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中国国家主席、米大統領に人民元の改革推進を約束
【北京=秋田浩之】胡錦濤中国国家主席は20日午前、訪中しているブッシュ米大統領と北京の人民大会堂で会談し、引き続き対米貿易黒字の縮小に努める方針を表明した。
人民元問題を巡っては、胡主席が柔軟な為替制度の実現に向け、改革を推進すると約束。ブッシュ大統領は日中関係の改善を促すとともに、民主化を進めるよう求めた。
ブッシュ大統領の北京訪問は2002年2月以来。両首脳は懸案の経済問題では解決に努力する方向で足並みをそろえた。ただ、米側が重視する民主化問題などでは依然として大きな溝が残っており、米中はなお緊張の火種を残した格好だ。
両首脳は会談後、それぞれ声明を読み上げた。胡主席は人民元問題について「為替制度の改革を揺るぎなく推進する」と表明した。同時に「両首脳は貿易不均衡を徐々に是正するため、手を携えていくことを確認した」と語った。ブッシュ大統領は「柔軟で市場に基づく為替制度」への移行と一層の市場開放を求めていく考えを示した。
中国は同日、米ボーイングから旅客機70機を購入する契約を締結。今月8日には通商摩擦の種となっていた繊維製品輸出抑制で米国と合意するなどの手を打っており、会談でも通商問題では対立を回避した。
ブッシュ大統領は会談で、中国による知的財産権侵害にも強い懸念を表明した。胡主席は海賊版ソフトの摘発を強めることを約束した。
北朝鮮問題では、朝鮮半島の非核化を早期に実現するため、米中が緊密に協力していくことを確認。6カ国協議の他の参加国とも連携し、核放棄の手順などを早急に詰めることを申し合わせた。
日中関係を巡っても議題になり、胡主席が日本の歴史問題などを巡る中国の見解を説明した。ブッシュ大統領は経済、安保両面でアジア域内の協力を前進させるためにも、日中が対話を促進し、関係を改善することが重要と呼びかけた。
ミゾが目立ったのは人権問題。ブッシュ大統領は中国政府による民主活動家の弾圧や宗教活動への制限などを批判した。大統領は会談後の声明でも「社会、政治、宗教分野での自由を拡大しなければならない」と迫ったが、胡主席は人権状況は改善していると反論した。
中国による軍拡が国際社会の懸念を招いている問題では、胡主席が中国は「平和的な発展」を目指すと言明。中国の台頭は他国への脅威にならないと主張した。