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『台湾の声』http://www.emaga.com/info/3407.html より転載
【正論】親日台湾が抗日へと変貌する日も
台湾人は国民党による半世紀の反日教育にも関わらず親日的である。ウライ
の高砂義勇隊慰霊碑周辺は若者の観光スポットとなっていると、日の丸を背
景に写真を撮る若者の姿を『中国時報』も報じている(18日ウェブ掲載記
事)。
問題は、国民党の政権復帰が起これば、彼らは政権党という地位を濫用し、
自信の保身のために死に物狂いで、台湾と日本の関係を破壊し、台湾人意識
を弾圧し、台湾を中国に売り渡しさえする可能性があるという点である。
国際法的にも、国内法的にも台湾は「中華民国」の領土ではない。外省人が
「中華民国」籍を持っている法的根拠と、台湾人が「中華民国」籍を与えら
れている法的根拠も異なっている。台湾国の国籍が付与されるまでは外省人
は北京政府に従わず台湾に避難している“中国人”に過ぎない。
日米の当局者およびマスコミを始めとする民間は、台湾人が民主主義を発揮
することについて、余計な口出しをすることで、中国国民党という台湾への
侵略者を利してきた。自分たちの行動が国益と合致しているのかどうか、理
念と合致しているのか、あらゆる可能性を検討して政策を是正し、行動すべ
きである。本来であれば台湾を一方的に侵略していた国民党を強く糾弾すべ
きであった。今は台湾人の政党が少数与党ながら執政している。仮に、支持
を表明するほどの度胸はなくとも、台湾人に対する干渉は行うべきではな
い。日米が状況認識を誤れば、中村勝範名誉学長の懸念が現実のものとなっ
てしまう可能性がある。−台湾の声編集部
【正論】平成国際大学名誉学長・中村勝範 親日台湾が抗日へと変貌する日も
馬・国民党の躍進が描き出す懸念
≪要人が語る日本への期待≫
台湾は世界でもっとも親日的であるといわれている。しかし情勢は変化し
つつある。昨年十一月下旬に三十数人で台湾研修旅行をしたが、そこに妖雲
を見た。妖雲につき述べる前に、親日的な台湾につき記しておく。
われわれは烏山頭ダム、鎮安堂飛虎将軍廟他をめぐり、親日的人士とも交
歓した。台湾最大の荒野に烏山頭ダムと万里の長城の六倍の農業用水路の建
設を指導した日本人技師、八田與一は、この平野の人々から変わらず慈父と
して敬慕され、慰霊されている。
集落を戦火から救うために一身を犠牲にした杉浦茂峰海軍飛行少尉を祀
(まつ)る鎮安堂飛虎将軍廟は年々、人々の尊崇を集めて盛んである。慰霊
され祀られるわれわれの先人は有徳の仁であったが、慰霊し祀り続ける台湾
人もまた豊徳の民族である。徳は孤ならずの古人の言が沸々と蘇った。
李登輝前総統は懇談の冒頭から「日本人はもっと強くならなければなりま
せん」と力説された。アジアにおいて日本人ほど高い道徳律を身につけてい
る民族は他にない、その日本人が近隣諸国から「いじめ」を受けてきたが、
ここに至り、ようやく元気を出してきた、日本が強くなればアジアは安定す
ると続ける前総統の激励に、燃えない者はいなかった。晩餐(ばんさん)会
では財界の長老・蔡焜燦氏、羅福全・亜東関係協会会長他の有識者からも李
前総統と大同小異の日本への期待の弁を浴びた。
≪巨大な「抗日英雄」の肖像≫
ここまでは快適であった。研修が終わりに近いころ、われわれを乗せた専
用バスは左手に総統府、右手に国民党本部ビルが見えるところを通った。台
湾の名所である。そこを通れば、二つの建物は歩いても車からでも誰の目に
も入る。国民党本部ビルの正面に掲げられた巨大パネルが目に飛び込んでき
た。「台湾抗日英雄」の肖像であった。
台湾から帰国後の昨年十二月八日、毎日新聞夕刊に同紙論説委員の筆によ
る「台北が抗日都市になる日」なる一文が掲載された。論説委員は、日本統
治時代に反日運動を組織して処罰された者と、日本人運動会を襲撃し、百数
十人を殺害したために日本軍に追われて自殺した者の二人を英雄としてその
肖像を掲げているのだと説明していた。
われわれ一行の中の台湾事情通の説によると、肖像は同年九月から掲げら
れているという。英雄像はなお七人以上が計画されており、連戦・前国民党
主席の祖父もその一人であるらしい。
この肖像の掲揚は、馬英九氏が国民党主席に就任後、出現したものであ
る。馬氏はかつて台北市長として市議会に抗日記念館建設案を出したことが
ある。小泉首相の靖国神社参拝反対、日本にだまされた台湾の従軍慰安婦千
人以上、尖閣諸島は台湾の領土、日本軍国主義は許しても対中侵略の歴史的
事実を認識すべきだ等々の主張の持ち主である。中国共産党の主張に通ずる
ところ大である。
馬氏の「尖閣諸島は台湾の領土」とする主張に関連して思いだすことがあ
る。氏のかかる主張を初めて聞いたのは十年ほど前である。台湾の某大学で
尖閣諸島の帰属問題をめぐるシンポジウムが催され、私も討議者の一人とし
て参加した。四、五カ国からの討議者七、八人の発言が済み、フロアからの
質問に答える段になった。
≪強固なる長年の反日意識≫
壇上近くに座っていた一人が立ち、自分は尖閣諸島につき研究してきた者
であるが、同諸島はまぎれもなく台湾の領土であると論じた。広い階段教室
の最上階を占めていた一群が、この質問というよりは弁論にしばしば拍手
し、歓声を発した。質問者が馬氏であり、歓声を上げていた集団は、尖閣諸
島上陸を目指すグループだったということは後で知ったことである。
馬氏の反日意識は久しい歳月の中で固められたものである。馬氏が率いる
国民党は、われわれが台湾から帰国後の昨年十二月三日に行われた統一地方
選挙で圧勝し、陳水扁政権の与党は大敗した。
国民党はこのところ選挙ごとに上昇気流に乗っているようにみえる。この
ままだと二年後の台湾総統選挙で馬氏が勝利する可能性は高い。そうなった
ならば、国民党本部に掲げられている台湾英雄の肖像は総統府正面に移り、
台北市内には中国本土にも負けないほどの抗日記念館が建設されることもあ
りえよう。
「抗日」が「反日」に転化し、台湾全土を襲わないともかぎらない。その
とき、八田與一像、鎮安堂飛虎将軍廟は無事であろうか。かつて蒋介石統治
の反日時代には八田像が消えたことを思いだす。
(なかむら かつのり)
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