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ニッポン「黄金時代」到来の予感
2005年10月19日
10月の中旬を過ぎてもまだ音なしなので、選挙マニフェストの言葉を「どう言い直すか」の調整中なのでしょうが、来年度に向けての税制改正論議が、まもなく政府税制調査会(政府税調)の場で始まるはずです。政府税調が6月に公表した給与所得控除や人的控除の見直し案などを盛り込んだ『個人所得課税に関する論点整理』が「サラリーマン増税だ」との批判を受け、直後(7月)の東京都議選の結果がはかばかしくなかった自民党は、衆院選のマニフェストに「サラリーマン増税はしない」と明記し争点化を避けました。選挙はご承知の通りの圧勝。結果がわかった翌々日の9月13日には、財務大臣・政府税調会長がさっそく、「異例の措置を元に戻すだけなのでサラリーマン増税には当たらない」と言い訳しながら、定率減税の半減→全廃方針を言明しました。
平成11年度に景気対策のため「恒久的減税」メニューの一つとして導入された定率減税ですが、この「異例の措置」には他に所得税最高税率の引き下げや法人税率の引き下げも仲良く同列で並んでいました。景気回復の恩恵をより厚く受けているのは、定率減税をありがたがる層よりも、むしろ大法人や高所得者層の方だと思うのですが、これらを元に戻すというような話は全く出てこないことに、与党や政府税調の考え方がくっきりと表れているように思えます。
加えて上記の『論点整理』は、住民税(所得割)率のフラット化(13・10・5%の3段階を10%の一律に)や金融所得一体化課税の推進にも触れています。税率のフラット化が進み「一律」に近づけば、低所得層ほど所得に対する負担割合が高まります。税率一律の消費税に「逆進性がある」と言われるのはこのためです。また、簡素・公平をめざすとされている「金融所得一体課税」ですが、対象となる金融所得はすべて「分離」課税扱いとし「一律」の税率(20%)をかけるという方向です。「総合」課税を受ける場合は、他の所得と合算してその所得水準に見合う所得税率をかけるわけですから、現在は最高税率(37%)の適用を受けることもあるわけですが、「分離」にしてしまえばすべて20%で済むことになります。
プライマリーバランスの回復を通じての財政の健全化が必要、そのためには増税は避けられないと仰々しく喧伝しながら、高所得者層・資産家層はむしろ減税方向。こういう流れや内容が骨身に沁みてわかり、いざみんなで異議を唱えるべしとなった暁には、『共謀罪』が口をバックリ開けて待っているという段取り。5%ぐらいの国民にとってはまたとない黄金時代の到来でしょう。ある程度の増税は避けられないにしても、露骨です。最近、ある全国紙に報道された海外不動産投資に関する、国税庁による税逃れの指摘および追徴課税や、ストックオプションに対する税制上の取扱いは、まあ、スタンドプレイですね。
生活設計塾クルー 野田 眞
「日経マネーDIGITAL」FP快刀乱麻より (c)日経ホーム出版社 日経マネー編集部
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