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(回答先: 幾つかの点で認識を異にする。 投稿者 ODA ウォッチャーズ 日時 2005 年 10 月 26 日 00:18:47)
【ODA ウォッチャーズさん】
「新自由主義も、ケインズ主義(修正ケインズ)も、同じ、一般社会の在り様を巡る「思潮」である。ケインズのマクロ政策のみが、ケインズ主義ではなく、マルクスの剰余価値理論をベースにした、利子、所得、交換価値等の数値的表現の一方法である。」
[あっしら]
ケインズ主義は、どのような経済社会の在り様を主張しているのかご説明ください。
私が理解している限り、ケインズ主義は、経済主体の私的所有を基礎とした自由主義的競争条件の経済社会を前提とした経済政策論(マクロ経済学)です。
共産主義や社会主義ならともかく、ケインズ主義が、「マルクスの剰余価値理論をベースにした、利子、所得、交換価値等の数値的表現の一方法」だと言われるのですか?
たいへん興味深い話なので、ケインズ理論のどの部分がそれに当たるのかご説明ください。
【ODA ウォッチャーズさん】
「この点は、「あっしら」さんは、完全に間違っている。
ケインズ主義こそ、「金融主義」であり、「新自由主義」は、世界中の大学で、「市場主義」と一般に考えられている。」
[あっしら]
あの〜、「産業主義」なのか「金融主義」なのかという設定であり、「市場主義」か「非市場主義」かという設定ではないのですが...。
ケインズ主義も、「市場主義」を前提とした経済理論を基礎としています。
あなたの説明では、ケインズ主義は「市場主義」ではないことになります。
(ケインズ主義がいわゆる「市場原理主義」ではないことは認めますが..)
世界中の大学で、ケインズ理論は“非市場主義”だと一般に考えられているのですか?
ケインズ主義が不況時に赤字財政支出で需要を創出することを主張することから、政府債務の積み上げにより利息支払い(金融利得)の増加を招くことは承知していますが、その目的は実体経済の活動を活発化させることです。
だからこそ、失業者の減少につながるわけです。
「新自由主義」の特長は、金融活動に対する制限や境界の除去を強く求めるとともに、金融活動の成果に対する課税を勤労所得など他の経済活動の成果よりも低くするよう求めることにあります。
(「新自由主義」は、産業の資本自由化や自由貿易を金融利得の増大のために主張しています。米国を見ればわかるように、自国の産業を活性化することは主目的ではありません)
このような認識から、「ケインズ主義」は産業主義で「新自由主義」は金融主義だと説明しています。
★ 参考投稿
『【世界経済のゆくえ】産業資本的利益育成から金融資本的利益収穫へ』
( http://www.asyura.com/sora/dispute1/msg/789.html )
『【世界経済のゆくえ】80年代以降の金融資本的収穫を支える価値観と経済政策』
( http://www.asyura.com/sora/dispute1/msg/791.html )
『【世界経済のゆくえ】日本経済が突きつけたマネタリズムへの“最後通牒”』
( http://www.asyura.com/sora/dispute1/msg/792.html )
【ODA ウォッチャーズさん】
「この点も、「あっしら」さんの理解は、不十分である。(古い)フェビアン協会からの「社会民主主義」と「現在の『社会民主主義』は、名前こそ、似ているが、全く、内容は異なる。現在の、新しい「社会民主主義」は、「新自由主義」と敵対するために生まれた概念である。さらに、「「社会民主主義」も、自由主義経済をベースにしていることでは「新自由主義」と根底において異なるわけではない。」と言い切るのであれば、現在の自由民主主義を標榜する近代国家は、全て、「自由主義経済をベースにしている」のであり、中国も、ベトナムも、イラクの、イランも、同じである。「あっしら」さんの、この点の認識は、無意味である。」
[あっしら]
「社会民主主義」は、国家的統合の在り様に関する政治思想であり、経済理論に関わるものではありません。
「社会民主主義」は、経済社会として自由主義的市場経済制度を選択しています。
「社会民主主義」は、経済社会の成果に対する公的負担の在り方やそれを原資とした政策の在り方が主たる基準になっています。
社会民主主義者の多くが(修正)ケインズ主義に魅かれているとは言え、「社会民主主義」は、“純”経済理論として「ケインズ主義」でも「新自由主義」でも受容できるものです。
わかりやすく言えば、経済活動は「新自由主義」のように行うことを認め、その成果に対する公的負担は「新自由主義」に反する基準という政策も可能です。
(「新自由主義」も、赤字財政を“容認”していますし、市民の公的負担や国家を通じた相互扶助を拒否するわけではありません)
「「社会民主主義」は、「新自由主義」と敵対するために生まれた概念」というのは、政治的場面においては認められても、ベースである経済社会の基本が同じであることを軽視した説明でしかありません。
(前回書いたように、米国と欧州先進国の置かれている経済条件から生まれたものだと考えています)
中国・ベトナム・イラク・イランなどは、国民経済に占める国有企業の割合が高い(高かった:イラク)ところですから、「自由主義経済をベースにしている」とは言えません。
国家管理主義に自由主義的要素を取り入れた国々と言ったほうがいいでしょう。
【ODA ウォッチャーズさん】
「この点も、認識が異なる。中国は、自らを発展途上国と位置づけて、成長主義を掲げているために、ケインズ的な手法を導入しているが、WTO加盟後の諸政策は、むしろ、「新自由主義」的嗜好性が顕著である。」
[あっしら]
中国政府が、国家の管理や規制を極力なくす「新自由主義」を志向しているとはとうてい思えません。
政治権力の共産党専有はともかく、国有企業の再構築にも尽力していますし、金融関連の諸政策も実体経済の利益を考慮しながら半身の姿勢で行っています。
所得配分格差問題も、国家統合を維持する上からも持っている理念からも深刻に受け止め是正に動いています。
「近代的発展のために自由主義的経済社会の構築が必要と判断」というレベルであって、「新自由主義」に嗜好性を抱いているという見方は、「新自由主義」なる思想を得体の知れないものにしてしまいますよ。
中国政府が財政赤字を続けながら公共投資を行って需要を創出することで国民経済の成長を促進していることをケインズ主義政策だと言っています。
中国政府は、ケインズ主義を捨てたわけではありません。
あなたはケインズ理論に誤解があるように見受けられます。ケインズ理論が、自由主義&市場主義に立脚したものではなく、社会主義や「非市場主義」を標榜するものだと言われるのならそれをお示しください。
(ケインズ理論が国策で経済活動を活性化し失業をなくし国民所得を向上させることができることを示したものであることから、国家の政策で国民生活を維持向上させるべきと考えている「社会民主主義」者に好まれことは承知しております。だからと言って、利益を手にするのは一般勤労者ではなく経済主体の所有者です。「新自由主義」者も、高い失業者を是としているわけでも、生活困窮者を見殺しにしろと主張しているわけでもありません)
【ODA ウォッチャーズさん】
「中華思想の中国に、西欧的な「政治・経済」のリンクを当てはめても、実際には、無意味だろう。「黒い猫も、ネズミを取る猫は良い猫」であり、国益を害する思想は、当然、排除される。これと、今の議論は、無関係だ。」
[あっしら]
「新自由主義」を理念としてではなく経済成長の手段として利用しているのが中国政府及び中国経済学界だという考えを示すことは、スレッドの内容から言ってもおおいに関係があると思っています。
「新自由主義」も「新左派」も、どちらが中国の“国益”を害する思想か定まっていないからこそ、少数派である「新左派」(あなたの言う「新しい社会民主主義」)も排除されることなく生き残っているのではないでしょうか。