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2002年4月刊行のアレックス カー 著【Amazon.co.jp】のレビュー より。
日本で育ち、日本をこよなく愛するアメリカ人である著者が、怒りと悲しみを込めて現代日本の病理を暴く。破壊される自然環境、ちぐはぐな都市建築、日本の魂を崩壊させる官僚政治。慢性的に進行する日本の「文化の病」を、丹念に掘り起こしてわれわれ日本人に突きつける、衝撃の1冊。
コンクリートで固められダムになる美しい山河や、全長の55%もがブロックやテトラポッドで覆われている海岸。不法投棄の産業廃棄物の山と、そこから流れ出すダイオキシン。電線が空中を走り、けばけばしい広告看板をつけたビルがごちゃごちゃと建ち並ぶ街なみ。そして、全国に増え続ける多目的ホール、テーマパーク、人工島、高速道路などの無意味なモニュメント。こんな光景を美しいと思っている日本人はひとりもいないだろう。なぜこんなものを作ったのか、なぜこんな国になってしまったのかと著者に問われるのは、まったくお恥ずかしい限りである。
著者がその原因として指摘するのは、責任が不明瞭なまま機能してしまう行政システムと、その根本にある日本独特の官僚制度である。外国人の視点で見ると、日本の官僚制度の奇異さがよくわかる。天下りで個人的な利益を得る、特殊法人の運営で省庁が潤う、族議員とパイプを作り政界とも通じる。この馴れあいシステムによって、多額の公金が本当に必要なところには施されず、官僚にメリットを与えるところに注がれる。
自分たちに従順におとなしく従う国民を、都合よく作りだす教育システムまで官僚は作ったのだと著者は言う。子どもたちは足並みそろえて行動することを強要される。がんばることは美徳と教えられるが、これはひどい環境でも耐え忍べということだ。教育制度不信から子どもの塾通いが増え、子どもはいつも忙しくてがんじがらめになる。そしてその後の大学生活で、成績など問われず無為に遊んで過ごせば、分析的な思考法や独創的な発想能力、自然環境に対する愛情などを持たない骨抜きの腑抜けができあがるのは当然だ。
韓非子の故事から取ったというタイトルは、抜本的な解決が難しい日本の諸問題を「上手に本物らしく描くのが難しい犬」にたとえ、日本で行われている数々の無意味な施策を「どうとでも描ける想像物である鬼」にたとえて付けられている。
外国人が日本に対して何かを要求するのはおかしいという信念から、本書には「日本はこうすべきである」という表現はいっさいない。が、1900年代前半の、大日本帝国の拡大とその後の悲劇的結末へのプロセスと同じ道筋を、今また日本はたどっているという著者の警告を、われわれは真摯に受けとめるべきだろう。(篠田なぎさ)
出版社/著者からの内容紹介
数々の文化遺産、美しい国土、すぐれた教育制度、世界一の個人貯蓄。
それがありながら、なぜ日本は道を踏み外すのか?
『美しき日本の残像』(新潮学芸賞)の著者による衝撃的日本論!肌で感じる痛切さがあり、率直で熱烈、有益で強烈だ。
――(ファイナンシャル・タイムズ)『ジャパン・アズ・ナンバーワン』(1979年、エズラ・ヴォーゲル)、
『日本/権力構造の謎』(1989年、カレル・ヴァン・ウォルフレン)、
そして本書。
過去10年で最も重要な日本論。
――(バロンズ)『犬と鬼』は、日本に対する愛のムチとでもいうべき本だ。日本人はこの本を不愉快な批判として片づけるのではなく、耳を傾け新しい道を切り開く指針とすべきだろう。
――(ニューズウィーク)この重要で意外とロマンチックな本には、明快で鋭い観察があふれている。
――(ニューヨーク・タイムズ)『犬と鬼』は戦後日本の成長と失墜に少しでも興味がある人にとって必要不可欠だ。
――(ウォールストリート・ジャーナル)
日本の政治指導者は国家と国民に恐ろしい犠牲を払わせた。その大きな代償をきちんとした筆致で率直に明らかにしている。
――(ドナルド・リッチー)日本人、そして我々のためにも、この本が「常識に還る」動きに貢献することを望んでいる。
――(カレル・ヴァン・ウォルフレン)
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