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投稿者 町医者 日時 2005 年 10 月 17 日 11:11:15: Jlt0pjLrwYKl6
 

(回答先: 死を遠ざけたのではなく、生が色褪せてしまった結果ではないでしょうか? 投稿者 デラシネ 日時 2005 年 10 月 16 日 12:58:27)

あまりにもすばらしい投稿なので、小生がレスを書くのも恥ずかしく、ためらわれますが、感じるところあり、投稿させていただきました。

先日、「ガンジー」という映画を見ました。英国の圧政の中、非暴力・非抵抗・非協力というスローガンのもと、多くのインド人の支持を受けますが、デモ中に一部のインド人が英国人のいやがらせにガマンできず、暴発。それが各地に飛び火して、遂には全国的な武力衝突に発展します。
そこで、ガンジーは、民衆が暴力をやめるまで絶食するわけですが、なかなか、暴動はおさまらず、老齢でもあり、健康状態はみるみる悪化していった様です。

さて、周囲のものは、騙してでも何か食べさせようとしますが、受け付けません。
英国・インドの代表格の人が見舞いに来て、暴動は止まった事を告げ、初めて食事を再開しました。

自分がもしガンジーの主治医だったらどうしただろうか?映画には医者は出てなかったと思います。
水は飲んでたらしいので、内緒で眠くなるくすりを混ぜて、寝ている間に濃い目のブドウ糖の注射でも、、、?しかし、全世界が許しても、ガンジー本人は許さなかったでしょう。決してインドの為ではなく、本人のために、見守るしか術はなかっただろうと思います。

ここまで確固たる生死感の信念の持ち主に対しては、その信念を尊重し、貫き通させるしかないでしょう。現代日本人がそういう人ばかりなら、医療も変わらざるを得ないでしょう。

逆に、信念を持って生き延びたい方。例えば、会社の社長さんで、事業の引継が終わるまで、何をしてもいいから、死なさないで欲しいという患者さんを診た事があります。もちろんできるだけのお手伝いをします。

>以前、あちこちの内戦に傭兵として出かけていく日本人の青年を取材した番組を見たこ>とがありますが、彼は「日本にいても生きていると感じられず、戦場にいてこそ自分は>生きているのだと実感出来るのだ」と仰っていました。

確か昔の武士道を説いた、「葉隠れ」という書物がありますが、「生きる事は死ぬ事と見つけたり」という記述があるそうです。この文章を読んでいて想起させられました。

>たまさかの輝きたる生を生き、<穏やかに、悔いなく> 生に終止符を打てるのかは、>生あるうちの我々の生き方次第なのかもしれません。

死を間近にすると、大脳新皮質の機能が落ちて、旧脳に対する抑制がはずされてか、この人がまさかこんな事を話すなんて、という事が多くなります。普段は内在していた、怒り・悲しみ・喜び・後悔・孤独・・・etcが表面化してくる。
また、臨終を見舞いにくる人たちを観ると、その患者さんの人生を垣間見る事がある。進んで大勢が看取りにいらっしゃるか?お義理だけで大勢来てるのか?いい人が多いか?
飲酒、暴力夫を看取ったときなんか家族が翌朝遅くなってやっと来院したりという事もありました。

本当にそう思います。

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