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(回答先: 阪神・村上、TBS・三木谷の陰にいる外資と中国の影響とは?三木谷浩史も堀江貴文もただのITヤクザ 投稿者 TORA 日時 2005 年 10 月 27 日 13:23:58)
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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成17年(2005年)10月28日(金曜日)参
通巻第1273号
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「企業買収屋が英雄になった」(前編)
伝統文化を毀損する異常なM&Aの流行
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▲ほりえもんの登場
政治も嘗ての朋友をばっさばっさと切り捨てて刺客を送り込んで圧殺をはかる戦国時代へ突入なら、経済界にもミニ信長やら、ミニ信玄やらニセ秀吉が次々と登場してきた。
文字通りの「乱世」が開始され、猛烈な企業買収戦争があちこちで勃発するようになった。
年初に騒がれたのは「ドラエモン」に似たほりえもん(堀江貴文ライブドア社長)が、自ら率いるネット企業の「ライブドア」を通じて、ニッポン放送ーフジテレビの油断と傲慢の隙間を衝いて仕掛けた株の買い占め事件だった。
これは終戦直後の価値紊乱時代に高利貸しに打って出て、保守的だった世間を騒がせた山崎某の事件に告示しており、筆者は『青の時代』(三島由紀夫が山崎をモデルに書いた小説の題名)にこと寄せて『@の時代』の到来と書いた(『正論』05年五月号)。
ライブドアという会社はIT時代の通信革命に便乗し、新しいビジネスを定着させる一方で、証券会社からローン会社まで盛んに企業買収を繰り返して急激に肥った、いはば革命児。モラルが希薄で倫理観が乏しく、たとえば「産経新聞の『正論路線』は不要だ」という暴言も平然と吐いた。
東大中退の「ほりえもん」は、結果的にフジテレビとの話し合いでニッポン放送株を手放し、一千数百億円もの利益を上げるという”快挙”を成し遂げ、若い世代の英雄に祭り上げられる(この手法は高値買い戻しを狙うグリーンメイルの変形バージョン)。
この時代的雰囲気の激変は、その後の総選挙に娯楽と売名とを狙って立候補したところありふれたテレビのエンターティンメント番組より面白く、またどんなお笑いタレントより滑稽で、愚昧な大衆に囃され、あの尾道市のような保守基盤の強い選挙区で、大物議員、亀井静香氏を相手に十分な立ち回りを演じることができた。
事前予測の泡沫候補扱いどころか相手の基盤を脅かした事実を目撃しても、現代日本が異様な時代の雰囲気に包まれていることを了解できる。
自民党の圧倒的勝利のなかで、その波を的確に掴んで売名をはかった「ほりえもん」が、どういう理由からか英雄視されるという日本の精神の荒廃ぶりは伝統の毀損、文化的危機でもある。
▲楽天の登場
さて、今度はインターネット上の仮想商店ブームに乗って馬鹿当たりに当てた新興企業「楽天」が、あろうことか、民放大手TBSの発行済み株式を大量に取得し、いきなり業務提携を持ちかけるという事件がおきた。
楽天はマイクロソフト伝説よろしくマンションの一室で四、五人が起業、ジャスダックに上場していきなり成金になった。
仕掛けられたTBSの上位株主は1位が日本マスター・トラスト信託銀行(15%)、2位が日本トラスティ・サービス信託銀行(7%)、3位がステートストリート・バンク・アンド・トラスト(5・6%)、4位に日本生命保険(5%)、5位が三井住友銀行(3・2%)。要するに上位3位までは投資信託の運用に伴う保有でしかなく実質的には4位の日本生命が筆頭株主だった。
ところが電光石火の早業で株を買い占めた楽天は、いきなり15%超の保有比率となり、これは日本生命の3倍にも達し、圧倒的な影響力を持つ筆頭株主の地位を占めたのだ。
TBSの油断とはいえ、これは戦後経済史を画期する重大事件である。
楽天の三木谷社長は、「(TBSには)大きな株主さんがいらっしゃらない。楽天が筆頭株主になった結果)株主構成が安定する」と記者会見で強気の態度を崩さず、「筆頭株主として長期的にTBSの経営にかかわる」という意思を示した。
