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2005年10月24日10時00分
景気回復を下支えしてきた「量的緩和政策」は、来春に解除される見方が有力になった。日本銀行は月末に発表するリポートで来年度の物価予想を上方修正する見通しで、解除の前提条件となる「デフレ脱却」が06年4月前後にも実現しそうなためだ。解除には景気回復の持続が不可欠だが、想定通り進めば、長期不況と戦後初のデフレ下で始まった世界に例のない政策に、5年ぶりに終止符が打たれる。当面ゼロ金利は変わらないが、その先の利上げの是非が焦点となる。
「日本経済は持続的な成長軌道に復するに至らず、再び経済情勢の悪化に見舞われるという困難な局面に立ち至った」
01年3月、日銀が量的緩和政策を導入した時の声明文の一節だ。
通常ではない思い切った金融緩和政策として、誘導目標を「金利」から、民間金融機関が日銀に置く預金残高の「量」に変更。日銀が、金融機関に使い切れないほどの資金を供給し続けることで、一段の金利低下と金融機関の貸し出しや株式購入の増加、物価上昇予想の広がりを狙った政策だ。
日銀は、生鮮食品を除く消費者物価指数(CPI)の前年比上昇率が安定的にゼロ%以上になるまで、この政策を続けると約束。具体的には、(1)CPIの前年比が数カ月ならしてプラス(2)先行きも再びマイナスにならない見込み、が条件だ。さらに、(3)前の2条件が満たされても経済・物価情勢によっては量的緩和を継続する、とした。
「(CPIは)年末にかけてゼロ%ないし若干のプラスに転じる」
日銀の福井俊彦総裁は最近、こう繰り返す。早ければ10月の統計値(11月末に公表)でプラスに転じる見通しだ。
日銀が31日発表するリポート「経済・物価情勢の展望」は、06年度の物価見通し(年度平均、政策委員の見通しの中央値)を今年4月時点のプラス0.3%から、0.5%程度に引き上げる方向だ。月により多少振れても再びマイナスにはならなくなるとみられ、条件(1)と(2)は来春までに満たされることになる。
条件(3)はどうか。原油高の影響などの見極めが必要だが、日銀内では「回復は緩やかに続く」との見方が多い。急変がなければ、3月の全国企業短期経済観測調査の結果が出る来年4月ごろの解除が有力だ。
「デフレは引き続いているということを繰り返し申し上げている」
解除に前のめりの発言が相次ぐ日銀に対し、竹中経済財政相らはクギを刺している。
00年8月のゼロ金利解除時は、政府の議決延期要求を振り切って日銀が利上げを決定。その後、景気は悪化した。
今はまだ景気過熱やインフレの懸念はなく、デフレ脱却に万全を期すべきだとの指摘も多い。一方、福井総裁らは、量的緩和は「日本経済の非常事態の異常な政策。経済・物価が正常化すると実態にそぐわなくなる」と強調。それを放置すれば「あとからつけが大きくなる」とみる。
3条件を達成すれば、解除に対する政府の反対は少ないとの見方もある。政府内では、景気回復を前提に財政再建路線を強める動きがあり、来秋までの小泉首相の在任中に脱デフレ宣言はしたいとみられるからだ。
解除後の金融政策は、目標を金利に戻し、ゼロ金利から出発する。預金などの超低金利がすぐに変わることはなさそうだが、量的緩和による利上げ予想の抑制が弱まり、金利上昇を促すかもしれない。
ゼロ金利をいつまで続けるのか。利上げを急がない公約を日銀が示すか――。水面下の調整も本格化しそうだ。
http://www.asahi.com/business/update/1024/045.html