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▼ 別冊宝島「中国韓国の歴史教科書」に書かれた日本
http://d.hatena.ne.jp/claw/20051228 から転載。
・・・そのへんによくある、「中国や韓国の教科書が、こんなに反日を煽ってやがるんですよ!ウキーッ!!!!(`д´)9)))」という本かと思ったら、これがそうでもない。非常に淡々と歴史教科書の記述を紹介するスタンスで、いくつか面白い論点も指摘されている。
たとえば、中国でも韓国でも、歴史教科書にはいわゆる従軍慰安婦(当時の「皇軍」における表現では、「朝鮮ピー」「パンパン」など)の記述がほとんどない、あってもわずか1行だけだという話。
これはなぜなのか。中国の場合については、ご当地の人に聞いたりした結果、「あまり性的なことを子供の目に触れさせたくないのではないか」という分析がなされている。韓国の場合に関しては、そういう分析はないのだが、あるいは中国と同じような理由からかもしれない。
・・・「中国」で思い出した。
『「男はつらいよ」の世界』で知ったのだが、
完全版「男はつらいよ」の世界
作者: 吉村英夫
出版社/メーカー: 集英社
発売日: 2005/12
メディア: 文庫
日本以外で寅さんの映画がもっとも上映されているのは、中国だそうだ。なぜ中国人に寅さんが受けるのかについては、魯迅の「阿Q」みたいな、「愛すべきバカ」を受け入れる素地があるからではないか・・・というのだが、俺はちょっと違うと思う。というのも、「阿Q」というのは魯迅が自国民の愚かしさを皮肉った自虐ネタキャラであって、「おもしろうてやがて哀しきバカ」なのだが、寅さんはそれとは異なる。「世間並み」の生活能力はないくせに、「その辺で知り合った奴を笑わせていい気分にさせて、ちょっとばかり居候して、さらっと去っていく」才能だけは突出しているという、いわば「天才的なバカ」なのだ。そしてまた、「生活能力がない」というのは、反面、「生活に汚れていない」ということでもあるので、なんべん恋に破れても新たな恋に突入できてしまうし、たまにとてつもなく美しいことをポロっと言い出して、思わず意表を突かれて泣かされそうになることがある。もちろん、寅さん自身は自分のことを棚にあげてそういうことを言うから、よく考えると「お前が言うな」ということになって途方もなくオカシイ、そういう多層構造もある。
お前たちは愛し合っている夫婦だろう。
もうちょっと美しい言葉で話しあえないのか。
『寅次郎の縁談』だったか、さくらと博の夫婦喧嘩を止める時の、このセリフが俺は好き。
・・・さてと、寅さんというのは、「せちがらいようでも、どこかに善意を隠し持っている共同体」があってこそ、そこに居候することで存在できるキャラクターだ。彼のふるまいは一見すると非常に「日本的」に見えるのだが、その本質は時流に対する頑強なアンチであって、「現実の日本」からは最も遠いところにいる。だからこそ、「現実にはありえないけど、あらまほしきバカ」として人々に愛されるという逆説がある。「こういうバカでも生きていける、そんな世の中であってほしい」という人の願望が、『男はつらいよ』の人気を支えてきたように思う。
・・・もし中国で寅さんが受けているのだとすれば、それは今の中国にも、日本と同じような寂しさがあるからじゃないのだろうか。
ちなみに山田洋次監督は、「幻の国家」満州で生まれて育ち、日本に引き揚げてきた人で、そういう「異境の人」が、日本における「国民的映画」を生み出したこともなかなかに興味深い。
実際に柴又に行ってみればわかるが、『男はつらいよ』に出てくる葛飾柴又もまた、「幻の柴又」だ。
・・・奇妙なニュースの続報。
▼安倍長官「コメント控える」 文春の上海領事自殺報道
http://www.asahi.com/politics/update/1227/005.html
・・・この歯切れの悪さは、どうしたことだろう。
つまり外務省としても、あるいは自民党としても、この事件を徹底追求することにメリットを見出していない、ということだろうか。あるいは逆に「事件が公になった方がデメリット」っていう事情があるのかもしれないが、まー根拠のない憶測をしても仕方がないね。
・・・しかし、亡くなった人は気の毒なんだが、つくづく自殺なんかしちゃいかんな、と思われる。生きていさえすれば、たとえどんな不名誉も罪も過ちも、他の者にとっての教訓として残すことができるかもしれないのに。
・・・ちなみに、俺はこれまで「自殺したい」などと思ったことはない。いかに辛い事があろうとも、「つらい」「死にたい」という気持ちより、たとえば「来週の『さんさん録』が読みたい」といった気持ちの方が圧倒的に強いから。いつか「人類おたく化計画」が発動すれば、世界から自殺は激減するのではないだろうか?