楽天がTBSに唐突に提示した経営統合のシナリオに依れば、事業面で仮想商店街のポイント制度を駆使した新視聴者の開拓や番組との連動、商店街の購買履歴を活用する広告。またM&Aを梃子とする海外市場開拓。
要するに楽天は「世界に通用するメディアグループの設立」という目的を持っているのだった。
直後に三木谷浩史社長はTBSの井上弘社長と会談した。
そのご、何回か話し合いはもたれたが、交渉は予想通りにこじれ、泥沼の長期戦に突入した。
事態が長引いたことを喜色満面で見ていたほりえもんはホワイトナイト(白馬の騎士)をかって出てまたもマスコミを湧かせたが、これはTBSにあっさりと拒否された。
というのもほりえもんがフジテレビに挑んだ土壇場で現れたホワイトナイトは「ソフトバンク」系列の北尾某だったが、その直前までフジと接触していたのは楽天の三木谷だったからだ。
宿命の怨念と競争心と嫉妬にもえる二人の関係である。
TBS株については以前から謎のファンド筋、所謂「村上ファンド」がその時点で5−10%を保有していた。
旧通産省(現経済産業省)出身の村上世彰氏が率いる投資ファンドは水面下で経営陣による企業買収(MBO)を打診してきた。
それが村上ファンドは途中から阪神電鉄株の大量取得に走り、これに怒った阪神ファンが村上への不快感を表明し、世論が変わる。
(なるほど野球ファンを敵視してはいけないのか)。
TBS側は当然、対抗手段として買収を防衛する作戦を展開する。電通、三井物産、ビッグカメラなどを引受先とした三百億円規模の第三者割当増資を発表する。
▲三木谷氏に群がった財界人
筆者は05年初頭の或る新年会の風景を思い出す。
雑誌『財界』は三鬼陽之助氏が創刊以来、日本の経済界の多くが執筆する、いはば財界のオピニオン誌である。
毎年、優秀な経営者を選んで「財界賞」を贈るならわしがあり、その授賞式を兼ねた、ド派手な新年会が毎年、東京會舘に千五百名前後をあつめて開催される。
錚々たる財界人がつどう恒例行事だ。
筆者は毎年必ず招待をいただくので、二年に一度くらいは”野次馬”として参加してきた。財界の主要な考え方をパーティの演説やら会場の会話などから取材できるからである。
さて新年会の会場で驚いたのは三木谷社長の前に、名刺を交換しようとする経済人が長蛇の列をつくった異様な光景を目撃したからである。
しかもその隣にたまたま財界の往年のスター的存在だった鶴田卓彦「日本経済新聞」前会長がぽつんと突っ立っていた。
いつもなら尾を振って擦り寄る財界人がスキャンダルで失脚寸前の人物に対しては見ても見ない振り。鶴田氏の周りには人が集まらず真空状態。
ま、これが日本社会の村の論理だからしかたがないといえばそれまでだが。。。
さて楽天は証券会社、旅行社、プロ野球球団などをM&A(企業の買収・合併)によって片っ端から買収し、一気呵成に業容を拡大してきた。
だが本業の一環であるポータル・サイトの「インフォシーク」は、閲覧数(ページビュー)競争で首位のヤフーに大きく水をあけられ、「ヤフー・オークション」にも肝心のオークション・ビジネス戦線でまだまだ追いつけないでいる。
楽天の経営手法を或る専門家は三木谷の心理分析を加味してこう言う。
「最大のヤフーはじめ競合他社への対抗上、『何かやらねば』とする焦燥に駆られての行動ではないのか」と。
▲ソフトバンクの存在
通信産業の風雲児となった孫正義率いるソフトバンクは、すでにテレビ番組のインターネット配信を狙い、日本テレビ放送網、フジテレビなどの民放各社との連携に動いた。
楽天のライバル、ヤフーはソフトバンク傘下なのである。
また映像配信サービス「ヤフー動画」を手がけ、豊富なコンテンツを誇る。
要はネット各社がテレビ局を取り込もうとしているビジネス環境にあり、楽天が「バスに乗り遅れる」と不安感を抱いたのは論理的帰結であろう。
金融的に見ても手元に唸るふんだんなキャッシュを楽天が有効に運用しなければ、株式市場からの失望を買う。
生き馬の目を抜くM&Aの世界では、一瞬たりともM&A戦争の手を止めたら株価が下がる傾向が強い。
それゆえに企業としての総合性に乏しく、整合性をグループ全体に欠いている楽天が、手元資金の有効活用とコンテンツの囲い込みを急ぎすぎ、TBSのようなコングロマリットを強引に買収しようとする無謀な計画に至るのは自然の成り行きでもあった。
(次号へ続く)
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<< 書評のページ >>
重い課題、苦渋の取材の痕
水谷尚子『反日解剖』(文藝春秋)
