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価格転嫁できず内容量減少
原料高騰に加え、原油価格の上昇が食品業界を直撃している。とくに練り製品業界やチ―ズ業界の影響は深刻だ。しかし、デフレ経済から抜け出せない中で最終価格の引き上げは難しく、各社とも内容量を減らして価格を据え置く実質値上げに踏み切るなど、苦しい対応を迫られている。今後も原料価格の値上げが続けば、各社の収益悪化につながりそうだ。
「コスト削減も限界。値上げしたいのはやまやまだが、一部商品の規格変更(価格を据え置き内容量を減らす)で対応している」。マルハの前田茂食品第二部長は苦しい台所事情をこう打ち明ける。
同社は今年九月、練り製品で主力の「ちくわ」(五本入り)について、価格を変えずに内容量に従来の百五十グラムから百四十グラムに減らす実質的な値上げに踏み切った。練り製品最大手の紀文や日本水産も同様の対応を講じている。
この背景にあるのが、欧州や米国での需要増によるスケソウダラ価格の上昇だ。欧米では健康意識の高まりに加え、BSE(牛海綿状脳症)や鳥インフルエンザ発生による畜肉に対する不信が高まっており、フライ用の切り身やサラダ用のカニかまぼこの消費量が増加。一方で水産資源保護のため、日本や米国はスケソウダラの漁獲量を制限しており、供給量がタイトになっているのが現状だ。
かまぼこなど練り製品の主原料となる米国産スケソウダラすり身の輸入平均価格を見ると、昨年春までは一キロあたり百七十円程度だったが、今年九月には約一・五倍の同二百六十六円にまで上昇している。
また、世界的な原油価格の高騰に伴い、漁船燃料も大幅に上昇しており、「すり身価格上昇がボディ―ブロ―のように効いていたところに、燃料費の値上げが追い打ちをかけている」(大手メ―カ―)という。
一方、輸入ナチュラルチ―ズを加工してプロセスチ―ズを製造・販売するチ―ズ業界も、原材料の値上がりに頭を抱えている。
チ―ズ普及協議会によると、、「急激な経済発展で洋食化が進む中国をはじめ、ロシアや東南アジアなどで消費量が増加傾向にある」(伊藤晋治専務理事)という。特に中国ではハンバ―ガ―やピザチェ―ン店が相次いでオ―プンしており、業務用で高い伸びが続いている。
また、二〇〇二から〇三年にかけて豪州を襲った干魃の後遺症も大きい。チ―ズ生産量が減少したのに伴って価格はここ数年で約四割上昇。豪州産は日本の輸入ナチュラルチ―ズの45%を占めており、雪印乳業や明治乳業では一部商品の内容量を減らすなどの対応を講じている。
こうした業界では、原料価格は今後も高水準で推移すると予測している。製品への価格転嫁を検討するメ―カ―も出ているが、消費減退への懸念もあり、消費者が価格に納得するような製品開発が求められそうだ。
産経新聞 2005 11 09
深沢真貴