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ある本によると、その行動様式から日本人は次のようにいえるという。
①、日本人の行動は情況主義的で、一貫性に欠ける。
②、以心伝心（いしんでんしん）の小規模社会に安住する者が多いために、普遍性とか論理性の追及に熱心でない。
③、最終的には、ホンネの世界に生きることを好むので歴史や神の審判に耐えうるような生きざまの美学が、十分にはぐくまれていない。
ということだそうだ。なぜこんなことを思い出したかといえば、紅白歌合戦の司会に「みのもんた」が決まった、ということを聞いたからだ。
「みのもんた」が９．１１の選挙で果たした、露骨な小泉広報支援ぶりは誰でもが知っているだろう。彼の言う通りだと想って者も大勢いただろうが、逆に彼の広報支援ぶりに反感や嫌悪感を抱いた者も、好意的な者以上にいたのではないだろうか。もちろん、そのような好嫌観点を持たない者も大勢いただろうが。
それなのに、ＮＨＫが誇る全国民的人気番組の司会に、彼を起用したというニュースに、正直なところ驚いた。ＮＨＫは何時でも、時の政権寄りの姿勢であるが、あの選挙の功労者の一人の起用は、人気というよりも現政権存続の論功行賞のお手伝いではないかと疑心が湧く。
あの選挙での新聞テレビの小泉広報支援ぶりは、戦後マスコミにはなかったものだ。テレビなどは完全に放送法を犯していた想うが、そのテレビで放送法の政治的中立性を全く無視して、テレビ界の小泉選挙の運動員を熱心に努めたのが「みのもんた」だ。
そんな彼を国民のＮＨＫがよく起用したものだ。視聴者の反発を考えなかったのか。と想うのだが、マスコミは事を荒立たせるのも鎮めるのも、自分達だと自惚れがあるから、反発など怖くないのかも知れない。
だが、選挙では親小泉、反小泉、棄権が、それぞれ三分の一づつあった。ということは、「みのもんた」に対する嫌悪感も三分の一あっても良さそうだ。現実に三分の一も彼に嫌悪感を持つ者がいたなら、いくらＮＨＫでも「みのものた」を起用できなかっただろう。
それを起用出来たということは、それほど彼に反発を示す者がいないということだ。ここで、最初に戻りたいのだが、「日本人の行動は情況主義的で、一貫性に欠ける」ということを、「みのもんた」の起用は物語っているのではないだろうか。
日本人は「物忘れが烈しい」などと言ったりもする。それは「日本人の行動は情況主義的で、一貫性に欠ける」ことを取り繕うための言葉ではないだろうか。ついこの間の事まで忘れる訳はない。しかし、このような情況主義は時流に乗れば「経済大国」を生み出す力になるが、時流から外れると焼け野ヶ原にぽつねんと立つ事にもなる。
ただ、ここで想うのだが、明治人は己の人生の一貫性を誇れるような人々が、かなりいたような気がする（そんな人達に何人も出会った記憶がある）。しかし、人生における一貫性は大正時代から（特に戦争に男子の全員が狩り出されたような大正後半生まれから）崩れ始めて、昭和ではぐすぐす、というのが私の感触だ。
この辺で情況主義から我々も脱して、物事に対する一貫性を持つべきではないだろうか。もはや、この国が経済大国になれた時流ではないのだから。そして物事の一貫性をもつなら、「みのもんた」の紅白起用はには、９．１１の選挙で示した態度をＮＨＫに見せつけるべきだろう。ＮＨＫに三分の一の視聴者が「みのもんた」への嫌悪感を持つと伝える事は、もう一度９．１１の反小泉意識をＮＨＫに自覚させることになる。
ＮＨＫに対するものに限らず、いかなる処でもマスコミが煽りに煽る「小泉人気」は非現実的であることに、気づいている者が、気づかない者と同数いるのだ、ということを示さなければならない。そうしなければ、いかなる政権とも癒着して狂いに狂うマスコミは永久にループする。
なんにしても「忘れっぽい日本人」を演じるのは止めようではないか！
※ 参考文献：「日本文化の原像 －島のこころと大陸的論理－」、飯島茂著、淡交社
（参照箇所、ｐ６）
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