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http://www.nikkei.co.jp/news/shasetsu/20051122MS3M2200522112005.html
社説2 改革問われるメルケル政権(11/23)
ドイツでキリスト教民主同盟(CDU)のアンゲラ・メルケル党首(51)を首相とする新政権が発足した。保革二大政党による大連立政権は40年ぶり、ドイツ史上初の女性宰相の誕生である。長期間にわたる政治空白に終止符が打たれ、構造改革を主張して選挙に勝ったCDUからの新指導者の登場を歓迎したい。
だがメルケル政権の船出には不安を感じさせる要素も少なくない。議会で7割超の議席を握る巨大与党だが、両党の間だけでなく両党の内部にも、さまざまな意見対立が残っているからだ。巨艦をかじ取りする強力な求心力をメルケル首相が現時点で備えているようにはみえない。
新政権の改革の実行力が問われる最初の試金石は税制改革だ。連立政権の政策綱領である連立協定には、財政再建を最優先する増税案が盛り込まれた。たとえば日本の消費税に相当する付加価値税の税率は2007年に3%引き上げ、19%とする。メルケル首相が選挙前に主張していた2%より引き上げ幅が大きい大胆な増税路線である。
ドイツの財政赤字はユーロ圏の財政規律に違反した状態が続いており、これを解消しない限り、欧州連合(EU)の中核国として欧州の国際社会で発言力は維持できない。日本と同様に、財政再建がドイツの緊急課題であるのは間違いない。
連立相手の社会民主党(SPD)とその支持基盤である労働組合には、増税による国民の負担増や景気への悪影響を懸念する声が根強い。こうした与党内の不協和音を放置したままメルケル政権が走り出せば、ドイツ経済を立て直す前に、政権の足元が揺らいで転びかねない。
硬直的な雇用制度の改革と企業の活性化も重要な課題である。連立協定の中身を見る限り、従業員の解雇規制の緩和が小幅にとどまり、法人税率の引き下げが先送りになるなど、本格的な構造改革とはほど遠い地点から出発する印象は否めない。
メルケル政権は、ドイツの構造改革が必要だと考える国内と世界の期待の下で誕生した。個別の政策での妥協は大連立の宿命だが、「ドイツ経済を復活させる」という共通の大目標を見失わずに、難しい与党内の意見調整を乗り越えてほしい。