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□反日デモの組織化に活用されたネット事情 [サーチナ]
http://news.livedoor.com/webapp/journal/cid__1082950/detail
反日デモの組織化に活用されたネット事情
反日活動の情報伝達のツールという切り口で概観−有田直矢
2005年4月9日、北京で大規模な反日デモが行われた。日本の国連安保理常任理事国入りに反対、歴史教科書検定についての抗議などが主な内容だが、今までの日中間の懸案がまとまって噴出した形だ。
今回のデモの組織や反日活動への呼びかけで、用いられたツールとして、インターネットが指摘されている。これまでも、中国のインターネットに関しては、断続的にサーチナが運営する中国情報専門サイト「中国情報局」などを通じて発信してきたが、今回、反日デモ及び関連活動における情報伝達の手段としての中国のインターネット環境という切り口でまとめてみた。
中国のインターネットユーザーは2004年末の時点で約9400万人といわれており、現在までに約1億と考えてよいだろう。全人口(13億人強)に対する普及率は10%に達していない(日本の普及率は計算方法によって単純に比較できないが60%を越える)ものの、総数だけを見れば、アメリカに次ぐ世界第2位の規模を有している。
インターネットの普及度合いを推し量る目安としては、ブロードバンド環境も一つの要素として考えられるが、日本のように大容量なものではなく、512Kあたりの、日本ではすでに省みられなくなってきているスピードが主流に近いという前提の下で、やはり、中国のブロードバンドユーザーは4000万を超えているとされている。つまり、ネットユーザーの半数前後がブロードバンドユーザーになっており、これは比較的高い普及率といえる。
amazon.comが運営する米国のAlexa Internet(アレクサ・インターネット)社が発表している世界のWebサイトのトラフィックランキング、つまり、ウェブサイトの世界的な視聴率と呼べるもので、世界ランキングトップ20位までに、中国のサイトは実に六つもランクインしている(日本時間2005年4月12日現在のランキング、以下括弧内順位もこれに相当する)。
この六つのサイトは、「新浪網(SINA)」(第6位)、「網易(NETEASE)」(第11位)、「捜狐(SOHU)」(第9位)の中国三大ポータルサイトはもちろん、中国版のGoogleともいえる、検索エンジンに特化した「百度(Baidu)」(第7位)や、ダイレクトアクセスサービス「網絡実名」で有名な「3721」(第12位)、インターネット及びモバイルメッセンジャーに注力、「QQ」ブランドでサービス展開する「騰訊(Tencent)」(第13位)。
この世界ランキングトップ20位の中で、日本のサイトはYahoo!JAPAN(第5位)だけ。このことからも、中国におけるインターネットの媒体として持つ力の大きさは明らかだ。
『中国IT白書2004−2005』(サーチナ総合研究所、2004年11月)によれば、中国のインターネット利用者の職種について、2004年6月末時点で実に「学生」は31.9%に達している。今回の反日デモでも、主力は学生など若い世代となっているが、学校教育におけるネットの普及、学校でのネット接続可能な端末の増加、依然として根強いネットカフェ人気(主要客層は当然学生)、生活水準の向上に伴うネット接続可能なPC端末の家庭への普及などがその要因に挙げられている。
ちなみに、『中国IT白書2004−2005』をもとに、中国のインターネット利用者の属性を見てみると、2004年6月末時点で男女比は男性59.3%に対して、女性は40.7%、年齢構成としては、18〜24歳が36.8%、18歳以下が17.3%、25−30歳が16.4%を占め、これらの合計である30歳以下が実に70%にも達している。月収水準としては、500元以下が27.7%、501−1000元が16.3%、1001−1501元が13.2%、1501−2000元が9.6%と、全体としては低所得層が多いようにも思えるが、中国全人口の所得水準平均と比べれば、それでも若干高い水準に集中している(1元=約13円)。
中国のインターネットにおいては、通常のメールもかなり頻繁に使われるが、メッセンジャーも利用頻度が高い。世界ランキングで「騰訊(Tencent)」が上位にランクインしていることからも分かるように、「QQ」といえば、たいていの中国ネチズンは通じ合うことができ、そのナンバーを相互に交換、メッセンジャーをやり取りすることも珍しくなく、時にはBBS(Bulletin Board System(Service)、電子掲示板システム)上で自身のナンバーを公開することもある。さらに、この「QQ」は携帯電話とも連動していることで、その利便性を増している。メール以上に気軽に、すばやくやり取りできるメッセンジャーも、今回のデモやそれらに関する活動の連絡手段として広く用いられたようだ。
BBSといえば、中国ネチズンにとっては、インターネット上における最重要情報源の一つ。ほかのユーザーの生の意見が聞けるということもあって、インターネット上で掲載されているニュース記事そのものよりも、ユーザーにとっては信頼性の高い情報としても認識されているようだ。中国でも、ブログが浸透し始めているが、現在までの状況から見れば、BBSが主流。大手ポータルサイトなどでは、個別の記事、あるいは特集に関して、専門のBBSを設置、興味引く話題に関しては、書き込みがあとを絶たない状況だ。
今回の例をとってみれば、日本の国連安保理常任理事国入りに関する特集が各ポータルサイトなどで展開されており、それらの設置された専門のBBSでは1日で数百件の書き込みが行われることも珍しくないようだ。このほか、中国には多数の反日を専門としたサイトがあり、そこにもBBSが設置され、むしろBBSを中心としたサイト運営という形態をとっている。ここでの書き込みもかなり激しいものがある。
BBSに書き込むという行為は、いわば書き込みたい人、書き込むことが苦にならない人など、その行為そのものが、ある意味でサンプルは無作為とはならない。中国ネチズンでも、BBSは読むが、自分で書き込むことは少ない、という人が多い。そのため、BBSの書き込み内容は、かなり過激なものもあるが、これをそのまま中国全体の総意、あるいは中国インターネットユーザーの総意ということはできない。それでも、そうした書き込みが多くの人によって読まれていること、過激な部分を代表していることなどをもって、今回の反日の関連活動の観察には有効なものとなっている。
インターネットのほか、今回の反日デモ及び関連活動において、携帯電話での情報伝達も考えられるが、現在のところ、携帯電話が有効な連絡手段として利用されたとの関連の詳細情報はない。ちなみに、中国の携帯電話加入件数は3億3000万以上。日本では携帯電話によるメールが主流だが、中国では、SMS(ショート・メッセージ・サービス)が主流だ。04年通年、2000億件以上のSMSが送信されているというデータもある。(編集担当:株式会社サーチナ・有田直矢)
2005年04月13日12時09分