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2005年 10月 28日 金曜日 18:43 JST
[東京 28日 ロイター] 政府税制調査会(首相の諮問機関)の石弘光会長は、都内での講演で、消費税の特定財源化を、特別会計まで作って実施することは無理である、との見解を示した。
自民党の財政改革研究会が消費税の社会保障目的化の考えを打ち出したことに関連し、同会長は、「福祉目的税は特別会計まで作り、福祉というものを全部括って、そこに消費税を投入しようという話にすると、これは規模が大きいかなと思う。一般会計の中に入れて、その中で緩い関係を説明して、社会保障の財源として消費税の議論はできるかもしれないが、それも、これからの議論だと考えている」との見解を示した。
さらに、消費税のウエイトが今後高まっていくことが見込まれるなか、「消費税の特定財源化は、特別会計まで作ってやるのは無理だと思う」と述べた。
小泉首相は在任中に消費税を上げないとするなか、同会長は、「これからは本格的に、次の首相になる人を中心にして、この問題を考えざるをえない」と述べた。
また、「仮に日本の消費税率が何年か先に引き上げられた時に、軽減税率の設置の有無が大きな問題になると思っている。これについても税調として議論しなければならない」としたうえで、当分の間は「一本化のほうが良かろうという意見で大体集約している」と述べた。
2006年度の税制改正議論に関し、国と地方の税財政改革(三位一体改革)に伴う税源移譲については、方向性はすでに出ており、「国税の累進税率構造をどのように3兆円削減するか、というところに問題が移っている」と指摘し、技術的な対応が課題であるとした。また、国税では新たに5%という税率の刻みを作らなければ、円滑に事は進まないとした。
定率減税の廃止は、すでに2006年度中に廃止との議論の流れがあり、「そういう形で決着がつくと思っている」と述べた。時限措置である研究開発・投資減税の是非については、さらなる議論が必要なものの、「おそらく廃止の方向。延長しない方向になるかなと思う」と述べた。道路特定財源については、一般財源化の方向であることを示唆した。
複雑な酒税の体系については、簡素・合理化する方向で議論が進むとした。環境税は税負担をかけて消費を抑制する狙いがあるものの、原油高のもとでは本来の環境税をかけても価格効果がない、といった論点があるとした。
同会長は、所得税を中心とした現在の税制においては、「経済、社会の構造とミスマッチしているところが多々ある」と指摘。「今後このミスマッチを直しつつ、1991年のバブル崩壊以降の累次の減税で税収獲得能力が著しく衰えている。税制の本来の機能をどのように復活させるかが、今後の税制改革の一番のポイントであると思っている」と述べた。
また、財政は今のままでは持続不可能であり、放置するわけにはいかず、「財政再建が一番大きなテーマにならざるをない」と指摘した。
同会長は、「今はたまたま日銀の量的緩和により金利が抑えられているが、早晩、景気が回復すれば金利は上がらざるをえない」と語り、将来世代の負担増につながりかねない状況に懸念を示した。
同会長は来年の中期答申の議論では、「今後、消費税率をどうするのか、法人税をどうするのか、所得税をどうするのかという中で、歳入、歳出の一体化したスキームがないと前に進めない」と指摘。骨太の方針2006での歳入・歳出一体化スキームの議論なども踏まえ、中期答申の取りまとめは、通常の6月から後ズレする可能性があるとした。
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