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ニッポンバラタナゴの減少
http://www.asyura2.com/0510/bd42/msg/612.html
投稿者 hou 日時 2006 年 1 月 07 日 14:34:56: HWYlsG4gs5FRk
 

(回答先: グローバリズムの進展で崩壊の一途を辿る「日本の原風景」 投稿者 鷹眼乃見物 日時 2006 年 1 月 07 日 11:36:32)


http://www.kawachi.zaq.ne.jp/dpbva000/tayou/tayou02.html

第2章 生物多様性保全の現状

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生物多様性が減少する原因を3つの危機として記載されています。

《3つの危機》
 1 人間の活動や開発が、種の減少・絶滅、生態系の破壊・分断を引き起こしている。

 森林伐採、やき畑農業による熱帯雨林の減少は生物の多様性を大きく減少させています。化石燃料の大量消費によって生じる酸性雨や温暖化は、森林の減少と生態系のアンバランスをもたらすことは言うまでもないことです。また、農業水産技術の開発は、長い間持続されていた再生産システムを崩壊させ、大量生産・大量消費・大量廃棄の構造に転化して行ったこと。また、夢の薬といわれていた農薬が今では有害物質であることが明らかになり、環境ホルモンとして人体に作用するものが多量に発見されていることなど、大きな問題として取り上げられています。当然、産業革命以後の工業生産構造は典型的な大量生産・大量消費・大量廃棄の構造であり、有害物質の垂れ流しとゴミの山を生産し、公害問題が生じることを分かっていながら、市場原理に依存してきた現状があるわけです。
 タナゴ類の減少については、治水のみを考えた河川工事が最も大きい影響を与えてきたように思われます。当然、田園風景が維持されてきた里地の宅地開発もタナゴ類の減少に大きく加担してきたことでしょう。しかし、ニッポンバラタナゴの減少は第2の要因が最も大きな原因であると考えられます。


 2 自然に対する人間の働きかけが減っていくことによって絶滅危惧種が増加している。

例:里地里山のメダカやタナゴ

 現在日本においては絶滅が危惧されている生物種のほぼ半数が、里地里山に生息している生物であることは考えるに値します。簡単に言いますと、里地里山で自然と共存してきた人々の生活が崩壊することで、今、多くの生物が絶滅しかかっているということです。
 人類が狩猟採取生活から定住型の農耕生活に移行していったことは、人類の英知であり、自然と共生してきたヒトという種の必然性であったと思います。そして、この農業革命は人類の社会構造や生活システムに大きな変革をもたらしました。この農業革命は長い歴史をもち、自然と共存することで持続可能な社会システムを生活の知恵として、さらには人類の文化的遺産として保存してきました。しかし、産業革命以後、自然と共存する持続可能な社会システムが化石燃料を用いた大量生産大量消費大量廃棄を伴う市場原理を重視したシステムに大きく変貌してきたのです。産業革命自体は人間がもたらした素晴らしい英知であることには違いないのですが、ここには自然科学の利点である予測可能な決定論が、逆に弱点として現れてきたのだと考えられます。
 日本の里地里山においても戦前までは、自然と共存することで持続可能な社会システムが維持されてきたのですが、戦後の高度成長期に市場原理がはたらき、大量生産大量消費のシステムに移行していき、現在ではローカルな地場産業は衰退する一途を辿るしかないようです。里地里山における戦後のこのような変遷が、ここで言われている『自然に対する人間の働きかけが減っていくことによって絶滅危惧種が増加している。』ということになるのです。したがって、高安の里地里山においても地場産業を復興させる方法があるのか、あるいは、里地里山の環境を保全する新しいタイプの持続可能な方法があるのかを、模索しなければならない時期になってきました。



 3 移入種や化学物質による影響

 高安のため池群においても移入種の問題は複雑に絡んでいます。移入種の問題が意識的に取り上げられたのは、ニッポンバラタナゴと容易に交雑するタイリクバラタナゴです。1970年代の後半ぐらいから地元のキンタイ(ニッポンバラタナゴ)の中から腹びれの前縁に真珠光沢の白線をもったものが紀平肇先生によって発見されたことがきっかけです。
 1950年代に中国の揚子江流域から食用として移入されたソウギョに混じって日本の関東地方にもち込まれたタイリクバラタナゴはイケチョウガイの移植によって琵琶湖へ、さらに高安地域には養殖用として持ち込まれたホンモロコやカワチブナに混じって、1970年代にタイリクバラタナゴが持ち込まれたようです。この交雑は一時的には高安地域で拡大しつつあったのですが、1980年代に入ると、他の地域と同様にブルーギルが多くのため池で釣れるようになり、さらにバス釣りの流行に伴なって高安のため池にもブラックバスがゆうゆうと泳ぐようになってしまったのです。1990年代には、外来魚のブルーギルやブラックバスが釣れるようになったため池ではバラタナゴやヨシノボリそしてモツゴなどの雑魚は姿を次々に姿を消してしまい、水質が汚濁し発泡スチロールやペットボトルなどのゴミの溜まり場と化していったのです。
 現在、八尾市高安地域では、交雑したバラタナゴそしてブルーギルやブラックバスまでもが、放置されたため池の富栄養化や水質汚濁によって減少しているように思えます。
 ため池における農薬やその他の化学物質の影響については、直接的な農薬の投入がない限り、表面的にはあまり影響がないように見えます。ときどきため池のフナや雑魚が大量死しているときがありますが、そのときは農薬が入っていた容器などを直接ため池で洗ってしまったり、不用意に流してしまったことが原因でしょう。このようなことは一時的な問題であまり根本的なことではないのですが、農薬の長期使用によるため池の生態系に及ぼす影響は、間接的ではありますが環境ホルモンなどのより重大な問題を含んでいて、まだ明確に現れていません。もしかしたら、その影響も出ているのかも知れませんが、明らかにすることは大変難しいことだと思います。

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