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文化度が高い日本
私は「文化度」という言葉をよく使い、「私たちの日本は世界で最も文化度が高い国だ」と言ってきた。一言で言えば「日本は大人の国」ということである。それはまた、人心が安定していて、滅多なことでは国家が騒乱状態にならない国のことでもある。日本が建国以来の長い歴史の中で、かくも「大人の国」でいられた一番大きな理由は「天皇の日本」であったからだと思う。他国では国王や領主は大きな城や広大な領地を所有し、権力で人民を支配してきた。日本の天皇の住まいは、伊勢神宮を見れば分かるとおり、台風がくれば飛ばされてしまいそうな質素な木造家屋であった。民(国民)は天皇の住まいが災害に遭う度に修復を重ねたし、また被害がなくても老朽化するので20年ごとに建て直した。西洋の巨大な城は王や領主の巨大な権力によって建てられたが、天皇の住まいは今で言う国民のボランティア活動の範囲内で建てられたのである。西洋の城主は権力闘争の結果次々と代わり続け、今日まで同じ地方にかつてと同じ王家が続いている例は皆無である。
日本の天皇は言うまでもなく脈々と続き今日に至っている。この日本の天皇と西洋の王家との連続と不連続性の違いの訳はなにか。それは西洋の王家が権力の代表であったのに対して、日本の天皇は民(国民)と一体だったからだ。天皇の住まいの修復は民(国民)自らの住まいの修復であり、天皇の住まいが簡素なのは天皇の民に向けての「思いやり」(負担の軽減)であった。また、日本の歴代の権力が天皇に一切刃を向けることがなかったのは、天皇は時の権力をも包含した民(国民)そのものだったからだ。いかなる権力も、また何者も自らに刃を向けることはない。
このように、日本は西洋と同様の時の権力に基づく物質的構造と、天皇に象徴される精神的構造の二重構造から成り立っている。現在西洋に存在する王家は飽くことなく続けられてきた権力闘争の最後の勝者だから、現在の王家が、現存する民族と地域を代表する例は皆無に等しい。だから西洋では、日本のような天皇を象徴とする、いわば自然な民族、国家の精神構造が形成され難くなっている。そのため人心統一のため、ひいては国体維持のため宗教戦争をしたり、歴史の捏造までしなくてはならない。つまり不自然な情報操作を続けなくてはならないのである。日本人の人心が安定しているのは、日本が単一民族であるばかりでなく、日本が世界に例のない「天皇の日本」という自然な精神構造の中にあるからである。こうした自然であるが特異な日本を、私は「文化度の高い国」と呼んでいる。
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反日運動に学ぶ
「謝罪外交」という言葉がある。日本が過去の戦争加害国として近隣被害国に謝罪する外交指針のことである。いま中国や韓国で小泉首相の顔が印刷された旗に赤インクで「鬼」と書いて燃やすなど、反日運動が盛んである。そして、その都度日本は謝罪を繰り返している。実は日本もかつては中国人や朝鮮人を差別したり、アメリカやイギリス人を鬼畜米英と呼んだ時代があった。いま中韓が日本に対して行っているのと同じことを日本もしていたのである。
ところが、今の日本人は中韓の反日運動に対して両国の元首の写真を燃やす発想すらなくなっている。過激な反日運動を容認したり、反日感情を煽るために歴史捏造までする両国は、かつてのわが国の軍部と同じである。現在の日本人に同じことを繰り返す発想すらないことは、もはや日本には歴史捏造や、他国に対する敵愾心を煽るなどして人心を統一する必要がなくなっている証拠である。まさに日本は今、一時失ったしまった「大人の国」を取り戻しているのである。
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近隣諸国には大人らしく
日本は中韓の反日運動に対して、その暴力行為や歴史捏造を盾に批判すべきではない。それは丁度、親が自分が子供のころ犯したのと同じ無謀な行為している子供と喧嘩をするのと同じだ。それはまた70年間の逆戻りであり、愚かなことだ。日本がかつてなぜ数々の間違いを犯してしまったかを説明して、中韓が同じ間違いをしないように、そして一日も早く大人の国になれるよう手を差し伸べるのが「大人の国日本」のすべきことである。単なる謝罪ではなく、間違いを諭す説得力としての謝罪でなくてはならない。
捏造された情報を基にアフガンやイラクに先制攻撃を仕掛けるアメリカもまた「子供の国」である。日本は天皇に恵まれた国だから、不幸にして文化度の低い世界の民族や国々を、ガキ大将や卑屈な子供として捉え、ある時は荒れ狂うのが収まるまで待ち、またある時は積極的に諭し、またある時は肩を抱いて元気つけてやる。人類が争いに疲れ果てるまで、そして争いの果てに残った国が「大人の国」になるまで日本は見守り、指導し、援助し続けなくてはならない。
日本人が知らず知らずのうちに世界の預金総額の6割(約800兆円)を持つに至ったのも決して偶然ではない。今こそ金持ち大国(経済大国)、大人の国(精神大国)日本の使命を果たす時でもある。年の初めに当たってもう一度日本人として、また日本国として自らのあり方を考えようではないか。
特に本稿ご高覧の国会議員の皆様には、日本が「誇り高き国」になるためご努力願いたい。日本人の使命を知り、使命のために邁進するとき、そこはかとなく心が覚るのが「誇り」です。「大人の国の代表」として、本年も胸を張って内外の事を処してください。