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ベーシックインカム(基礎所得論)についてはご存知の方も多いかと思います。社会保障制度の文脈で語られるもので、基礎的な生活費に当たる金銭を一般的・無差別に支給する制度のことです。ご存知ない方は次のサイトをご覧下さい。
(http://homepage3.nifty.com/civilsocietyforum/page061.html)
この制度について、社会保障の観点とは異なる視点から考えて見ました。
つまり、ベーシックインカムを経済構造の基本をなすものとして捉える視点です。
経済構造としてのベーシックインカムにおける意義の第一は、理想化された市場の条件たる、標準的な購買力を持って合理的に行動する多数の消費者を生み出すことで、市場経済の利点を生かせるいうものです。
第二は、国内における需要・供給間の貨幣循環をスムーズにすることで輸出依存・外貨獲得・対外投資の経済を内需中心・価値創造・対外援助に転換することです。財政を通じた公共投資によって需要を創造する従来の手法と異なり、官僚依存の利権政治を助長することもありません。
当然のことながら、この制度を実現するには膨大な財源が必要です。その為の税収確保については、既に研究者の間で検討済みです。ここでは、金融的手段として利払いのみを保障する条件での国債発行なども可能ではないかと指摘して置きます。
一方、義務的な年金保険料や健康保険料の廃止など国民負担の軽減となる措置も行います。また、住民税の均等割・平等割の徴収額を増やし自治体の財源を確保するなど、税体系の根本的見直しも大切です。
この制度によって基礎的な収入が安定して得られることにより、一人一人が自立して自己の可能性を生きることが出来ます。個人の生活条件が一変することは、社会的な人間関係もまた様変わりすることです。共生社会実現の現実的基礎が形作られます。
個人の自立は、社会的な様々な活動においても主体的、創造的営みを可能にするはずです。政治家任せの政治は、市民が積極的に参加する内容豊かな民主主義へと代わるでしょう。役人任せの行政は、様々の市民活動に置き換えられるでしょう。
こうした経済・社会・政治の変化を基にしてこそ、人権の擁護や差別の撤廃が実質的な内容をともなって実現するはずです。端的に言って、生活の基盤を他人の恩恵に依存することなく確立できるかどうかが人としての社会的生存そのものでしょう。その基本的な事柄を、ベーシックインカムは権利として実現するのです。
未来を希望あるものにし得る具体的な政策として、ベーシックインカムが有望ではないでしょうか。