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(回答先: 竹中金融大臣が日本の銀行や生保を米国に売り渡そうとするのも、日本の民間資金のユーロシフトを恐れているからだ 投稿者 TORA 日時 2005 年 10 月 29 日 19:38:47)
五月二十九日にフランス、六月一日にオランダが国民投票で欧州連合(EU)憲法批准を否決した。
その直後にドイツがユーロ離脱を検討しているとの観測が流れ、またイタリアの閣僚がイタリアのユーロ離脱を主張したこともあって、ユーロ崩壊を懸念する人が増えている。
ユーロは欧州が五十年かけて、ようやく実現にこぎつけた単一通貨である。
その歴史の重みを考慮すると、ユーロが崩壊するとは信じがたい。
さりとて、現状のユーロ圏経済が通貨同盟の安定を損なう方向に動いているのもまた事実である。
一例として労働市場改革で進展が見られるドイツと遅れ気味のイタリアを比較してみよう。
賃金を生産性で割った単位労働コストは通貨統合から今日までドイツでは下降、イタリアでは上昇を続けている。これはイタリアの競争力喪失を意味するが、その累積は二〇%近い。
この場合、通貨統合以前であれば、イタリアは自国通貨のリラを二〇%切り下げることで競争力を回復できたが、ユーロに加盟したイタリアに切り下げの道はない。このままでは競争力格差は広がる一方である。
さらにユーロ圏では欧州中央銀行制度による統一金融政策が行われているため、政策金利は一つしかなく、インフレの国では実質金利が低くてインフレ的となり、デフレの国では実質金利が高くてデフレ的となる。欧州中央銀行制度はこの矛盾に直面している。
通貨同盟が機能するためには健全財政と構造改革を推進することで、経済の収れんを実現することが不可欠である。しかし、国ごとに改革への対応が異なっているのが実情で、経済は収れんに向かうどころか発散している。これを放置しておけば、通貨同盟は早晩行き詰まる。これがユーロ危機の本質である。
(伊藤忠商事金融部門チーフ