凄い行動力である。
著者の水谷さんは、たとえば反日暴動の上海で「日本人か?」といきなり殴られて半死の重症を負った留学生が、地元警察が「色恋沙汰」で適当に処理しようとしたことに立腹し、日本領事館に相談に行ったらケンモホロロだった。
「騒ぎ立てるな」が助言だったそうな。
こうした日本人被害者を現場へ飛んで綿密に取材している。何人も特派員がいる大手マスコミが取材を怠った分野だ。
また反日サイトの主宰者、尖閣列島上陸など札付きの「反日活動家」の多くに直撃突撃インタビューを繰り返す。このような著者の蛮勇的行動力には驚くが、反日活動家らの知的レベルの低さも呆れるばかりだ。
江沢民の反日教育に洗脳され、純粋培養された、「反日カルト」は数の上では無視しても良いほどの少数だが、政治的武器として政権に利用される。
中国の反日は毛沢東が『矛盾論』でいみじくも指摘した内部矛盾を外部にすり替える戦術である。
天安門事件の再評価、共産党の悪政をすべて日本の所為にし、ついで伝統的な中華思想
が嘗て東夷と侮蔑してきた倭の国が、経済的文明的に中国より発展したという現実を許容しがたい傲慢な心理の裏返し。
そしてアジアにおける覇権の確立に日本が邪魔だからである。
しかし中国の民衆は日本の製品に憧れ、命懸けでも密航するか偽装結婚してでも日本人になりたがる。
この巨大な矛盾を北京の「愛国」などという人為的世論工作で糊塗しようとしても限界があるだろう。
日本は宿命的に地理的に中国が隣国である以上、反日エネルギーの源が本当は何なのか、左翼のいう公式的な日本の謝罪不足とか、日本のナショナリストが説く論理を越えて、その原点にある「中国の闇」が何かを著者は懸命に追求している。
(この文章は「産経新聞」書評欄の拙稿、10月17日付けからの再録です)。
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(読者の声1)いつもメルマガを楽しませていただいています。世の中がどこへ向かっていくのかわからない時代に、先生のご主張は大変に参考になります。ところでニュースだけでなく、読者の声や今週の書棚も熟読させていただいています。自分が読んだ本でも、今週の書棚に書評がのると、こういう見方があるのかと目を開かれることがあります。
ところで、ひとつ残念なことがあります。
というのは9月10日号で、何冊か今週の書棚で紹介されていましたが、「超多忙で、まったく読む時間がとれず、とりあえず下記に一覧して謝意を申し上げるとともに、近日中に詳細の書評を試みたいと思います」とありました。何冊か読み、先生がどんな書評を書かれるのか楽しみに待っておりましたが、浜田和幸氏の本が掲載されただけで、ほかはまだ書評がのっていません。筆者のみなさんも先生の書評を心待ちにしているのではないかと推察します。お忙しいことはわかりますが、わたしのような凡夫のためにも、書評を書いていただけるとありがたいのですが…。
(KC生、郡山)
(宮崎正弘のコメント)良く認識しておりますが、なかには膨大な長編が含まれており、時間を割くのが難題です。300ページ以下で、原稿用紙400枚以内の書籍でも、読むのに二時間以上はかかります。
次の国内旅行のときに携帯してなんとか読み終えたいと思います。
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<< 宮崎正弘の最新刊 >>
『朝鮮半島、台湾海峡のいま、三年後、五年後、十年後』(並木書房、1575円)
http://www.nippon-nn.net/miyazaki/saisinkan/
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<< 宮崎正弘のロングセラーズ >>
『中国よ、“反日”ありがとう』(清流出版刊、1400円+税)
『瀕死の中国』(阪急コミュニケーションズ刊、1600円+税)
http://deserveit.jp/am/asin/4484052083.html
『中国のいま、三年後、五年後、十年後(改訂版)』(並木書房、1575円)
『世界経済のいま、三年後、五年後、十年後』(並木書房、1575円)
『中国財閥の正体―その人脈と金脈』(扶桑社、1600円プラス税)
『拉致』(徳間文庫、590円+税、以下同)
『ザ・グレート・ゲーム』(小学館文庫、476円)
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