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10月31日(ブルームバーグ):西武グループ創業者一族の堤猶二と堤清二氏は31日、経営再建中の西武鉄道の買収案を発表した。最大で5600億円規模の株式公開買い付け(TOB)を実施し、すべての発行済み株式の取得を目指すという。同時に西武グループの新しい持ち株会社に3300億円を出資して筆頭株主になる案も提示した。
「コクドの株主は創業家であるとの主張を封印し、強引に増資により創業家の影響力を排除するもの」。猶二氏は会見で、西武鉄の後藤高志社長らが進める持ち株会社方式による西武鉄とコクド、プリンスホテルの一体再生案をこう言い切った。
現在の西武鉄経営陣の再編案では、1)西武鉄株の価値を低く見積もり過ぎており既存の一般株主の利益を損なう、2)西武鉄は優良企業であるにも関わらず経営再建の必要なコクドと一体再生を進めれば再上場の時期が遅れる、と猶二氏らは指摘する。
「一般株主のため、創業家の意地からTOBを実施する」。猶二氏らは、西武鉄の経営陣らが資産査定に応じない場合は、忠実義務違反などで訴訟を起こす考えだ。 ただ、「我々は敵対的買収を行う意図はない」(猶二氏)とも語り、買収提案の最大の目的は経営陣らを同氏らとの交渉に応じさせることであることも示唆している。この日の会見に清二氏は欠席したが、猶二氏は「私は兄弟を代表している」と述べ、実兄の康弘氏もTOBに参画する公算が大きいとしている。
現再編案は西武鉄株、「不当に低く評価」
猶二氏らの買収案では、両氏が特別目的会社を通じて西武鉄へのTOBを実施。買収額は1株当たり1150−1300円で、総額は5000億−5600億円になる見通し。最低で50%超の株式を取得することをTOB成立の条件としている。
西武鉄が進めている現在の再建策では、米投資ファンドのサーベラスなどから最大1600億円の増資を受ける計画となっている。猶二氏らは、現在の再建策では西武鉄の1株当たり株価を700円に評価していると推定し、「EBITDA倍率を用いた鉄道業界の平均バリュエーションや、保有不動産価格から判断して不当に低い価格だ」と指摘した。TOB実施に際しては「国内外の投資銀行含む複数の金融機関が支援する」と言う。
猶二氏らは、新しい西武グループ持ち株会社に直接3300億円を出資し、発行済み株式の49%を取得する案も提示した。1株当たりの価格といった条件はTOBと同等。現在の再建策では1600億円の増資で49%出資が検討されているが、両氏側の条件で引き直すと30%出資になるとしている。
11月末のコクド臨時株主総会、差し止め仮処分申請
西武鉄は、鉄道とホテル・レジャーの2事業会社を傘下に収める持ち株会社を今年度中に設立する方針を決めている。この枠組みのなかでは、コクドとプリンスホテルを含むグループ3社が、米投資ファンドのサーベラスと日興プリンシパル・インベストメントを中心に最大で1600億円の資本を受け入れる。
コクドの名義株は創業家のものと主張する猶二氏らと、堤義明・前コクド会長のお家騒動の解決を待っては、西武グループの再編が遅れる。西武鉄の経営陣はコクドを持ち株会社化し、子会社コクドに増資することで、創業家の争いを封じ込める方針だ。コクドは子会社化のため11月末に臨時株主総会を開く予定だが、猶二氏は、同総会の差し止め仮処分を東京地裁に申請中で、地裁判断が当面の焦点になる。
これに先立ち村上世彰氏率いるM&Aコンサルティング(通称「村上ファンド」)も5日、西武鉄が安価な価格で増資を強行するなら、差し止め仮処分を申請するとの方針を示しているが、猶二氏らのTOBに村上ファンドは協力していないという。
記事についての記者への問い合わせ先:
東京 上野 英治郎 Eijiro Ueno e.ueno@bloomberg.net
竹本 能文 Yoshifumi Takemoto ytakemoto@bloomberg.net
更新日時 : 2005/10/31 19:32 JST
http://www.bloomberg.com/apps/news?pid=90003017&sid=azFS2z8DDUE4&refer=jp_japan