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拙速な(女性・女系天皇容認の皇室典範改正)法案提出に反対します。政治版での新世紀人さんの投稿(http://asyura2.com/0601/senkyo19/msg/242.html)に賛同して。
天皇及び皇室に関する重大問題である皇位継承のあり方が、国民の総意に基づくべき事柄であることは、日本国憲法第一条の規定から考えて明らかです。しかし現時点で、そうした総意形成が可能だとは思われません。
(日本国憲法第一条)
天皇は,日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であって,この地位は,主権の存する日本国民の総意に基く。
条文中の“…この地位は…”とは、天皇の地位であることは議論の余地の無いところと思います。そして、天皇の地位が国民の総意に基づくのであれば、天皇の地位の継承もまた国民の総意に基づくべきものと思います。皇位継承については第二条に特に定められています。
(日本国憲法第二条)
皇位は世襲のものであって,国会の議決した皇室典範の定めるところにより,これを継承する。
此処には先ず、皇位が世襲のものであると明記されています。皇位継承の大原則が世襲という事です。世襲とは、その家の地位・財産・職業などを子孫が代々受け継ぐことです。“…その家…”に当たるのは皇室でしょう。そして、皇室の地位・財産・職業に当たるのは、皇室に具わる、いわゆる伝統に則ったさまざまの事柄でしょう。“…皇位…”は、そうした様々のものを含めて考えるべきです。
確かに、国会の議決があれば皇室典範の改正は可能です。国権の最高機関たる国会が、国民の総意を代表すると考えられるからです。しかし、本当に国民の総意として為される議決であれば、議決に当たって、国民的議論が為されるべきですし、議決そのものにおいても、ほぼ全員一致に近い賛成を求めるのが当然です。
しかし、現時点で国民的議論など為されていませんし、まして、国民的総意形成が可能だとは思えません。
先ず、所謂右寄りの人々が反対しています。とは言え、彼らは憲法改正には積極的であり、憲法第一条の規定についても、おそらく反対であろうと思われます。彼らの頭の中では、天皇と日本国憲法は別物なのでしょう。憲法も皇室典範も実は改定すべきだが、その時の内容は、女系天皇容認とは正反対のものなのでしょう。
しかし、この点については左翼やリベラリストも実は同じであろうと思います。同じというのは、天皇と日本国憲法を別物と考える点です。憲法擁護を唱える人々の内どれだけの人が天皇の存在を肯定しているのでしょうか。9条を守れとは言っても、1条については何の議論もありません。実は、天皇廃絶が本音であろうと思います。
勿論、意見が異なるのは構いません。意見の違いを容認することで、社会は社会として維持できるのですから。問題は、意見の違いにも拘わらずどのように社会を維持していくかという事でしょう。
天皇の権威に依ってそれを行なおうとしたのが戦前の日本でした。戦後は、憲法に拠って、法に依ってそれを行なおうとしました。憲法が国の最高法規であるとは、第九十八条第一項に定められています。しかし残念ながら、実際には憲法が充分に其の役割を果たしたとは言えません。憲法は、半ば棚上げ状態で今日まで来ました。
憲法は未だに国の最高法規ではなく、政治の道具に貶められています。憲法を擁護するとは、道具として擁護するのでなく、憲法を憲法として実施することであるべきです。
憲法第一条に則れば、国民の総意形成なくして皇位継承のあり方を変更することは許されないと言うべきです。