★阿修羅♪ > 国家破産43 > 538.html ★阿修羅♪ |
Tweet |
2005.11.25 Friday
日本の場合にはインフレ・ターゲットをやると歯止めがかからなくなる恐れがあるので、私は導入には反対です。
Posted by Kaisetsu
http://blog.kaisetsu.org/?eid=250482
大前研一 『 ニュースの視点 』 2005/11/25#91
(抜粋)
日本とアメリカは今までインフレ・ターゲットを導入したこと
がありませんが、これを導入して成功している国もあります。
しかし日本の場合にはインフレ・ターゲットをやると歯止めが
かからなくなる恐れがあるので、私は導入には反対です。
それに今の政治家たちが言うデフレは、私たちから見ると異常
な物価の高さが正常化しているプロセスです。そのプロセスを
デフレと呼んで、「デフレが終わるまでは量的緩和をやめない」
というのでは、物価が正常化する限りはゼロ金利が続きますと
言っているのと同じです。
日本の場合には一般の人が多くの預金を持っていますから、金
利を上げたほうが景気もよくなるはずなので、今の政治家たち
の言い分というのは全く見当違いだと言えます。
(抜粋 出典)
米国経済を左右するFRB議長の交代劇
アメリカの上院銀行住宅都市委員会は15日、ベン・バーナンキ
FRB次期議長の指名承認公聴会を開いた。バーナンキ氏は物価安
定の数値目標を設定するインフレ目標の導入に意欲を示しなが
らも、FRBや議会などの合意が得られるまでは検討課題にとどめ
ると公約。
インフレ目標は中央銀行が目指す物価上昇率を明示し、その範
囲内に収めるように金融政策を運営する手法で、物価の安定を
維持し、金融政策の透明性や独立性を高める手段としてイギリ
スやカナダなどの中央銀行が採用している。
■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■
●経済界のマエストロ、グリーンスパンの功績
現FRB議長のグリーンスパン氏がに就任したのは87年ですから、
彼は18年もの間、議長を務めていたことになります。レーガン
大統領に議長に任命され、ブッシュ(父)、クリントン、ブッ
シュ(子)と長期に渡ってアメリカの経済を支えてきたのです。
FRB議長としてのグリーンスパンの評価は非常に高いものでした。
『ビジネス・ウィーク』によると、87年にグリーンスパンが就
任したとき、インフレは3.9%、2005年現在は2.0%です。失業
率は87年が6.0%で、途中高くなりましたが、現在は5.1%と低
くなっています。
それから何と言ってもアメリカは生産性が87年の2.3%から3.1
%と、この間非常に伸びています。また人件費は87年100だった
ものが106と、上昇はほとんどなく抑えられている。一般労働者
から見ると、この数字は不満が大きいかもしれません。
もう一つ、重要なことはGDPに対する公的債務です。87年が183
%で、現在は204%。アメリカ国債が紙くずになると言われたと
きに就任しましたが、そうはならなかった。
日本がせっせと買い増したことも大きいのでしょうが、日本の
場合はこの10年間でGDPに対する負債というのは何倍にもなって
います。ですから、そういう点から見れば、18年間でこの程度
というのは上出来と言えるのではないでしょうか。
これだけの功績を挙げたグリーンスパンを非難する人は少ない
のですが、クリントン政権時代に経済顧問をやっていたダイソ
ンは「彼が失敗したのは2回だけだ。それはブッシュ(子)になっ
てから減税したことだ」と言います。
グリーンスパンというのは絶対に減税はしないというスタイル
の人だったのですが、この2回の減税はブッシュが選挙公約した
ために調子を合わせてしまった。しかしグリーンスパンを批判
する声は、他からはほとんど聞こえてきません。
●新議長バーナンキが推奨するインフレ・ターゲットとは
そんな偉大なグリーンスパンの跡を継ぐのは大変だと言われて
いましたが、ベン・バーナンキ氏の就任をマーケットは比較的
好意的に見ています。彼はハーバード大学経済学部を卒業し、
マサチューセッツ工科大学でドクターを取得。プリンストン大
学経済学部長などを経て2002年にFRB理事に就任しています。
バーナンキが導入を目指すインフレ・ターゲットとは何か。こ
れは日本でも今後いろいろ議論されていくことになると思いま
すが、アメリカの場合ですと、だいたい2%くらいをインフレ・
ターゲットに設定する。そして全てを2%に向けて調整、誘導し
ていくことになります。バーナンキの意見では、これを導入す
ることによって連邦政府の経済政策の透明性が増すということ
です。
しかしグリーンスパンはインフレ・ターゲット導入には反対で
した。というのも彼は、突然利上げをしてみたり、思いがけな
い演説をしたり、「言われなき熱狂だ」といって抑えようとし
たり、グリーンスパン・マジックというようなものを駆使して
きたからです。
全部透明になってしまったら、それが使えなくなってしまう。
また少なくともフェデラル・リザーブ(連邦準備金)の手足を
しばることになるから導入には反対だということを言っていま
した。
ところが、どちらかというとオーソドックスな経済学者である
バーナンキの場合には、ターゲットを2%と決めたら、それに向
かって論理的に操作していく。
そうでないとマジックを操るような天才の跡を継ぐことなどで
きないと私は思うのです。ですからどちらが正しいかというよ
りも、能力とカリスマ性といったようなものから2人の政策の違
いが生まれてくるのでしょう。
日本とアメリカは今までインフレ・ターゲットを導入したこと
がありませんが、これを導入して成功している国もあります。
しかし日本の場合にはインフレ・ターゲットをやると歯止めが
かからなくなる恐れがあるので、私は導入には反対です。
それに今の政治家たちが言うデフレは、私たちから見ると異常
な物価の高さが正常化しているプロセスです。そのプロセスを
デフレと呼んで、「デフレが終わるまでは量的緩和をやめない」
というのでは、物価が正常化する限りはゼロ金利が続きますと
言っているのと同じです。
日本の場合には一般の人が多くの預金を持っていますから、金
利を上げたほうが景気もよくなるはずなので、今の政治家たち
の言い分というのは全く見当違いだと言えます。
「グリーンスパンの政策を継承していく」としながらも、イン
フレ・ターゲットに関しては独自の論を展開するバーナンキ。
またデフレを理由に量的緩和政策解除をけん制する日本政府。
今後、日米の金融政策ではこの「インフレ・ターゲット」とい
う言葉が重要なキーワードの一つになってくるでしょう。
−以上−
(参考)
2005.10.30 Sunday
ケインズを破棄し、「奴ら」と手を切ろう
http://blog.kaisetsu.org/?eid=225444