からのメッセージ
オーガニック畜産の見学にデンマークへ、スローフード運動の祭典をイタリアで、ハム作りの知り合いの職人を訪ねてドイツへ行ってきました。
いままでの20年間の物造りで安全性と味を追求してきましたが、その間遺伝子組み替え作物の登場や狂牛病、口締疫、など次から次に食の安全に関する状況は変化し、今までの発想法でいいのか、今後の20年間を考える場合より安全性を追求する先進地に何か良いヒントはないそんなテーマを持った18日間の旅でした。
デンマークのオーガニック基準(EU規準でもある)は、羅列するとまず動物愛護、オーガニック飼料の給餌、肉骨粉・動物性油脂・抗生物質等不使用、非遺伝子組み替え飼料の使用、水・環境について2年間の調査、等全ての項目がクリアーされないとオーガニックの認証は、下りない。
当然これらの項目をクリアーするためには、コストアップになります。消費者価格は、通常商品の約2.5倍だそうです。現在のマーケットシェアーは、1〜2%ですが、将来は15〜30%ぐらいになるであろうとのことでした。゛
豚生体を見ましたが、脂の付着の少ないいかにも加工向けの豚でありテーブルミートで消費することの多い日本向きの豚ではなかった。
その他卵、ブロイラー、酪農、肉牛等を見ましたが、それぞれよく研究され勉強になりました。
デンマークは、人口540万人、面積は九州とほぼ同じで一番高い山が、海抜170m国土のほとんどが農地として利用可能な小国ながら畜産を中心とした農業国です。
原子力発電をもたずエネルギーは北海油田のガスを中心に、そしてその一部は風力発電でまかなうなど環境に配慮したその考え方に共鳴する物があった。
そしてバイオガス、このガス製造会社では、60〜70件の畜産農家より集めた動物糞尿75%と25%の魚のアラ等の廃棄物300t/一日を集積し12,000mガスを生産し発電のエネルギーとするなど徹底して資源を有効利用していることが理解できました。
次に10月24日〜28日まで開催されていました、イタリア北部を発祥の地とするスローフード運動の祭典を見てきました。
多くの方がすでにご存知のことと思いますが、ファストフードに対抗しその地域で生産された本物の食品を食べながらもう少しゆったりした生活をしようではありませんか、食を通じて生活全体を今一度考えませんかという運動です。
イタリア北部の都市トリノの会場には、イタリア全土と一部日本を含めた各国で本物の食品を作るメーカーが参加していました。
職業柄どうしても食肉製品に注目してしまいますが、色々な製品の中でやはり生ハムに注目しました。
日本で有名なイタリア産生ハムとなるとやはりパロマ産ということになりますが、もっとおいしい生ハムがありました。それはスペイン産の生ハムですが、豚肉原料と製法に特徴があります。
豚生体120kg(わが農場の出荷体重)までは普通の管理をするがその後は、放牧でドングリを主飼料として
180kgまでに増体するそうです。
製造工程はとにかくじっくりと時間をかけてつくるそうですが、これほどおいしい生ハムがあるとは、本当に驚きでした。
世界にはまだまだ感動する食品がたくさんありますね。
最後に訪問したドイツでは、知り合いの家に滞在しながら、今から10年前我が農場の宿舎に滞在しハム作りの指導をしながら合間を見て日本各地を観光旅行した肉屋さんのタイツァーさん、ケマーさんを尋ねました。
職人一筋で過ごしてきた人たちなのであまり海外旅行の経験もない人たちですが、よほど日本の印象が良かったらしく、2〜3年後には年金生活に入るのでぜひとも再び日本にハム作りの指導に来たいそうです。顧問契約?を結んできました。
最後にこのたびを通じてとても大きなテーマが残りました。
それは発色剤としての亜硝酸の問題です。イタリアのスローフード運動で登場するハム類は全て発色剤を使っておりデンマーク・ドイツも同様ですが、オーガニックの基準のなかで発色剤は、どのように位置付けられているか、情報をお持ちの方はお知らせください。
その情報によっては、これからの商品造りが100%変化するかもしれません。
長旅から日本に帰ると、今建設中の自然養豚の豚舎工事が順調に進んでいました。土着微生物を使った豚にやさしい豚舎ですが、うまく微生物が繁殖するようこれからが大変です。
03年1月15日
中津ミート 松下憲司
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