が盛り上がらない中、
民主党対官僚の戦いが熾烈になっています。
■一般会計はトンネル会計
特別会計と聞いてもピンとこない方が多いと思います。通常、
国の予算といえば一般会計を指します。社会保障費、国債、
防衛費、交付金などに割振られた約80兆円の円グラフを皆
さんご覧になったことがあると思います。
しかし、予算の本丸は31存在する特別会計にあります。一
般会計80兆円のうち50兆円近くは特別会計に繰り入れら
れ、30兆円は借金返済と地方自治体に割り振られる交付金
です。一般会計はトンネルに過ぎず、我々は虚構の姿をみて
一喜一憂していることになります。
■特別会計が幅を利かせる訳
一般会計からの50兆円の繰り入れに加え、特別会計それぞれ
が独自財源を持っているため、特別会計の歳出合計額は、一般
会計の5倍の約400兆円。この15年間で倍に膨れ上がって
います(一般会計は2割増です)。これ程、特別会計が水ぶく
れしたのには訳があります。
第一に、予算の査定がほとんど行われないため、特別会計を所
管している役所にとっては予算確保が容易であることです。昨
年、社会保険庁が、年金保険料を使ってグリーンピアなどの福
祉施設や職員の福利厚生費に使いまくっていたのは国民年金特
別会計でした。電源特会では、一般会計で削られた予算が特別
会計でしっかりと確保されている例もありました。一般会計さ
え格好がつけば面子が立つ財務省も実はグルなのです。塩川元
議員「母屋(本会計)でお粥(節約)、離れ(特別会計)でス
キヤキ(贅沢)」という例えは言い得て妙です。
各省庁が特別会計を維持するもう一つのメリットは、天下り先
の確保です。退職後、様々な団体に天下り、高給を食んだ上で、
何度も退職金を受け取る官僚OBは「渡り鳥」と呼ばれていま
す。渡り鳥が生存するためには、餌がふんだんにある水場が必
要です。31の特別会計から、各省庁の天下り先となっている
特殊法人や財団法人、独立行政法人に対する補助金や委託
費の金額はあまりに巨額で、全貌を把握することは至難の業
です。ここまで来ると、日本の予算は、あえて、分かりにくく細工
されているとしか思えません。
■電源特会の無駄遣いの原因
次に、具体例として私が担当している電源特会の問題点を説明
します。年間約3600億円に上る電源特会の財源は、皆さん
が毎月払っている電気料金から徴収されている電源開発促進税
です。電特会の第一の特徴は、原発の立地が進まないために、
毎年1500億円以上が余っているということです。
ここ数年、あまりの余剰金の多さを財務省から指摘され、何と
か予算を消化しようと努力したところ、益々浪費が加速する結
果となりました。
■12億円のホームページ
膨大な予算書を全てチェックすることは不可能ですが(本当は
財務省なり会計検査院がやるべきなのですが、残念ながら彼ら
は特別会計をチェックする責任を放棄しています)、私が把握で
いただけでも信じがたい無駄使いが見つかりました。
最も浪費が激しいのが広報関係の委託費です。原子力関係のHP
に過去4年間で12億円もの予算(毎年更新に3億円)が付けら
れていました。ちなみに、経済産業省のHPは年間130万円程
度で更新されています。この金額には、中川経産大臣もあきれて
いました。
■一件25万円の原子力相談
同じ委託先に出されていた予算で更に驚いたのは、「なんでも相談
室」と称する原子力相談に年間1.3億円予算が投じられていた
ことです。相談件数はわずか500件ですので、一件25万円で
相談に答えている計算になります。
予算書の細目を見ると、毎年、数千人にのぼる人件費、多額の出
張旅費、架空の賃貸料などが計上されています。予算書は完全に
粉飾です。現実にはあり得ない予算が毎年計上されているのは、
特別会計に何のチェックも働いていない証拠です。
その他にも、原子力関係のおびただしい数の似たようなパンフレッ
トや学習教材、報告書が作成され、説明会やシンポジウムが開催
されています(本当に予算どおりに開催されているか検証不能で
す)。首を傾げてしまうのは、その多くが、独立行政法人や財団法
人に委託されていること。また、一旦、民間企業に委託されてい
るものの、そこをトンネルしてやっぱり同様の法人に流れている
ことです。
それらの法人に大量の天下りがいることは改めて指摘するまでも
ないでしょう。原発立地自治体への財政支援、そして原子力に関
する広報の必要性は理解しますが、電源特会の現状は原子力政策
のためというよりは、天下り先を国民の見えないところで確保し
ているというのが私の率直な印象です。
■特別会計の解体を
幾つかの特別会計を調べる中で私が感じていることは、この国の
800兆円にのぼる財政赤字は、特別会計を解体することで、遠
くない将来、解消できるのではないかということです。日本の財
政に絶望的な展望を抱いていた私にとって、これは明るいニュー
スです。独立採算を維持していた方が上手く機能する分野もある
でしょうが、一旦解体した上で、必要に応じて新設すれば十分で
す。
天下り法人のほとんどは特別会計からの補助金・委託金で成り立っ
ていますので、特別会計を解体すれば、ほとんどは存続できませ
ん。実は、郵貯、簡保の資金のほとんどは、国債と天下り法人が
発行する債券に投じられていますので、特別会計が解体されれば、
出資先を失う郵貯、簡保の規模は必然的に縮小する運命です。
民主党は郵政民営化から逃げているかのような報道がされていま
すが、それは間違いです。小泉総理こそ、郵政の最大の弊害であ
る天下り法人や特別会計の問題から逃げているのです。このとこ
ろ国会で見せ場をつくれていない民主党ですが、特別会計の問題
は、民主党らしいテーマと言えます。19日(火)の午前11時
30分からTBSの「きょう発プラス」という番組で電源特会が
取り上げられます。生出演いたしますのでお時間のある方はご覧
下さい。
■両忘記とは
『両忘記(りょうぼうき)』の由来は論語の述而第七の一節です。
孔子の生き方を「憤りを発して食を忘れ、楽しみて以って憂いを
忘れ、老の将に至らんとするを知らず」から取りました。すなわ
ち、政治に携わる人間として、「発奮して食べることを忘れるほど
物事に熱中する気概を持つ一方で、どこかにゆとりがあって、楽
しむところがある人物」になりたいという想いを込めました。今
後ともご愛読いただければ幸いです。
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衆議院議員 細野豪志 (ほそのごうし)
■静岡5区
三島、富士、御殿場、裾野、伊豆長岡、函南、小山
■ホームページ(毎日更新中) http://goshi.org/
■メール hosono@goshi.org
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