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□“くたばれバリアフリー”の家は実にスリリング [ゲンダイ]
http://news.livedoor.com/webapp/journal/cid__1487490/detail
“くたばれバリアフリー”の家は実にスリリング
東京・三鷹市の国立天文台通りと東八道路がぶつかる交差点のそばに大仰天の分譲マンションが完成した。その名は「天命反転住宅」。ニューヨーク在住の日本人美術家・荒川修作氏(69歳)のデザインは、“くたばれバリアフリー”がコンセプトだった。
●全9戸。内外装とも14色に塗り分ける
JR中央線武蔵境駅からバスで約10分の「天命反転住宅」は、1棟に3戸が入る3階建てが3棟並ぶ。合計9戸。広さは約53〜61平方メートルで、間取りは2LDKと3LDK。外装も内装も赤、青、紫、黄などカラフルな14色に塗り分けられている。ガイド役で荒川修作氏の東京事務所「ABRF」広報担当の松田剛佳氏は「見た目は派手な色ですが、目が慣れてくると気にならなくなります。数色なら目障りですが、14色にもなると目障りでなくなるから不思議。荒川はそれを読んで配色しています」と言う。確かに、時間が経つに従い色への“抵抗感”は薄れていった。
●リビング中央に掘り下げられたキッチンが
正面から見て左棟2階の3LDKに入った。リビングの床は傾いたうえに凸凹している。歩きにくく、油断するとコケてしまいそうだ。中央に50センチほど一段低く掘り下げられたキッチンが。料理はここで作る。食事のときは、リビング側からキッチンスペースに足を下ろし、腰かける。つまり、掘りゴタツ式で食事をとるのだ。
このリビングダイニング兼キッチンを4つの部屋が囲む。円筒形のシャワーボックスとその裏側に水洗トイレが設置された部屋、立方体の寝室、円形の畳が敷かれた和室(これら3室の床は平面)、球形の書斎だ。出入り口を障子で仕切ることができる寝室以外はドアなどの仕切りは一切なし。リビングに居れば、家族が何をやっているかがわかる。トイレに行くときはシャワーボックスを回り込むことになるので、大変だ。
また、収納スペースはほとんどない。その代わり各部屋の天井にステンレス製フックが合計約200個埋め込まれており、これを利用し収納スペースを作るそうだ。どんなベッドや家具を置くかも、深く考える必要がある。
●価格は周辺相場の2倍の8000万円台
居合わせた荒川修作氏がこう言う。
「『天命反転住宅』と名付けたのは、“死という運命にあらがう住まい”との思いを込めています。この家に住めば、体内に眠っていた感覚や機能が目を覚まし、長生きが可能です」
実際、荒川氏のアイデアを取り込んで、今年3月に完成した名古屋市住宅供給公社の“非バリアフリー賃貸住宅”に2週間体験入居した70代と60代の姉妹いわく、「心身が鍛えられ、元気になった」と。
“荒川シンパ”の1級建築士の丸山洋志氏も言う。
「不自由さを味わうことで、スリリングな暮らしができます。住人の性格や考え方が変わる家だと思います」
気になる価格は周辺相場の約2倍の8000万円台。それでもABRFへの問い合わせは100件以上だという。
12月に入居者第1号が決まる予定だ。
【2005年11月10日掲載】
2005年11月13日10時00分
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