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<1997年12月27日> 朝刊 1版 総合3面(土曜日)
共同 写有 カラー
[表層深層]/新進、わずか3年で解党へ/年明けにも「小沢新党」/さらなる崩壊はらみ越年
新進党の小沢一郎党首が二十七日の両院議員総会で公明との分党を表明することで、自民党との政権争奪を夢見て結集した新進党はわずか三年の歴史にピリオドを打つ。小沢氏は年明けの五日にも「小沢新党」を旗揚げするが、求心力回復を狙い、対立グループに踏み絵を迫る「純化路線」に対しては、党内の反発が強まるのは必至。政策で結束する小沢新党はさらなる崩壊の危機をはらみ、越年することになる。
排除批判をかわす
二十六日午後、新進党本部で五役会が開かれていたころ、国会近くのホテルに小沢氏側近の藤井裕久、平野貞夫両氏らが若手議員とひそかに集まった。この席で(1)年末までに新党名、綱領、機構を決める(2)手続き上の解党は十二月三十一日付とし、新党結成は一月一日付とする(3)一月五日にも結党大会を開いて旗揚げする-ことを内定。側近が五役会直後に小沢氏に報告し、この線に沿って準備を進めることが決まった。
この秘密会合の焦点は、新党結成までに、党首選で鹿野道彦氏支持に回った反小沢派議員にどう対応するかだった。「党の基本政策である日本再構築宣言の旗の下で結集すればよい」。「排除の論理」という批判をかわすための対策も練られた。
小沢氏側近グループの中には「反小沢勢力には結党大会への参加を呼び掛ける必要はない」と言い切る強硬論まで出た。
ある鹿野派議員のもとには小沢氏周辺から「日本の国を考えていくときに、後ろから鉄砲を撃つようなまねはやめるべきだ。まとまって出ていってほしい」と露骨な「離党勧告」までが突き付けられた。新党結成を機に反対グループを締め出し、「純化」を狙おうというわけだ。
小沢新党の狙いは「政策が政治を動かす日は近い」(小沢氏)という認識から、政策で一致団結した先鋭的な集団を目指す。橋本政権が金融・景気対策でよろめいていると見て、自民党反執行部派との「保保連合」を強め、安保などの基本政策で自社さ与党を分断しようとしている。
まるで漫画だ
だが、こうした路線と手法に鹿野支持グループなどから反発が噴き出すのは必至。小沢氏の思惑通りに、小沢支持議員を中核とした新党になっても、その後の展望は見えてこない。
頼みの綱は相変わらず、自民党反執行部派だけといっていい。その中にさえ「衆院で自民党が過半数に達している以上、小沢新党は必要ない。自社さ派の加藤紘一幹事長らの執行部への小さなけん制材料にすぎない」(中堅)と冷めた見方もある。
「驚いた。まるで漫画だ。選挙で選ばれたばかりの党首がこんなに早く党をつぶすなんて世界の政党史上例がない」-。新進党のベテラン議員はこう吐き捨てる。
鹿野支持派の若手議員は予想以上に強引な小沢氏の中央突破作戦に「常軌を逸している。明日の総会は大荒れとなる」と波乱を予告する。
鹿野氏周辺の中には「何も公明新党か小沢新党かの二者択一でなく、三つ目の新党をつくったっていい」と野党結集を狙った新党をつくり、新党「フロム ファイブ」を旗揚げした細川護煕元首相や羽田孜太陽党党首らとの連携を探る意見もある。
烏合の衆
だが、鹿野氏らのグループは司令塔も中核集団もなく、いわば「烏合(うごう)の衆」。大勢は「再構築宣言には賛成していくが、強引な党運営には声を上げる」との対応策を見せるだけで、今のところ小沢氏の挑発に応じて党を割って出る動きは出てない。
一方、自民党幹部は小沢新党に「何が純化だ。政権奪取戦略になんかならない。こんなになった小沢氏と組もうとしているのは党内にはいない」とあきれ顔。一年前に新進党を離党した羽田氏は「政治はいろいろなグループの集合体なのに小さく固まりすぎる。もう少しやり方というものがあるはずだ」と批判した。
(写真説明)分党問題で会談する新進党の小沢一郎党首(右)と公明の藤井富雄代表(左端)=26日、東京・赤坂の新進党本部
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