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(回答先: 憲章起草など論議 「紛争の平和的解決」盛り込む ASEAN外相会議(しんぶん赤旗) 投稿者 gataro 日時 2005 年 12 月 10 日 10:53:25)
「しんぶん赤旗」12月11日付6面から引用。
東南アジア諸国運合(ASEAN)首脳会議、ASEAN+3(日本、中国、韓国)首脳会議、東アジア首脳会議(EAS)が十二日から十四日までマレーシアの首都クアラルンプールで開催されます。
ASEANが一九六七年の創設から一貫して追求してきた東南アジアの平和と協カの流れは、さまざまな逆流にぶつかりながら、いまやアジア全域に広がろうとしています。
ASEANが東アジアの共同の枠組みを提唱したのは十五年前です。ASEANのすぐれたリーダーであったマレーシアのマハティール首相(当時)が九〇年十二月に東アジア経済協カ構想を提唱しました。これには、米政府が自国抜きの構想に強く反対し、日本政府がそれに従って反対したため実現しませんでした。
しかし、九七年のアジア通貨危機を契機に東アジア協力の機運が高まり、九七年十二月、クアラルンプールでのASEAN首脳会議の機会に、実質的な東アジア協カの枠組みであるASEAN十3の第一回首脳会議が開催されました。通貨危機に直撃された東南アジア諸国と韓国、ASEANとの対話路線に転換した中国などが東アジア協カの枠組みに賛成し、日本も従来の態度を変更し参加に踏み切りました。
ASEAN+3はこの間、通貨危機再発防止への対策などで着実な成果をあげてきました。
こうした実績のうえに二〇〇四年十一月のラオス・ビェンチャンでのASEAN首脳会議で、〇五年末に第一回EASを開催することが決まりました。
◆3条件確認
その際に問題となったのはEASの参加範囲をどうするかという問題でした。
ASEANは今年四月の非公式外相会議で、首脳会議参加資格として三条件(@東南アジア友好協力条約=TAC=に加入するAASEANの対話国であるBASEANと実質的な経済関係をもっている)を確認しました。七月のビェンチャンでのASEAN外相会議でEAS参加国としてこの三条件を満たしたASEAN十カ国、日本、中国、韓国、インド、ニュージーランド、オーストラリアの参加が決まりました。
EASに参加する国がTACへの加入を前提とすることは、東アジアを平和と協カの地域に変えるうえで重要な意義をもっています。マレーシア国民大学のタン教授は「TACは平和への誓約であるのみならず、戦争をしないという誓約です。それが行動規範となります」と語りました。
アジアにはこれまで米国主導の軍事同盟とそれにもとづく米軍基地網が張りめぐらされていました。ASEAN各国はベトナム戦争の終結後、次々に米軍基地をなくし、非同盟運動に加わりました。現在、アジアで実態的に米国との軍事同盟が機能し、米軍墓地が置かれている国は日本と韓国だけになっています。
オーストラリアは米国と軍事同盟を結び、ハワード首相はブッシュ政権の先制攻撃戦略を支持しています。しかし、同国はASEAN諸国との経済協カの利益を重視して、TACへの加入に踏み切りました。
日本の小泉政権は「米国との関係が第一」として、米国との軍事同盟がアジアの安全保障に不可欠との立場です。ASEAN各国はこの立場を厳しく批判しています。日本はこれまで繰り返し米国のEAS参加を提案してきましたが、ASEANは賛成しませんでした。
◆逆流に対処
ASEANは、東アジア首脳会議をめぐる逆流にたくみに対処し、東アジア首脳会議を平和の流れに沿った方向に導きました。ASEANは将来の東アジア共同体の構築を展望しながら、EASを「対話のフォーラム」(EAS宣言案)と位置づけて、まず対話をすすめて相互の理解と信頼を築き、ASEAN流にゆっくりと前進することを重視しています。
ASEANは「ASEANがEASの運転席に座ることで安全運転が保障される」(ASEAN外交官)としています。
ASEANが結束して諸大国の主導権争いを調整し、協カの方向にすすめることで東アジア共同体に行き着くことができると考えているのです。
(クアラルンプール=鈴木勝比古)