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【中国脅威論の脅威】
http://www.pluto.dti.ne.jp/~mor97512/C02363.HTML から転載。
「人生の道半ばで、正道を踏みはずした私が目をさました時は暗い森の中にいた」(ダンテ)
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民主党新代表の前原誠司氏が米国と中国を訪問し公然と「中国脅威論」を主張し、国民世論を中国脅威論に誘導しようとする方向に踏み出したことは、一民主党の盛衰にとどまらない大きな国際政治的意味をもつ事件だ。
前原氏の中国脅威論は従米・反中国・親台湾の立場の一部マスコミの強い支持を得、無視できない政治的潮流に成長しつつある。
日本国民が前原代表の中国脅威論に同調するとすれば、日本と中国との対立はのっぴきならないものとなる。東アジアは新たな緊張時代に入るおそれがある。
日中間の政治的対立が靖国レベルから中国脅威論というより重大な新たなテーマに移行したことにより、日中の政治関係だけでなく経済関係にも直接影響が出るだろう。
前原代表登場は、また、国内政治の構造を変えた。前原氏は小泉構造改革の支持者であると同時にブッシュ大統領の支持者でもある。その上反中国主義者であり、集団的自衛権を容認する憲法改正の強い主張者である。
前原氏は代表就任の記者会見において、憲法改正をめざす他の党(自民党のこと)と協力して改正を実現するとの意向を示した。自民党と民主党が協力すれば、憲法改正の発議に必要な衆参両院の三分の二の賛成を得ることは可能になる。憲法改正の前に立ちふさがっていた「国会の三分の二の壁」がなくなるのだ。これは日本の政治の大変化である。
さらに、現在日米両国において進行している自由主義革命の最大の攻撃目標である労働組合に対する民主党の基本方針が変わった。従来の民主党は労働組合と一体的関係を結び、労働組合擁護の立場にあった。それが前原代表が登場して変わった。自由主義革命推進に積極的な前原代表は「労働組合との関係見直し」を宣言した。「関係見直し」とは労働組合との協力関係解消を意味している。
小泉政権のブレーンは「自治労解体、官公労組解体、郵政民営化の際のJPU(旧全逓)と全郵政の解体」を、次の政治課題として公言している。前原氏はこの与党側の動きに同調する考えを示したのだ。
かくして前原民主党と小泉自民党の間の政治的対立はほとんどなくなった。前原民主党から入閣する形式の大連立体制成立までには時間がかかるだろう。だが、小泉自公連立に前原民主党が押しかけ的に参加する大連立は事実上スタートを切ったと見てよい。
前原民主党主導の中国脅威論の大宣伝と事実上の自民・民主大連立体制の成立の二つは、日本政治の大変化を示す大事件である。
激動の2005年は間もなく終わる。05年は日本にとって大きな変化の年だった。
9月11日の総選挙で小泉政権は大勝利した。自公連立政権側が衆院の三分の二を上回る議席を獲得。郵政民営化法成立。そして靖国参拝。中韓両国政府との対立激化。
そして12月、反中国主義者の前原民主党代表が米中両国を訪問した際、中国脅威論を打ち上げた。この発言により、日中関係はのっぴきならない状況に陥るおそれが出てきた。日本国内での反中国主義者の活動が活発化し、世論は反中国に傾きつつある。
歴史は繰り返されるのか。
日本は再び第二次大戦前の大政翼賛体制に似た時代に入ろうとしている。暗い森に迷い込んではならぬ。これは過った道である。
われわれは過った政治にずるずると引きずられてはならない。日本は平和国家である。平和のためには、中国との平和友好関係を維持しなければならない。
国内政治は転換期にある。権力が強大化し、野党が消滅すれば、独裁政治になる。独裁は政治の腐敗と退廃をもたらす。批判なくして民主政治は成り立たない。民主党は目を覚ますべきだ。来年を日本再生の年にしたい。
【以上は12月24日付け四国新聞に「森田実の政局観測」として掲載された小論です】