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10月26日(ブルームバーグ):日本政府は支出削減と増税によって、長期的な財政赤字と政府債務の削減を目指している。しかし、景気回復のぜい弱さや執拗(しつよう)なデフレのなかで、政府の思惑通りに運ぶかどうかは不透明だ。
日本政府は社会保障費負担の引き上げや定率減税の廃止による税収増を目指している。対照的に、ブッシュ米大統領は深刻な長期的財政赤字見通しにもかかわらず、時限措置の所得税減税を延長しようと模索している。幾つかの支出削減案は示したものの、そのほとんどは議会に無視または拒否された。
日本の抱える問題は、米国よりも大きい。国内総生産(GDP)に対する割合で見ると、日本の財政赤字は米国の2倍、債務は米国の4倍の規模に上る。
この厳しい現実の深刻さは、日本国民の貯蓄率の高さによって幾分、薄められている。国内投資家が政府債務を引き受けることができるからだ。これに対して、米国の債務の大きな部分は、日本や中国など東アジア諸国の中央銀行を含む海外の投資家が引き受けている。
重大な問題は、過去10年の大半にわたって日本経済を悩ませてきたデフレだ。この10年間は実質成長率がさえなかったばかりでなく、物価下落によって名目GDPも減少し、これとともに税収の基となる所得や消費も縮小した。
米リーマン・ブラザーズ・ホールディングスのアジア担当チーフエコノミスト、ポール・シアード氏がインタビューで語ったところによると、1997年末以来、日本の名目GDPは2.5%減、実質GDPは7.3%増だった。米国では同期間に、名目GDPが46%増、実質GDPは25%余り増えた。
シアード氏は「現在のところ、日本はまだデフレのわなから抜け出していない」と話す。デフレは財政に大きな打撃を与えた。例えば、1990年代に60兆円前後だった日本の税収は、2004年には約40兆円に落ち込み、今年もさほど増えない見通しだ。一方で、歳出は80兆円を超えるとみられる。
日本政府の目標
政府は7−8年以内に「プライマリーバランス(基礎収支)」の均衡(国債発行を除いた歳入と国債の元利払いを除いた歳出の差が均衡している状況)を目指している。
しかし、この目標は近くデフレが終えんし、名目GDPが年率3.5−4%のペースで伸び続けることが前提となっている。仮にこの前提が正しいとしても、プライマリーバランスの均衡には至らない可能性もある。
ドイツ証券のチーフエコノミスト松岡幹裕氏はインタビューで、政府のスケジュールが実現するには、現在計画されている政策に加えて、少なくとも2ポイントの消費税引き上げと支出抑制が必要だと指摘する。
日興シティグループのエコノミスト村嶋帰一氏も同意見だ。小泉純一郎首相は消費税を引き上げないと公約しているため、消費税引き上げは実現するとしても2008年のことになると同氏は付け加えた。
前提
7、8年後のプライマリーバランス均衡という目標は、このような増税が個人消費を押し下げ景気減速をもたらさないことも、前提としている。
村嶋氏はまた、日本の景気回復は米経済の動向にも左右されると指摘。2006 年の米成長率が2.5%に落ち込めば、日本は1%成長となるだろうと予想する。
従って、仮にすべてが思惑通りに行ったとしても、日本の財政赤字が縮小し債務拡大が止まるのはかなり先のことであり、事態が悪化すれば債務が爆発的に増える可能性もある。(ジョン・ベリー)
(ジョン・ベリー氏は、ブルームバーグ・ニュースのコラムニストです。このコラムの内容は同氏自身の見解です)
原題:Japan's Deficit Medicine Wouldn't Fly in U.S.: John M. Berry(抜粋) {NXTW NSN IOXQE907SXKX 更新日時 : 2005/10/26 14:27 JST
http://www.bloomberg.co.jp/news/commentary.html