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インターネット専業証券を通じて頻繁に株取引を繰り返す「デイトレーダー」が株式市場の様相を大きく変えている。国内市場の売買代金全体の四分の一を占める存在に成長し、記録的な大商いの立役者となった。一方、ゲーム感覚の投資家が多く、不公正な取引が広がる懸念も浮上してきた。ネット取引が健全な経済活動に脱皮するには、まだ曲折がありそうだ。(原口和久)
横浜市内の主婦、T子さん(35)がネットで株取引を本格的に始めたのは六年前。株が好きな祖母に勧められるままにある銘柄を購入したところ、しばらくして株価が倍になっていたことに気づいた。「株ってすごいな」と驚き、早速ネット証券に口座を開設した。
毎日、保有株の値動きをパソコンでチェックし、一日に数回の取引をすることもある。利益が出たら売却するが、一歳になる長男の子育てに追われ、値下がりした株をついつい抱えてしまいがちだという。一方で、新規公開株で大きくもうけたこともあり、T子さんは「今のところ収支はプラス」と話す。
T子さんのようにネットで株取引を行う個人投資家は増加の一途だ。売買単位である単元株の引き下げなどで十万円以下でも株が買えるようになったほか、平成十一年の手数料自由化を受けて売買仲介手数料を大幅に安く抑えたネット証券が台頭し、株取引が身近になった。いまでは投資家は手数料分をほとんど考慮せず、株価が数円上がった状態で売却し、手軽に百円単位の利ざやを稼ぐことができる。
こうしたデイトレーダーは、購入した株の大半をその日のうちに売却し、宵越しの株は持たない。また、少額の投資ができるため、ゲーム感覚で株取引を行う人も目立つ。もうけたら勝ち、損したら負けとし、「自分は〇勝×敗だ」などと勝率を競っている。
こうしたデイトレーダーの急増は、株式市場の活況を支えている。
東京市場は九月に記録ずくめの大商いが続き、東京証券取引所の九月中間連結決算は増収増益だった。
一方で、問題も顕在化している。業界最低水準の手数料制度で顧客を増やしている楽天証券では今年八月以降、五回のシステム障害が発生し、一時ネット取引ができなくなった。ネット証券最大手の松井証券の松井道夫社長は「業界全体のイメージ低下につながる」と怒りをあらわにした。
また、見せかけの注文を大量に出して株価をつり上げる手法も出ている。「対面取引ならば問題ある注文を水際でチェックできるが、ネットだと十分にできない」(鶴島琢夫・東証社長)のが現状だ。東証は証券会社に顧客動向の把握を要請、日本証券業協会も口座開設時などのチェックを厳しくする方針だ。
デイトレーダーの動向について、三菱UFJ証券の藤戸則弘・投資情報部長は「投資というより投機。パチンコや競馬、競輪と同じ感覚だ。どういう企業かも知らずに株価の動きだけ見て売買しており、株価が調整局面に入ると痛い目に遭いかねない」と警告する。
そのうえで「ネット取引は手軽に行えるし、企業情報も入手できるなど利便性が高い。企業の研究をしたうえで投資し、企業の成長とともに大きな利益を得るという株式投資の王道を歩んだ方が長続きするし、業界全体にとってもプラスになる」と指摘している。
(産経新聞) - 10月28日3時7分更新
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20051028-00000000-san-bus_all